資産活用方法のひとつとして、アパート経営をやってみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
アパート経営の注意点として開始当初に初期費用が高額になってしまう可能性がある点が挙げられます。
この記事ではアパート経営にかかる初期費用や維持費用などについて詳しく解説します。
- アパート経営にかかる初期費用尾
- アパート経営にかかる維持費用
- アパート経営に必要な資金の調達方法
目次
アパート経営にかかる初期費用
不動産を活用して経営していくアパート経営ですが、実際にどのような費用がかかるのかピンと来ていない人も多いのではないでしょうか。
アパート経営の初期費用として建物と建物以外にかかる初期費用が挙げられます。
アパート経営は、開始するための資金準備からスタートしなければいけませんので初期費用の把握は特に重要です。
ここからは、アパート経営に必要な初期費用について詳しく解説しましょう。
- 建物にかかる初期費用
- 建物以外にかかる初期費用
上記2点について順番に解説していきます。
建物にかかる初期費用
まず必要なものはアパートの購入や建築などの取得費用です。アパートを取得し、賃貸することによる家賃収入によって収益を得る経営ですので、まずはアパートを取得しなければいけません。
アパート1棟の購入か1室の購入かによっても大きく異なります。
また、木造アパートか鉄骨造のアパートかといった点についても費用は変わってくるでしょう。
アパート1棟の購入となると自己資金だけでは足りないためローンを利用して購入される人も多いのが現状です。
建物以外にかかる初期費用
アパートを取得すると不動産取得税や登記費用、契約にかかる印紙税などが必要です。不動産取得税は固定資産税評価額の0.3%がかかります。
登記費用とは所有権の登記にかかる費用で50万円前後見ておくといいでしょう。印紙税は売買契約などの際、契約書に貼付する印紙代です。
売買価格によって異なりますが1,000円~50,000円程度見ておきましょう。その他にも、火災保険の費用やローンを利用する場合の手数料などが必要です。
アパートの取得費用によってこれらの費用は異なりますので事前に計算しておかなければいけません。
アパート経営にかかる維持費用
アパート経営は、アパート取得時に費用がかかるだけではなく、維持管理にも費用がかかります。
維持費用として挙げられるのは以下の7点です。
- 固定資産税・都市計画税
- リフォーム費用
- 光熱費
- 修繕費
- 保険料
- 管理費
- 仲介手数料
維持管理費も事前にチェックしておくことで、経営における収支状況が把握できますので必須事項です。
ここからは維持管理費について詳しく解説します。
固定資産税・都市計画税
アパートなど不動産を所有すると必要な税金が固定資産税や都市計画税です。毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。
固定資産税は、固定資産税評価額の1.3%、都市計画税は固定資産税評価額の0.3%程度がかかりますが、自治体によって若干異なります。
固定資産税納付通知書が、地方自治体から郵送されますので4回に分けて支払わなければいけません。
固定資産税評価額によって税額が大きく異なりますので、アパートや土地の広さや、エリアによって税額は異なります。
リフォーム費用
部屋が退去した場合に次の入居者に賃貸するために、部屋のリフォームが必要です。原状回復部分の費用に関しては入居者が負担しますので、原状回復以外のリフォームや改装の際、費用がかかります。
築年数が古くなればなるほど、リフォーム費用は高額になってしまう可能性が高くなるでしょう。また、退居の数は計算ができません。
その年によって退去の数は異なりますし、契約年数や入居者の使い勝手などでもリフォーム費用は増減します。
ある程度年間の想定支出として、費用を見込んでおきましょう。
光熱費
共用部分の電気代や水道料が発生します。そこまで高額な費用ではありませんが毎月発生しますので、節約したい維持費用です。
毎月一定金額ではなく、冬場は早めに暗くなりますので、電気代が高くなる傾向といえます。
共用部の電気代に関しては共用部分の清掃時に使用するケースや植木の水やりなどに対し使用するケースが多く、基本的に年間で大きな変動はありません。
電気代の節約にはLED照明の設置などの対策が効果的です。
こちらも必ず発生する維持費用ですのでしっかりとチェックしておきましょう。
修繕費
アパートにおける構造部分の修繕や、部屋の設備故障などにおいて、所有者負担が必要な場合に発生するのが修繕費です。築年数が古くなればなるほど、修繕費用が高額になる傾向といえます。
