土地などの不動産をただ所有しているだけでは、固定資産税や維持管理費など費用の負担ばかりかかってしまいます。
うまく資産活用できれば、税金や維持管理費の出費分以上の収益を得られるかもしれません。
この記事では、少額でできる土地活用方法について詳しく解説します。
- お金のかからない土地活用方法
- 少額投資でできる土地活用
- お金のかからない土地活用の注意点
目次
お金のかからない土地活用方法5選
お金のかからない土地の活用方法として以下の5つを挙げました。
- 土地信託による土地活用
- 建設協力金方式による賃貸事業
- 暫定利用での土地活用
- 借地権による定期収入
- 等価交換
土地活用したいと思っても当初から大きな資金がかかってしまうと、やりたくてもできないといった人も多いのではないでしょうか。ここからは、お金がかからない土地の活用方法5点について解説します。
土地信託による土地活用
土地信託とは、信託会社や金融機関に土地活用を依頼し、運用による収益を配当金として得る活用方法です。
土地を信託会社や金融機関に預ければいいので、初期費用などはのコストはかかりません。
委託された会社が預かった土地を活用しますので、委託後の管理も必要なくなる点がメリットです。
しかし、どんな土地でも信託できるという訳ではなく、収益の予測が立つ土地でなければいけないといった注意点があります。
不動産に関する知識がなくても土地活用が可能な点や、信託受益権が売買できるといった点がポイントです。
建設協力金方式による賃貸事業
所有している土地で店舗を開業したいと申し出があった場合にできる活用方法として、建設協力金方式が挙げられます。
出店したい事業者が店舗の建築にあたり、建築費にかかるコストを所有者に融資し、建物を建て賃貸する方法です。
所有者は、毎月の家賃収入から建築にかかった費用を返済しなければいけません。建築当初からテナントが決まっていますので、事業者側の意向に沿った建物が建てやすい点や、借主が見つかった状態での活用が可能な点がメリットです。
暫定利用での土地活用
長期的な活用ではなく、短期的に活用するケースを暫定利用での土地活用といいます。あまり長く貸したくない場合や、次の活用方法がある程度決まっている場合などに効果的な活用方法といえるでしょう。
暫定土地での活用におけるメリットは、すぐに始められる点や業種変換がしやすい点です。
また、短期間の活用なので、手続きが簡素に済む点や初期費用がかからない点も挙げられます。
反面、暫定的な土地の活用なので収益性が高くありません。
借地権による定期収入
借地権設定による土地活用が最も一般的な方法といえるでしょう。土地に借地権を設定し長期間土地を貸し出し、地代収入を得る方法です。
借地権には普通借家権と定期借地権があり、定期借地権での契約が一般的といえるでしょう。また定期借地権には一般借地権や事業用借地権といった種類があり、事業用の建物などを建築する場合は事業用借地権を設定します。
賃貸住宅を建築する場合は、一般的借地権などそれぞれの活用方法によって借地権は異なりますので注意しておきたいところです。
等価交換
評価額の高い土地などを所有している場合、土地の一部を提供し収益性のある物件を建築、活用する方法が等価交換です。土地を提供するのはデベロッパーなど開発する事業者に対して提供します。提供を受けた事業者が収益物件を建築し収益をあげる手法です。
土地の所有者は初期費用を出すことなく収益を得られ、建築後も自らが管理する必要もありません。ただし、土地の権利関係が複雑になる点や、等価交換できる土地は非常に限られてしまう点が注意点として挙げられます。
等価交換できる土地であるかどうかが大きなポイントです。
少額投資でできる土地活用4選
次に、小額投資でできる土地活用を4点挙げました。
- 時間制の駐車場
- 太陽光による発電
- 貸し農園
- 野外トランクルーム
多少の資金は必要ですが、建物を建てるわけではありませんので、少額での土地活用が可能です。
ここからは、少額でできる土地活用5点について解説します。
時間制の駐車場
月極駐車場やコインパーキングなどはよく利用される土地活用方法といえるでしょう。コインパーキングは、機械の設置などでお金がかかりそうなイメージですが、コインパーキング業者に土地を借り上げてもらえると、ほとんど初期費用も必要ありません。
月極駐車場の場合も、駐車場のライン引きだけですぐに賃貸できます。駐車場としての需要があることが非常に大きなポイントですが、需要がある土地だと定期的な安定収入が得られるでしょう。
太陽光による発電
あまり賃貸需要がない土地で活用する方法として太陽光発電事業が挙げられます。
太陽光パネルを設置し、発電された電気を電力会社に販売して収益を得る活用方法です。アパートなどの建築と比べると少額での設置が可能で、長期的な運用もできます。定期的なメンテナンス費用がかかり、年々、電力会社の買取価格が下がっている点は注意点として挙げられますが、賃貸需要がないエリアなどには適した活用方法です。
また、太陽光発電の事業者に土地貸しすれば、太陽光パネルの設置費用はかかりません。
貸し農園
