2025/11/28に、山梨県甲府市にお住みの女性のお客様からDRC ラターシュ 2007年 モノポール ドメーヌドラロマネコンティを450,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・甲府店へDRCラ・ターシュをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。甲府は、日本屈指のワイン生産地・山梨を代表する街であり、日常の中に葡萄やワインの文化が自然に溶け込んでいます。周囲を山々に囲まれた風土の中で、季節の移ろいを肌で感じながら生活する方が多く、“時間をかけて育つ価値”を理解している方が非常に多いのが印象的です。また、派手な華やかさよりも、誠実かつ堅実な価値観を大事にされる方が多い地域でもあります。

今回お持ち込みいただいたラ・ターシュは、まさにその“甲府らしい感性”と深く響き合う一本でした。ボトルをカウンターに置かれた瞬間、ラ・ターシュ独特の重厚で奥深い気配が静かに広がり、その静けさの奥に確かな強さを宿した存在感がありました。決して大げさに主張することはありませんが、瓶の向こう側に広がる壮大なスケールが、静かに、しかし確実に伝わってきました。

お客様は、「山梨で暮らすと、どうしても“育つ時間”を大事にしてしまって。だから節目には、この一本を選ぼうと思っていました」と穏やかに語ってくださいました。その言葉には、葡萄の生育や熟成というサイクルが生活に根付いている甲府の方ならではの視点があり、ラ・ターシュの“長い時間の中で完成する味わい”と見事に調和しているように思えました。

ボトルの状態は非常に素晴らしいものでした。ラベルは紙質の張りが均一で、角の浮きや湿度による波立ちは一切見られません。印刷の発色も自然で、経年による黄ばみや滲みがほぼないため、温湿度の安定した環境で保管されていたことがすぐに分かります。キャップシールは、表面の艶・密着具合・触れた時の滑らかさ、いずれも理想に近く、縮みや歪みが全くない点は極めて高い評価ポイントです。ガラスの透明度は驚くほど高く、光を当てた時の赤い反射が柔らかく揺れる様子は、健全な熟成を重ねてきたワイン特有の美しさでした。

査定の最中、お客様は「開けようと思った日は何度もあるんですが、どうしても“今じゃない”と感じてしまって」と静かに微笑まれました。その言葉には、甲府で暮らす人々に多く見られる“無理に急がず、自然な流れに身を任せる”価値観がしっかりと示されており、ラ・ターシュが持つ“長い成熟を待つ楽しさ”とも非常に相性が良いと感じました。

ラ・ターシュは、DRCの中でも特に“気高さと荘厳さ”を兼ね備える銘柄です。黒系果実やスパイス、土や湿った森の香りが複層的に重なり、味わいには太い骨格と圧倒的な深さがあります。余韻は長く、一本のワインでありながらひとつの風景のような世界観が広がります。この“深く沈むような世界観”は、山々に囲まれた甲府の自然の静けさとも響き合い、強い親和性を感じました。

光に透かして液面を確認すると、熟成による自然な落ち着きが綺麗に表れ、透明度は高く、沈殿物も自然で問題のないものでした。キャップの張り、ラベルの整い、ガラスの質感——どれを取っても理想的な状態で、“誠実さと時間”が瓶全体からにじみ出ているようでした。