また、修繕費に関しても突発的に発生するケースが多く、修繕個所によっては高額になる可能性もあるでしょう。
また、15年前後で定期的に大規模な修繕工事が必要です。防水工事や塗装工事など構造体自体の修繕工事で、非常に高額な費用となりますので、修繕計画を立てて一定の資金を貯めておかなければいけません。
保険料
建物の火災保険や地震保険に関する費用が必要です。火災保険も地震保険も最長5年の契約期間ですので5年ごとに更新しますが、更新時に保険料が発生します。
単年契約よりも5年間の契約にした方が、年間の保険料は安くなるのが一般的です。
また、保険料に関しては発生する年が計算できますが、保険料に関しては5年ごとに変わっています。
地震や災害の増加などにより年々増加している傾向です。
おおよその保険金を理解しておき、更新時に慌てないよう注意しておきましょう。
管理費
アパート経営において管理を管理会社に任せると発生する費用が管理料です。
特にサラリーマン大家さんなど、自分で管理ができない場合は、管理会社に管理を依頼するケースが一般的といえるでしょう。
入居者の対応や、建物自体の維持管理、空室が出た場合の対応から賃料送金までと幅広い範囲での管理を請け負います。管理料は、送金家賃の5%前後が一般的です。
そこまで高い費用ではありませんので、管理ができない所有者の人は、管理会社に依頼するのがオススメといえます。
仲介手数料
アパートが空室になった場合、部屋を募集しなければいけませんが、部屋の募集は不動産会社に客付けを依頼するのが一般的です。
管理会社が管理している場合は、管理会社が入居の募集などをして入居者を募集します。
入居が決まった場合に仲介手数料として家賃の半月分を支払わなければいけません。
仲介手数料も空室の数に比例しますので、年間の支出が計算できにくいのが挙げられます。
数年間の退去実績などから、年間の退去戸数を推測し、仲介手数料の支出を想定しているといいでしょう。
アパート経営における資金の調達方法
前述したようにアパートの取得費用は高額になるケースも多く、自己資金だけでは購入できない場合があります。
資金の調達方法として3つの方法を挙げました。
- アパートローンを利用する
- 住宅金融支援機構からのローンを利用する
- 金融機関以外からのローンを利用する
ここからはアパート経営における資金の調達方法について詳しく解説します。
アパートローンを利用する
一般的に多いのが金融機関からのアパートローン利用です。アパートローンを利用する場合は、取得しようとする物件の担保価値と、ローン申請者の年齢や勤続年数、年収や健康状態といった点で審査されます。
アパートローンを申し込んだからといって必ず通るわけではなく、金融機関の審査次第ではローンが通らないケースもあるのです。審査の内容は金融機関によっても異なります。金利なども異なります。
アパート経営を勧めている不動産会社と提携している金融機関などもありますので条件の良い金融機関からアパートローンを受けるといいでしょう。
住宅金融支援機構からのローンを利用する
住宅金融支援機構からのローンを利用する方法が挙げられます。住宅金融支援機構のローンで真っ先に挙げられるのは、フラット35など長期の固定金利住宅ローンなどです。しかしながらアパート経営にフラット35は利用できません。
フラット35は基本的に居住される方向けの住宅ローン商品ですので、投資用物件などでの利用は禁止されています。
賃貸住宅オーナー向けの商品として
子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資・サービス付き高齢者向け賃貸住宅建設融資
があり、一定の要件を満たしておく必要があります。
金融機関以外からのローンを利用する
金融機関以外からローンを利用する方法も挙げられます。親族や身内からの借り入れなどにより資金調達が可能です。親から借り入れして不動産を取得する場合などは金利も市中金利より大幅に低い利率での借り入れも可能でしょう。
しかしながら、万が一返済不能になった場合などにトラブルとなるケースも多く、あまりおススメできる資金調達方法ではありません。
アパートの取得といった明確な目的はありますが、借金には変わりありません。
どうしても資金調達できない場合、最後の手段と考えておきましょう。
アパート経営における3つの管理方法
アパート経営では取得後の管理が収益性に大きな影響を及ぼします。アパートの管理方法にはどのような種類があるのでしょうか。
アパート経営における管理方法を3点挙げました。
- 自主管理
- 管理委託
- サブリース
管理手法によって、管理の内容や管理料なども大きく異なります。
ここからは、アパートの管理方法について詳しく解説しましょう。
