2025/11/28に、東京都新宿区にお住みの男性のお客様からDRC ROMANEE CONTI 2008 / DRC ロマネコンティ 2008 750mlを2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・新宿店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。新宿は、日本でも屈指の多様性を持つ街であり、刺激的なスピード感の中に、アートと文化の深い側面も息づいています。夜を照らすネオンの華やかさと、裏通りの静けさが共存し、価値観の幅も広く、しかし“本物にこだわる人”が自然と集まる都市です。そうした新宿の空気と、ロマネ・コンティという“世界最高峰の静謐なワイン”は、ある意味で非常に相性が良いと感じています。

今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、その“圧倒的な存在感”がボトルを置いた瞬間に場を支配しました。強烈な香りを放つタイプではないのに、瓶の奥から放たれる気配は驚くほど深く、静かなのに揺るぎない、まるで宗教的とも言える特別な空気が辺りに広がりました。ロマネ・コンティは、数あるワインの中でも別格の存在で、一本一本が歴史の重みを内包しています。その存在感が、新宿の“多様で複雑な街の奥行き”とどこか共鳴しているようでした。

お客様は、「仕事の区切りとして、何か人生を象徴する一本が欲しくて」と話してくださいました。新宿は挑戦者の街でもあり、自分の節目に意味のあるものを選ぶ人が多い地域です。その価値観が今回のロマネ・コンティの背景にも自然に流れており、単なる贅沢品ではなく“人生の証”としてこの一本を選ばれたことがとても印象的でした。

ボトルの状態は極めて良好でした。ラベルは紙質の張りが均一で、浮きや滲み、湿度による波立ちはありません。発色は美しく、経年による変色も最小限で、丁寧に保管されてきたことがすぐに分かりました。ロマネ・コンティのラベルは繊細で、状態のわずかな変化も査定に影響しますが、今回の一本は理想に近い状態でした。

キャップシールは均一な艶を持ち、乾燥・縮みの兆候もなく、触れた際の滑らかな質感からも、温湿度管理が行き届いていたことがわかります。光に透かしたガラスの透明度は高く、深い赤の揺らぎは、ワインが健全な熟成を経てきたことを雄弁に語っていました。 査定の途中でお客様が、「何度か開けようと思ったのですが、どうしても“今日ではない”と感じてしまって」と静かに笑われました。ロマネ・コンティは“開ける瞬間さえ人生の決断”と感じさせるほどの特別なワインであり、その慎重さはむしろ自然です。この“タイミングを待つ感覚”は、新宿という街の持つ緊張感と余裕のバランスにも通じるものがあり、大変印象的でした。 ロマネ・コンティは、世界中のワインの頂点に立つ銘柄として広く知られ、その複雑な香りと味わいは、言葉で表現し切れないほど深いものです。赤い果実、黒い果実、花、土、スパイス、森の香りが幾層にも重なり、味わいはしなやかでありながら圧倒的な密度を持ち、余韻は驚くほど長く続きます。世界中の評論家が「飲むというより体験するワイン」と語る理由が、実際にボトルと向き合うと理解できます。 光に透かした液面は理想的な高さで、沈殿物の状態も自然で、内部の健全さが確信できるものでした。長い年月を経たDRCでここまで状態が整っている個体は希少で、“誠実に扱われてきた一本”であることがはっきりと伝わってきました。