2025/11/28に、千葉県成田市にお住みの女性のお客様からDRC ロマネサンヴィヴァン 2015を280,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・成田店へDRCロマネ・サン・ヴィヴァンをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。成田という街は、国際空港を抱えながらも地元の人々に愛される落ち着いた商店街が残っており、海外文化の受け入れと、日本らしい穏やかな暮らしが不思議なほど調和している土地です。暮らしの中で自然と“良いものを見る目”が育つ環境でもあり、ワインをお持ち込みになるお客様も、派手ではなく、静かに品のあるものを選ばれる傾向が強いと日々感じています。

今回お持ち込みいただいたロマネ・サン・ヴィヴァンも、まさに成田という街の空気をまとっているかのようでした。カウンターに置かれた瞬間、主張するような香りが立ち上るわけではなく、深い森の奥から穏やかに香りが広がるような、奥行きのある静けさが漂いました。ロマネ・サン・ヴィヴァン独特の“静かで深い余韻”が、ボトルそのものの佇まいから自然に伝わってきました。

お客様は、「仕事にひと区切りついた時、これからは自分の時間を大切にしようと思って迎えた一本なんです」とゆったりと語ってくださいました。誇張した言葉ではないのに、その一言の中に成田という地域に暮らす方々の“静かに自分を整える美意識”が込められているように感じられました。

状態を確認すると、ラベルは紙質の張りを見事に保ち、角の浮きや擦れ、湿度による波立ちは一切なく、印刷の発色も自然かつ鮮明です。キャップシールは均一な艶を纏い、縮みや歪みが見当たらず、触れたときの滑らかさからも保管環境が安定していたことがすぐに分かります。ガラスの透明度も素晴らしく、光を当てると清らかに反射し、長期間の穏やかな環境で守られてきたことが明瞭でした。

査定中、お客様は「開ける日をずっと考えていましたが、“今じゃない”と思う日が多くて」と穏やかに笑われました。その言葉には、成田の人々に特有の“せかさず、時間を育てる”価値観がそのまま現れているようでした。ロマネ・サン・ヴィヴァンは、飲み手の心が整ったときにゆっくりと開くタイプのワインであり、決して急ぐことを好まない性質を持っています。そのため、今回のように時間をかけて自然体で保管されてきた一本は、ワイン自身にとっても非常に理想的な扱われ方だったといえます。

ロマネ・サン・ヴィヴァンは、華やかではないものの香りの重なり方が非常に複雑で、しなやかな酸が全体をまとめ、繊細に織り込まれたタンニンが奥から支え、余韻が静かに長く続きます。表に力強さを押し出すのではなく、内側から少しずつ深みを見せるその性質は、成田という街の“派手さより誠実さ”という気質と驚くほど調和しています。今回の一本は、そのワイン本来の魅力をそのまま抱えたまま、今日まで大切に時間を重ねてきたことがよくわかりました。

光に透かした液面は非常に安定しており、熟成による自然な落ち着きが美しく現れていました。キャップシールの張り具合、ラベルの端正さ、ガラスの清らかな透明度——どの角度から見ても、長期にわたり誠実な扱いを続けられてきた一本であることが明確でした。このような良い状態のロマネ・サン・ヴィヴァンをお持ち込みいただけたことに、深く感謝申し上げます。