所有する土地は、宅地などだけではなく農地を所有しているケースもあるでしょう。農地を所有している場合は、貸し農園としての活用が可能です。
貸し農地として貸し出す場合、柵の設置や水道の引き込み費用などかかりますが、そこまで高額な費用ではありません。貸し農地としての方法は、ひとりに全ての敷地を貸し出す方法と、いくつかの農地に分けて複数の人に貸し出す方法などが挙げられます。
農地ですので、そこまで大きな収益は上がりませんが、プチ菜園などとして利用したいと思っている人は意外に多く、貸し農園の需要は高いといえるでしょう。
野外トランクルーム
野外にコンテナを設置し、トランクルームとして貸し出す方法が挙げられます。初期費用として、コンテナの設置費用が発生するでしょう。
コンテナの設置はリースやレンタルでも設置できますので、初期費用をそこまでかけなくても活用が可能です。賃貸の需要があることが前提となりますが、若干距離が遠くても普段使わないものを入れておけば頻繁に出向きません。
このような活用方法だと、商圏も広いといえるでしょう。また、コンテナの大きさはいくつかの種類に分けられます。土地の形状や広さに合ったコンテナの設置が可能なので、比較的柔軟性が高い活用方法といえるでしょう。
お金のかからない土地活用の注意点
ここまではお金のかからない土地活用方法や、少額でできる土地活用方法について解説しました。
お金のかからない土地活用の注意点として3点が挙げられます。
- 土地活用をすることで使用の自由がなくなる
- 立地によっては儲からないことがある
- 節税効果が見込めないことがある
ここからは、お金のかからない土地活用の注意点について解説します。
土地活用をすることで使用の自由がなくなる
土地を活用する場合、多くのケースで賃貸借契約を締結し、地代収入や使用料などで収益を得ます。土地の賃貸借契約には借地借家法が適用されますが、借地借家法は基本的に借りる側の権利を守る傾向が強いので賃貸借契約後、所有者の自由は大きく制限されてしまいます。
貸してしまった後は、契約が終了するまでほとんど使用ができないと考えておくといいでしょう。また、貸主側からの解約も自由にできません。
場合によっては、立ち退き費用などが発生するケースもありますので注意が必要です。
立地によっては儲からないことがある
土地活用できるポイントとして、最も大きいのが立地です。賃貸需要のある土地や、駐車場としての需要がある立地でなければいけません。
先ほど、貸し農園や太陽光パネルの設置としての活用方法を挙げましたが、そこまで大きな収益が得られません。
もし賃貸需要がない土地での店舗貸しや、駐車場を経営したとしても、まったく需要がなく収益が増えないといった可能性も考えられるでしょう。
最初に投資した初期費用でさえ回収できないといったことにもなりかねません。
節税効果が見込めないことがある
土地活用において収益目的ではなく、節税を目的とした活用を検討している人もいます。節税目的で効果的な土地活用方法は、賃貸住宅を建築し、賃貸経営を始める方法です。ローンなどを利用して負債をつくることで、相続財産を減らす効果をもたらします。
また、賃貸住宅を建築すると、土地の固定資産税が宅地並み課税になりますので大幅に減額され、節税効果をもたらします。
お金をかけない土地活用方法は、基本的にローンを利用しませんので、負債をつくれません。そのため節税効果は見込めないケースが多いといえます。
お金のかからない土地活用でも節税できるか
先ほど、お金をかけない土地の活用方法において、節税効果が見込めないことがあると解説しました。土地を所有している場合にかかる税金として、固定資産税や相続税が挙げられます。お金のかからない土地活用方法についてこれらの税金が節税可能かどうかといった点について解説します。
相続税の場合
相続税の節税効果に効果がある方法として、駐車場やトランクルームなどが挙げられます。
例えば駐車場をつくる際、アスファルトを敷く場合がありますが、アスファルト敷きの駐車場は、小規模宅地の特例が適用されるケースがあり、節税効果をもたらします。
小規模宅地の特例とは、200㎡までの評価額が1/2までに下げられる特例です。
アスファルトにする費用がかかりますが、相続税の節税対策としては非常に効果的ですし、駐車時料金も砂利敷きの駐車場より高額になる傾向といえます。
固定資産税の場合
固定資産税は、土地などの不動産所有者に対して課税される地方税です。一般的には固定資産税評価額の0.3%が固定資産税として課税されます。
前述したように居住用の建物が建てられると、宅地並み課税が適用されますので、固定資産税が1/3か1/6まで抑えられます。
固定資産税は毎年発生する税金ですので、少しでも抑えられると経済的にも負担が減らされるでしょう。
建設協力金方式や、定期借地契約でも一般借地契約ならば賃貸マンションなどの建築が可能です。
お金のかからない土地活用の選び方
お金のかからない土地活用について、選び方を4点挙げました。
- 安定性で選ぶ
- 収益率で選ぶ
- 管理負担の大きさで選ぶ
初期費用の大きさで選ぶ
いくつかの選び方がありますので、選び方をしっかりと把握しておきましょう。
上記4点を詳しく解説します。
