2025/11/29に、東京都渋谷区にお住みの男性のお客様からDRC ロマネコンティ 2000 赤ワイン750mlを2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・渋谷店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。渋谷といえば、若者文化の中心でありながら、その内側にはアート、音楽、カルチャーが濃密に息づく街です。新しさを取り込みながらも、“本質が分かる大人”が自然と集まる懐の深さがあり、その価値観は今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティと驚くほど親和性が高いと感じました。

ボトルをカウンターに置かれた瞬間、その場の空気がスッと深まりました。ロマネ・コンティ特有の“静謐な存在感”は、声を上げずとも空間を支配します。渋谷の喧騒の中にも時折見える、路地裏の静かなバーやギャラリーが持つ“凛とした空気”にどこか似ています。派手な主張はありません。しかし、奥の方で確かな強さが脈打っている——ロマネ・コンティとはまさにそういうワインです。

お客様は、「ずっと渋谷で仕事をしてきて、人の波にもまれながらも、やっと“自分”が一つ形になった気がして。区切りとして欲しかったんです」と静かにお話しくださいました。渋谷という街で積み重ねてきた努力、葛藤、挑戦。その背景が、今回のロマネ・コンティに特別な意味を与えているように感じました。ロマネ・コンティは“ただ高価なワイン”ではなく、“人生の軸に触れる一本”です。今回のお客様の物語と、これほど自然に溶け合うワインは他にありません。

ボトルの状態は見事でした。ラベルは紙質に均一な張りがあり、にじみや波立ちは一切見られず、角の浮きもなく、光と湿度から丁寧に守られてきたことが強く伝わってきました。ロマネ・コンティのラベルは非常にデリケートで、管理状態がそのまま反映されますが、今回の一本はまさに理想的な状態と言えます。

キャップシールは深い艶を湛え、乾燥や縮みなどの兆候もありませんでした。触れたときの滑らかさは、長期間にわたり安定した温湿度下で大切に保管されてきた証拠です。ガラスの透明度も抜群で、光に透かすと深い赤の柔らかな揺らぎが見え、内部の熟成が非常に健全であることが読み取れました。

査定の最中、お客様は「何度か開けようとしたんですが、どうしても“違うな”と感じてしまって」と笑みを見せました。渋谷の街で、表面的な流行を追いながらも、結局“本質”を選び抜く人が持つ直感。それがロマネ・コンティという“時間と向き合うワイン”と調和していることが、とても印象的でした。

ロマネ・コンティは、世界が認めるワインの頂点です。赤系果実、黒系果実、花、森の湿り気、スパイス、ミネラル……香りが幾層にも立ち上がり、一本のワインがまるで“文学作品”のように世界観を描きます。味わいはしなやかなのに濃密で、かすかなタッチまで精緻に感じ取れるほどの透明感。余韻は長く、深く、どこまでも続いていきます。ロマネ・コンティを前にすると、飲み手は“自分の人生と向き合う時間”を自然と与えられるのです。

光に透かした液面は理想的で、沈殿物も自然な形で落ち着いており、熟成の過程に歪みがありませんでした。ここまで状態が完璧に近いロマネ・コンティは非常に希少で、“誠実に扱われてきた一本”であることがひしひしと伝わる素晴らしい個体でした。