アパートの自主管理
アパートを取得した所有者が自ら管理する方法です。委託しませんので、管理料はかかりません。
管理業の内容として、維持管理や入居者に対するクレーム対応、空室になった場合の入居募集などが挙げられますが、他にも仕事を持っている人だと管理できないかもしれません。
アパートの自主管理ができる人は、基本的にアパート経営を本業としている人が対象となります。毎月の管理料が抑えられ、アパートの状況がしっかりと把握できる管理方法といえるでしょう。
アパートの管理委託
アパート経営を本業とせず、他にも仕事を持っているサラリーマン大家さんなどが利用するのが管理委託です。
不動産管理会社に管理を委託しますので、所有者がアパート管理に関わることはほとんどありません。
管理会社がほとんどの管理を請け負い、報酬を受け取ります。報酬額は送金家賃の5%前後が一般的です。
不動産のプロである管理会社に依頼できると、適切な時期の修繕提案や余計なコストをかけない維持管理などに期待が持てます。
しかし、家賃送金なども依頼している場合、管理会社が倒産して送金がされないといった事態も見られますので注意が必要です。
サブリース契約
サブリース契約とは、サブリース会社がアパート全体を借り上げて運営する契約内容です。
アパートの所有者はサブリース会社に一括して貸し出しますので、部屋の空室が出たとしても心配する必要はありません。
一般的には、毎月家賃の90%程度を送金します。つまり、10%程度がコストとしてかかる代わりに、管理の心配もなく空室があっても定額の賃料が送金されます。
空室に関する不安や、管理に関する手間などを省きたい場合には、サブリース契約がオススメといえるでしょう。
アパート経営に伴う5つのリスク
アパートを取得し、家賃収入によって収益を得るアパート経営ですが、いくつかのリスクが考えられます。
- 空室のリスク
- 賃料下落のリスク
- ローン費変動のリスク
- 老朽化によるリスク
- 災害のリスク
アパート経営に対するリスクを十分に認識し、事前の対策がとれていると成功の可能性が高まります。
ここからはアパート経営に伴う5つのリスクについて解説しましょう。
空室のリスク
アパート経営で真っ先に上がるリスクが空室のリスクです。退居が出た場合、入居者が決まらないと想定の家賃収入が得られません。
空室が長期で複数になってしまうと、家賃収入が下がるだけではなく、最悪の場合赤字経営になってしまいます。
特にローンを利用してアパートを取得した人は、毎月の家賃収入からローンを返済しなければいけません。
空室の増加は直接的に賃貸経営に大打撃となります。
アパートの取得前にエリアの賃貸需要や競合物件の分析をした上で取得を検討しなければいけません。
賃料下落のリスク
賃料下落リスクも大きなリスクになりかねません。文字通り、賃料が下がるリスクを指しますが、賃料が下がってしまうと満室になっても想定の家賃収入が得られなくなります。
築年数が経過してくると、徐々に建物や設備が劣化しますので、どうしても賃料に反映されてしまい家賃を下げなければ決まらないケースが考えられるでしょう。
賃貸の需要が高いエリアだと、競合物件が出たとしても、今までの家賃で決まりやすいので、エリアの賃貸需要が大きなポイントです。
また、定期的な修繕や改修により古さを感じさせない対応も必要となるでしょう。
ローン費変動のリスク
アパートローンを借りてアパートを取得する場合、毎月返済が必要ですが、返済額には元金と金利がついています。
つまり、金利が低ければ低いほど毎月の返済額が抑えられますので、アパート経営にはプラス要因です。
しかし、金利は変動しますので、数年後には金利が上がっている可能性も考えられます。
金利が上がってしまうと毎月の返済額も増えてしまいますので、今までの収益が落ちてしまうでしょう。
借入金額に対しての金利ですので、少ない借入金額でアパート経営を始める方法や、繰り上げ返済などにより元本を減らしておく方法が効果的です。
老朽化によるリスク
賃料下落のリスクと重なる部分もありますが、老朽化によるリスクも挙げられます。築年数が経過すると建物が老朽化してしまい修繕する箇所が増えて、修繕のコストが増えてくるリスクです。
また15年程度の周期で建物全体の修繕工事も必要になり、高額な修繕費用が必要になります。建物の老朽化は避けられませんが、ほったらかしにしておくと、空室が増え、賃料を下げないと決まらないといった悪循環になってしまうでしょう。
定期的なメンテナンスと長期修繕計画による資金の貯蓄などが必要です。
災害のリスク
災害のリスクとは地震や火災、台風といった自然災害により建物にダメージを与えてしまうリスクを指します。