安定性で選ぶ
収益性も大事ですが、そこまで大きな収益ではなくても安定した収益が欲しいと考える方も多いのはないでしょうか。
安定性を重視したいケースでは、長期の契約が可能な定期借地による土地活用などが選択肢として挙げられます。
定期借地の活用としてコンビニや倉庫、ガソリンスタンドなどが挙げられるでしょう。
建物の収益ではなくあくまでも地代収入のみなので、家賃程度の収入となります。
しかし、前述したように30年以上の契約も可能ですので、長期間の安定収入という点においては効果的な活用方法です。
収益率で選ぶ
立地の良い場所に土地を所有している場合は、収益性の高い土地活用が見込めます。等価交換により、商業施設の建築や賃貸マンションの建築が可能です。
商業施設や賃貸マンションは建物の家賃などからの収益となりますので、家賃も高く、等価交換の場合は初期費用がかかりません。
特に、賃貸マンションの場合は、家賃収入だけではなく固定資産税などの節税効果も見込めます。そのため、維持管理のコストが抑えられ、収益率が高くなります。
価値の高い土地ならば、収益率の高い土地活用方法が選択可能です。
管理負担の大きさで選ぶ
土地活用では不動産の知識がない場合、活用したのはいいけど、管理がまったくできないといった事態になりかねません。
管理までする必要がある活用法では所有している土地の賃貸需要や、資産価値の確保などやるべきことは非常に多いので、管理ができない場合大きなマイナス要因です。
不動産の知識がなくても土地活用が可能なのが土地信託です。土地信託は信託会社や金融機関に土地を信託し、事業者が土地を活用しますので、土地の所有者が不動産経営に関わらなくても収益が得られます。
管理面のわずらわしさを避けたい場合は不動産信託がオススメです。
初期費用の大きさで選ぶ
初期費用の大きさでの選択可能です。土地活用に関して、お金がかからない方法や少額の初期費用でできる土地活用などを紹介しました。
お金がかからない土地活用はリスクが少ない分、収益性に劣ってしまう傾向です。
逆に賃貸マンションや、倉庫といった建物を建てての土地活用も可能ですが、大きな金額がかかります。
初期費用が高いとリスクが高くなる分、収益性が良い土地活用になるのが一般的です。
どちらにもメリットやデメリットがあります。
自己資金とのバランスなどで選んでもいいでしょう。
お金のかからない土地活用を成功させるコツ
お金のかからない土地活用を成功させるコツについて3点挙げました。
- 土地の特性を理解する
- 土地活用の目的を明確にする
- 複数の活用パターンから選ぶ
お金をかけない分、成功させるにはいくつかの工夫が必要です。
ここからは上記3点について詳しく解説します。
土地の特性を理解する
所有している土地の特性を理解しなければいけません。賃貸需要や駐車場としての需要がある土地なのか、活用できる広さはあるのかといった分析から、競合しているものが近くにないかといった調査が必要です。
所有している土地のエリアにある不動産会社などに相談して見るといいでしょう。
駐車場を経営しようと考えるなら駐車場料金の相場などもわかりますし、市場調査で何が適しているかといったアドバイスにも期待が持てます。
見当違いな土地の活用だと収益は上がりませんので、事前調査が大きなポイントです。
土地活用の目的を明確にする
自分がどのような活用をしたいのかを明確に持っておきましょう。
- 収益性は高くなくても初期費用をかけたくない
- 初期費用を出しても収益性を追いかけたい
- 節税対策に役立てたい
など、土地の所有者にとって目的はさまざまです。逆に、土地活用の目的を明確にしておかなければ、どんな活用がいいのかわかりません。
それぞれの目的によってメリットやデメリットも異なります。
自分の目的を明確にしたうえで活用方法を検討しましょう。
複数の活用パターンから選ぶ
土地活用の目的を明確にするといいましたが、最初は完全に一つに絞って検討する前に複数の活用方法を比較しながら活用方法を決定するといいでしょう。
先ほど、土地の活用方法にはそれぞれメリットやデメリットがあると解説しました。よく比較していたら実は別の活用方法の方が、メリットが大きいかもしれません。
初期費用や収益性、管理面や節税など比較の方法はいくつもあります。複数の活用パターンから徐々に絞っていくといいでしょう。
お金のかからない土地活用はさまざまな方法を比較検討しよう
お金のかからない土地活用について解説しました。実はお金にかからない土地活用はいくつもあると感じた人も多いのではないでしょうか。土地活用の方法はさまざまですが、それぞれに特徴があり、地域の特性などにも大きく影響されます。
また、自己資金の額などによってもできる活用方法は限られてきますので、さまざまな方法を比較検討しながら自分に合った活用方法を見つけ出すのが大きなポイントです。
また、土地活用は、収益性だけではなき節税効果も見込めますし、管理面のわずらわしさなども大きく異なります。
自分ひとりで決めるのではなく、不動産会社や金融機関などに相談しながら、ベストな土地活用方法を探っていくのもオススメです。
効果的な活用方法を検討しましょう。