2025/11/28に、茨城県日立市にお住みの女性のお客様からDRC ロマネサンヴィヴァン 2019を280,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・茨城日立店へDRCロマネ・サン・ヴィヴァンをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。日立は海の青さと山の緑が近く、自然に囲まれた穏やかな街です。地元で育まれてきた“控えめで真面目な気質”があり、華美な装飾よりも長く寄り添う上質さを大切にする方が多い地域でもあります。日々の暮らしを誠実に積み重ねるその価値観は、ワインをお持ち込みいただく際にも鮮やかに表れ、一本への向き合い方の丁寧さに触れるたびに、こちらも心が温まるような気持ちになります。

今回お持ち込みいただいたロマネ・サン・ヴィヴァンは、まさに日立という街の穏やかさを映し出すような、“静かで奥行きのある佇まい”をしていました。ボトルがカウンターに置かれた瞬間から、主張の強い華やかさではなく、内側からじんわりと広がる深い気配が感じられ、ロマネ・サン・ヴィヴァンが持つ“柔らかく気高い静寂”が自然と伝わってきました。

お客様は、「子どもが独り立ちしたときに、自分の人生の一つの節目として買っておいたんです」と穏やかな口調で話してくださいました。その言葉の背景には、日立で暮らす方々らしい“家族を大切にしながら、自分の時間も丁寧に育てる姿勢”がはっきりと感じられました。特別な日を無理につくらず、ゆっくりと日常のリズムの中で時間を重ねる——その想いが、このワインの状態にも真っ直ぐに表れていました。

状態を拝見すると、ラベルは紙質の張りがしっかりと保たれ、湿度による波立ちや角の浮きもなく、印刷の発色もとても自然で綺麗です。キャップシールには均一な艶があり、縮みや歪みはなく、ガラスの透明度も高いため、光を通した際に澄んだ輝きを返してくれます。日立は海沿いという土地柄、湿度対策に気を配られるご家庭が多く、ワインセラーを使用されているお客様も多くいらっしゃるため、今回の一本もその恩恵をしっかりと受けてきた印象でした。

査定中、お客様は「開けるタイミングを探していたんですが、どうしても“まだその日じゃない”と思ってしまって」と静かに笑われました。その柔らかな言葉は、日立の穏やかな空気と調和していて、ロマネ・サン・ヴィヴァンが持つ“待つ時間の美しさ”と深く響き合っているように感じました。このワインは、強い主張ではなく、飲み手の心が整った時にそっと寄り添う一本であり、急がない生活のリズムを大切にする日立の価値観と見事に一致しています。

ロマネ・サン・ヴィヴァンはDRCの中でも特に“香りの重なりが深い”銘柄で、優美な酸、繊細なタンニン、静かに伸びる余韻が特徴です。派手に香りを放つタイプではなく、向き合うほどに静かに広がる“内なる気高さ”が魅力であり、丁寧に向き合うほど新しい表情を見せます。その性質は、静かに時間を積み重ねる日立という土地と相性が良く、今回の一本にもその穏やかな世界観がしっかりと宿っていました。

光に透かして液面を確認すると、熟成による自然な落ち着きが美しく、キャップの張り、ラベルの整い、ガラスの透明感などからも、長年にわたり非常に丁寧に保管されてきたことがひと目で分かりました。

このように真心を込めて扱われてきたロマネ・サン・ヴィヴァンを当店へお持ち込みいただき、深く感謝申し上げます。