特に地震による被害を受けてしまうと建物は大きなダメージを負ってしまい、最悪の場合は倒壊といった可能性も考えられるでしょう。災害のリスクは避けられません。
災害に関する備えとしては、耐震に関する補強や火災などについては日ごろから入居者への呼びかけなどが挙げられます。
また、火災保険などもしっかりと内容を理解し、災害に対してきちんと対応できる保証内容であるかといった理解が必要です。
アパート経営を成功させるコツ5選
アパート経営の経験が浅い人や初めて取り組む人などは、どのように運営していいかわからないことも多いのではないでしょうか。
アパート経営を成功させるコツとして5つを挙げました。
- アパート経営のゴールを明確にする
- リスクを想定した収支計画をたてる
- 複数の管理会社を検討する
- 需要の高い土地を選ぶ
- 余裕をもった資金計画をたてる
ここからは、アパート経営を成功させるコツ5選について詳しく解説します。
アパート経営のゴールを明確にする
アパート経営のゴールを明確にしましょう。アパート経営には、所有者によって複数のゴールが設定できます。
主のゴールとして、下記のものが挙げられます。
- 売却益を得る
- 安定した家賃収入を得る
- 相続税対策
ゴールを明確にしておくと、現在所有者としてどのような対応がベストなのかが決めやすくなります。
例えば、長く家賃収入を得たい場合は、定期的な維持管理のメンテナンスに力を入れなければいけません。
売却益を欲しいなら、部屋をリノベーションして高い家賃設定にする必要があるでしょう。
最終的なゴールを明確にできると、自分にとってベストの選択が選びやすくなります。
リスクを想定した収支計画をたてる
リスクを想定した上で収支計画を立てておきましょう。前述したように、アパート経営にはいくつかのリスクを踏まえた上で、スタートしなければいけません。
リスクを考えない収支計画を立ててしまうと、想定の収益が得られない場合、一気に収支が悪化してしまう可能性もあります。
収支計画を立てる際は、リスクを想定して、少しストレスをかけておきましょう。不測の事態でも、借入金の返済や収支が赤字にならないように、利益部分を甘く見ていると建て直しが難しくなってしまいます。
不測の事態に耐えられる収支計画にしましょう。
複数の管理会社を検討する
アパート経営において、安定した家賃収入を得るために重要なポイントが管理会社の選択です。管理会社選びに失敗してしまうと、外観も汚い状態で、満足にメンテナンスされていないアパートになってしまうため、空室や賃料下落といったリスクを負ってしまいます。
管理会社が倒産してしまうと、家賃送金未払いといった事態にもなりかねません。管理会社の選択は複数から比較しましょう。
規模、実績、エリアでの客付けの強さ、管理内容などから比較して選ぶ必要があります。
アパート経営に心強いパートナー選びですので慎重に決めなければいけません。
需要の高い土地を選ぶ
アパート経営などの不動産投資においてエリア選定も成功するためには非常に重要なポイントです。立地選択をミスしてしまうと、取り返すのがなかなか難しく、お金をかけて募集やリノベーションしてもなかなか決まらないといった事態になりかねません。
賃貸需要の高い土地でのアパート経営がオススメです。賃貸需要のいい土地とは、交通の便が良く、生活環境にいい施設があるエリアの土地を指します。
このような土地は、募集やリノベーションに必要以上の費用をかけなくても入居が決まりやすく家賃も下がりにくいといえるでしょう。
余裕をもった資金計画をたてる
資金計画も余裕を持ちましょう。自己資金を全部つぎ込んでアパートを購入してしまうと、運転資金が無くなってしまいますので、急な修繕などに対応できなくなってしまいます。
また借り入れが多ければ多いほど、返済も多くなりますので、空室が多くなった場合など返済ができない赤字経営になってしまうかもしれません。
その際、運転資金がなければ、返済ができないといった事態にもなりかねません。
自己資金を全て購入資金に充てずに、少し余裕を持たせた資金計画を立てましょう。
アパート経営の成功には初期費用や維持費用を把握することも重要
アパート経営を始める初期費用や維持費用、成功のコツなどについて解説しました。アパート経営においては初期費用や維持費用をしっかり把握したうえで、無駄な出費を抑えながら収益を上げなければいけません。
また、アパート経営には、いくつかのリスクが存在します。リスク対策をしたうえでアパート経営に取り組まなければ、大きな損失を引き起こしてしまうかもしれません。
イニシャルコストやランニングコストを理解し、余裕のある資金計画やリスクも踏まえた収支計画など、少しだけ余裕やストレスを与えた想定でアパート経営を始めましょう。