2025/11/29に、東京都豊島区にお住みの男性のお客様からDRC ロマネ　コンティ　2017を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・池袋店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。池袋は、東京の中でも特に多様性が凝縮された街で、若さの熱量と、落ち着いた大人の文化が絶妙に混ざり合う独特の場所です。エンターテイメントに溢れた活気のある側面がある一方で、少し路地に入れば静かな喫茶店があり、本質を大切にする人々も息づいています。この“二面性”が、実はロマネ・コンティとも非常に相性が良いと感じています。

ボトルをカウンターにそっと置かれた瞬間、店内の空気が一段落ち着くような深い静けさが広がりました。ロマネ・コンティは、派手さで魅せるワインではありません。しかし、その奥底から静かに立ち上がる気配は、どんな街にもすぐに馴染むわけではなく、しっかりと空間を支配するほどの“存在そのものの重み”を持っています。池袋の持つ喧噪の裏の“静かな知性”と、このロマネ・コンティの風格が、まるで呼応するように響き合っていました。

お客様は、「若いころ、池袋に助けられたことが多くて。節目に、ちゃんと意味のある一本が欲しかったんです」と話してくださいました。その言葉には、池袋で過ごした時間の重み、そして“強がりではなく、自分の軸で物を選ぶ姿勢”がしっかりと感じられました。ロマネ・コンティは、自分の人生に節目をつけるために選ぶにふさわしいワインであり、その背景が加わることで一本の価値はさらに深くなります。

ボトルの状態は非常に良好でした。ラベルの紙質は均一な張りを保っており、湿度による波立ちや角の浮き、滲みや変色はほとんど見られません。ロマネ・コンティのラベルは非常に繊細で、管理環境の影響がすぐに表れますが、今回の個体は丁寧に光と湿度から守られてきたことがはっきりと分かる素晴らしい状態でした。

キャップシールは艶の均一さが際立ち、乾燥や縮みの兆候もなく、触れた際の滑らかさも申し分ありませんでした。ガラスの透明度は非常に高く、光に透かした液体の深い赤の揺らぎが、内部の熟成が健全に続いてきた証として美しく映りました。

査定の途中でお客様は、「何度か開けようとしたけれど、どうしても“今日ではない”と思ってしまって」と静かに笑われました。この“自分のペースを守る感覚”は、池袋という街の裏側にある穏やかな気質とも繋がっていて、ロマネ・コンティが持つ“時間を味方につける価値観”と、驚くほど自然に合っていました。

ロマネ・コンティは、世界の赤ワインの頂点に立つ存在であり、その魅力は香り・味わいともに圧倒的な複雑性を備えています。赤系果実、黒系果実、花、スパイス、森の土、ミネラル……それらが幾層にも重なり、ひとつひとつの要素が明確でありながら、全体として透明感のある大きな調和を生み出します。味わいはしなやかさと密度を兼ね備え、余韻は果てしなく長く続きます。“飲む”ではなく“体験する”という言葉が最もふさわしいワインです。

光に透かした液面の高さは理想的で、透明度も申し分なく、沈殿物も自然な熟成の結果であり、健全さが確信できました。これほど整ったロマネ・コンティは希少で、“誠実に扱われてきた一本”という価値が強く伝わってきました。