2025/11/28に、千葉県千葉市にお住みの男性のお客様からDRC ラターシュ LA TACHE 2020を450,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・千葉店へDRCラ・ターシュをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。千葉は、東京近郊でありながら、ゆったりとした時間が流れ、暮らしに落ち着きのある街です。海や自然が身近にあり、集合住宅から戸建てまで住環境にも余裕があり、ワインの長期保管に適したご家庭も多く見受けられます。また、派手なブランド志向よりも“本当に必要なものを大切にする”実直な価値観をお持ちの方が多いのが印象的で、ワイン選びにもその傾向が強く表れています。

今回お持ち込みいただいたラ・ターシュも、その“堅実で誠実な価値観”が自然に反映された一本でした。ボトルをカウンターに置かれた瞬間、ラ・ターシュ特有の深く沈むような気配が静かに広がり、じわりと感じられる重厚な存在感がありました。決して派手に主張するわけではありませんが、瓶の奥に圧倒的なスケールを秘めていることがひしひしと伝わり、静かな威厳を感じました。

お客様は、「子どもが独り立ちした時、何か記念に残るものをと思って選びました」と落ち着いた口調で語ってくださいました。その言葉には、千葉という地域に共通する“見栄ではなく、本当に価値のあるものを選ぶ”姿勢と、家族を大切にする温かさが混ざり合っており、ラ・ターシュの格調高さと見事に響き合っていました。

ボトルの状態は素晴らしいものでした。ラベルは紙質の張りがしっかりと保たれ、角の浮きや湿気による波立ちは見られません。発色も自然で美しく、経年の変色が非常に少ない理想的な状態でした。キャップシールは均一な艶をまとい、縮みや歪みがなく、触れた時の滑らかさからも、長期間安定した温湿度で保管されていたことがすぐに分かります。ガラスの透明度は高く、光を当てると深い赤の反射が穏やかに広がり、その輝きには長年大切に扱われてきた誠実さが静かに宿っていました。

査定中、お客様は「特別な一本だから、何となく開けるタイミングを逃してしまって…」と少し照れたように笑われました。その言葉は、千葉という街に根付く“無理をしない、自然な流れに任せる”価値観そのもので、ラ・ターシュの持つ“時間の中で深まっていく魅力”ともよく重なっていました。

ラ・ターシュは、DRCの中でも特に“重厚さと奥行き”に優れた銘柄です。黒系果実、スパイス、湿った土、樽のニュアンスが幾層にも広がり、飲み手に深い世界を感じさせる味わいがあります。骨格は太く密度が高いものの、酸がしなやかに支え、余韻は静かで長く続きます。この“静かな迫力”は、華やかさよりも落ち着きや深さを大切にする千葉という地域との親和性が非常に高いと感じました。

光に透かして液面を確認すると、熟成による自然な落ち着きが美しく表れ、透明度も高く、沈殿物も自然で問題のないものでした。キャップの張り、ラベルの状態、ガラスの質感——どれを取っても理想的なコンディションであり、誠実に保管されてきたために現れる美しさを感じました。