2025/11/29に、山梨県甲府市にお住みの女性のお客様からDRC ロマネコンティ2007を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・甲府店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。甲府は、ぶどうとワインの歴史が深く息づく地域であり、自然と向き合う暮らしの中で“本質を見抜く力”が育まれる土地柄です。日々の生活に豊かな自然が寄り添い、四季の移ろいを大切にする穏やかさがあり、その根底には“時間を尊ぶ感性”があります。この感性は、ロマネ・コンティが持つ“静かで深遠な世界観”と非常によく響き合うものです。 今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、その甲府の静けさを映し出したような佇まいでした。ボトルを置いた瞬間、空間に澄んだ空気が流れ、ワイン自体が語りかけてくるような独特の存在感がありました。ロマネ・コンティは、声高に主張するワインではありません。しかし、その奥に流れる“歳月の美学”が、自然と人を惹きつける力を持っています。甲府の山々の中で静かに時が積み重なる景色にも通じる美しさです。

お客様は、「人生の節目に、自分が誇れる一本を持っておきたくて」と静かにお話しくださいました。その言葉には、甲府で暮らす方ならではの“誠実で揺るがない価値観”が溢れていました。誰かに見せるための一本ではなく、“自分の心に刻む一本”を選ばれたという点が、ロマネ・コンティの哲学と強く重なっていると感じました。

ボトルの状態は素晴らしいものでした。ラベルは紙質の張りがしっかりと保たれ、波打ちや滲みはなく、角の浮きも見られません。細部まで丁寧に扱われてきた証であり、光や湿度の影響を最小限に抑えた素晴らしい保管環境で過ごしてきたことがわかります。ロマネ・コンティのラベルは繊細で、些細な環境変化も残りやすいため、ここまで美しい状態が維持されているのは希少です。

キャップシールは深い艶を湛え、乾燥や縮み、歪みの兆候は一切ありませんでした。触れたときの滑らかさは、まさに理想的な温湿度で保管されてきたことを物語っていました。ガラスの透明度も非常に高く、光にかざすと深い赤の静かな揺らぎが見え、内部の熟成が完璧に近い状態で進んできたことが確信できました。

査定中、お客様は「何度か開けようとしたんですが、どうしても“まだ早い気がして”と感じてしまって」と穏やかに笑われました。この“焦らず時を待つ感覚”は、甲府の自然と共に生きる価値観そのものであり、ロマネ・コンティという“時間を味方につけるワイン”と深く繋がっていました。

ロマネ・コンティは世界の赤ワインの頂点に立ち、ただ飲むものではなく“体験するもの”と形容される存在です。赤系果実、黒系果実、花、森の湿気、スパイス、ミネラル……香りが何層にも重なり、時間の経過でゆっくりと変化していきます。口に含むと、しなやかさと密度が共存し、余韻は驚くほど長く続きます。その一杯の中には、まるで甲府の山々が見せる“季節ごとの静かな変化”のような深みがあります。

液面は理想的な高さを保ち、透明度も完璧に近く、沈殿物も自然で均一でした。熟成の過程に歪みはなく、長期間にわたって誠実に扱われてきた一本であることが強く感じられました。