2025/11/29に、大阪府大阪市にお住みの女性のお客様からDRC ロマネ・コンティ 1982 750ml 13％ フランス ブルゴーニュ 赤を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・天王寺店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。天王寺は、日々多くの人が行き交い、商業施設や文化施設が集まる大阪の重要拠点でありながら、古くからの寺院が街に静けさを与え、どこか“心が整う”ような独特の空気を持つ街です。活気と落ち着きが絶妙なバランスで共存し、人生経験を重ねた大人が自然と集まる場所でもあります。

今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、まさにそうした“深みのある天王寺”の空気に驚くほどよく馴染んでいました。ボトルをカウンターに置いた瞬間、外から聞こえていた賑やかな音がふっと遠のき、まるで静謐な境内に足を踏み入れた時のような、柔らかく澄んだ時間が流れ始めました。ロマネ・コンティが持つ“静かな存在感”は、天王寺の持つ“深い呼吸のリズム”と非常に相性が良いと感じました。

お客様は、「人生の区切りに、自分が胸を張って選べる一本を置いておきたくて」とゆったりと話してくださいました。天王寺の方には、華やかに飾るのではなく、自分の軸で静かに価値を選ぶ方が多く、その感性はロマネ・コンティととてもよく響き合います。今回の背景を伺い、まさに“人生と向き合う一本”としてのロマネ・コンティがここにあるのだと強く感じました。

ボトルの状態は大変素晴らしいものでした。ラベルは紙質の張りが均一で、経年による波立ち、角の浮き、にじみといった劣化は一切ありません。発色も自然で、ロマネ・コンティ特有の繊細なラベルとしては理想的に近い状態でした。光の影響をほとんど受けていない、非常に丁寧な管理がされていたことが一目で分かる品質です。

キャップシールもきれいな艶を保ち、乾燥や縮みの兆候は見られず、指先に伝わる質感も非常に良好でした。ガラスの透明度は高く、光にかざすと深紅の液体が静かに揺れ、その奥行きは“熟成が正しく進んできた証”そのもの。視覚だけでも内部状態の良さを感じられるほどでした。

査定の最中、お客様は「何度か“今日は開けるべきかな”と思った瞬間もあったんですが、どうしても“違う”と感じてしまって」と穏やかに笑っておられました。この“時を見極める感覚”は、天王寺の街に流れる落ち着いた気質にとてもよく似ており、ロマネ・コンティが本来もつ“時間と対話する哲学”とも深い部分で重なっていました。

ロマネ・コンティは、世界最高峰の赤ワインとされ、その魅力は香りや味わいの複雑性だけでなく、“飲む人の人生を映す深さ”にあります。赤系果実・黒系果実・森の湿り気・土・花・スパイス・ミネラルなど、多彩な香りが透明感を保ちながら重なり合い、時間の経過とともにまるで別の表情を見せ続けます。一杯に込められた深い静けさは、まさに天王寺の寺院がもつ“静と動を行き来する時間”を思わせるものでした。

液面の高さ、透明度、沈殿物の状態も非常に理想的で、熟成の過程に乱れがなく、“誠実に時間を積み重ねてきた一本”であることが確信できました。