2025/11/28に、東京都港区にお住みの男性のお客様からワイン DRC ヴォーヌ・ロマネ・プルミエクリュ キュヴェ・デュヴォー・ブロシェ 2004 750mlを280,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・麻布店へDRCヴォーヌ・ロマネをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。麻布という街は、都心の中心にありながら喧騒と距離を置いた上質な静けさがあり、古くからの邸宅地としての佇まいと、国際色豊かな文化の流れが自然と溶け合う独特の魅力があります。ご来店されるお客様からも、派手さではなく“本当に良いものを長く大切にする姿勢”を感じることが多く、ワインとの向き合い方も、どこかゆとりを持った成熟した価値観がにじみ出ています。

今回お持ち込みいただいたヴォーヌ・ロマネは、まさに麻布という街の空気と美しく調和した一本でした。カウンターに置かれた瞬間、ボトルの佇まいは控えめながらも確かな存在感を放ち、リシュブールほどの壮大さではないものの、ヴォーヌ・ロマネならではの“しなやかな貴さ”が滲んでいました。お客様が「長く海外と日本を行き来していたので、自分のペースで少しずつ集めていた一本です」とお話しくださり、その言葉から、麻布らしいグローバルで穏やかな暮らしの風景が自然に浮かびました。

ボトルを手に取って状態を拝見すると、ラベルは紙質の張りが見事に保たれ、湿度による波打ちや角の浮きもなく、発色にも綺麗な深さが残っていました。キャップシールの艶は均一で、小さな傷や縮みもなく、ガラスの透明感にも濁りがなく、大切に扱われてきたことが一目で分かる美しい状態でした。麻布は高台エリアも多く、湿度や気温変化の管理が比較的安定しているため、ワインセラーや冷暗所をうまく活用して丁寧に保管されている方が多く、今回の一本もその典型だと感じました。

査定中、お客様が「開けるために置いていたというより、眺める時間が好きだったんです」と微笑みながら話してくださり、その“ワインとの距離感”に麻布らしい静かな美意識が感じられました。ただ所有するのではなく、一本のワインが持つ佇まいや物語を楽しむ。その姿勢が今回のヴォーヌ・ロマネの美しい状態にそのまま反映されていたように思います。

DRCヴォーヌ・ロマネは、DRCのグラン・クリュのような強い存在感とは異なり、繊細な香りと優雅な広がりで魅了する銘柄です。時間をかけるほどに静かに表情を変え、香りの奥にある柔らかな陰影や、味わいの中に生まれる細やかなバランスが際立ちます。その“控えめだが深い美しさ”は、麻布という街の成熟した空気にも重なるようで、光をあてながら液面を確認したときのしなやかな反射や、キャップの張りの自然な整い方からも、穏やかに育てられてきた時間の豊かさが感じられました。

このように丁寧に扱われてきた一本を当店へお持ち込みいただき、心より感謝申し上げます。