2025/11/29に、兵庫県姫路市にお住みの男性のお客様からDRC ロマネ・コンティ 2011を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・姫路店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。姫路は、世界的にも貴重な文化遺産を持つ街であり、その歴史の重みと凛とした静けさが日常の中にも息づいています。古くからの気質として、派手に飾るよりも“本当に価値があるもの”を静かに大切にする文化が根付いており、ワイン選びにもその感性が表れます。そうした姫路らしい価値観と、ロマネ・コンティの持つ“時と精神性”は非常によく調和するものだと感じています。

今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、まさに“姫路の静かな気品”をまとった一本でした。カウンターにそっと置かれた瞬間、室内の空気がふっと沈み込み、どこか厳かな空気さえ漂いました。ロマネ・コンティは声高には主張しません。しかし、近づくほどに深く、奥へ奥へと誘い込むような重厚な存在感があります。それはまるで、姫路城の白壁が、派手な装飾もないのに見る者を圧倒するあの独特の美しさにも通じています。

お客様は、「自分の中で節目となる時期が来て、記憶に残る一本を持ちたかった」と静かに語られました。姫路の方には、人生の大切な瞬間に“嘘のない選択”をされる方が多く、今回のお客様の言葉からもその誠実さが強く感じられました。ロマネ・コンティは金額の話にとどまらない、“人生に向き合う一本”です。まさにその背景と重なるように、今回のボトルは非常に深い意味を持っているように感じました。

ボトルの状態は素晴らしく、ラベルは紙質の張りがしっかりと保たれ、波立ち・にじみ・角の浮きといった要素は一切ありませんでした。光の当たり具合によって見える発色も自然で、保管の丁寧さが細部から伝わります。ロマネ・コンティのラベルは非常にデリケートで、少しの湿度でも変化が出やすいため、今回のように完璧に近い状態は極めて希少です。

キャップシールは均一に深い艶を保ち、乾燥や縮み、変形といった兆候は見られませんでした。触れたときの滑らかさからも、長期間にわたり安定した温湿度で保管されていたことが実感できます。ガラスの透明度も非常に高く、光に透かすと深く澄んだ赤がゆっくり揺れ、内部の熟成が完璧なバランスで進んでいたことを静かに語っていました。

査定の途中、お客様は「何度か開けようかと思ったけれど、どうしても“違う”と感じてしまって」と穏やかに笑われました。この“時を選ぶ感覚”は、姫路の自然と調和した暮らしの中で育まれる、ゆったりとした時間の流れにも通じています。そしてその価値観は、ロマネ・コンティの“年単位で育つ深さ”と美しく響き合っていました。

ロマネ・コンティは世界のワインの頂点に立つ銘柄であり、その香りや味わいは“理解する”というよりも“感じる”に近いものがあります。赤系果実、黒系果実、花、森の湿り気、スパイス、ミネラル……それらが重なり合い、時間とともに表情を変える複雑な香りは、まるで姫路の四季が見せる景色のようです。口に含むと、しなやかでありながら驚くほど密度のある質感が広がり、余韻は限りなく長く続きます。

液面は理想的で、透明度も申し分なく、沈殿物の状態も自然で均一。熟成の過程に一切の乱れがないことが確認でき、“誠実な時間”を長く過ごしてきた一本であることが力強く伝わりました。