2025/11/29に、大阪府吹田市にお住みの男性のお客様からDRC ロマネコンティ コルトン 2009を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・江坂店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。江坂は大阪市内へのアクセスが良く、ビジネス街としての顔を持ちながら、北摂らしい落ち着いた住宅街の空気も共存するエリアです。利便性と静けさがバランス良く同居しており、“華やかさよりも、確かな上質さ”を大切にされる方が多い印象があります。

今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、その江坂の空気に自然に溶け込むような静かな存在感を放っていました。ボトルがカウンターに置かれた瞬間、外の喧騒を忘れるほど穏やかな空気が広がり、まるで北摂の澄んだ朝のような静謐さが店内に満ちました。ロマネ・コンティは声高な主張をしないワインですが、“本物の深さ”を感じさせる静かなオーラがあり、その佇まいは江坂が持つ上品な雰囲気と強く共鳴していました。

お客様は、「子育てがひと段落し、夫婦二人で過ごす時間が増えた節目に、自分たちにとって特別な一本を持ちたいと思った」と、穏やかに語ってくださいました。江坂のお客様は、過度に飾ることはせず、自分と家族の時間を大切にする方が多く、その中で“人生の節目を静かに彩る一本”としてロマネ・コンティを選ばれたという背景に、深い共感を覚えました。

ボトルの状態は驚くほど良好でした。ラベルは紙質の張りがしっかり保たれており、角の浮きや波立ち、にじみといった経年劣化は一切見られません。発色も自然で、光の影響をほとんど受けていないため、非常に丁寧に保管されてきたことがはっきりと伝わります。ロマネ・コンティのラベルは特にデリケートで、湿度や光の影響がすぐに現れるものですが、今回の一本はそのリスクを徹底して避けてきた理想的な状態でした。

キャップシールは深い艶を帯び、乾燥や縮み、歪みの兆候は一切ありませんでした。指先に触れたときの滑らかさは、温度と湿度が長期間にわたり安定していたことを証明するものです。ガラスの透明度も非常に高く、光に透かすと液体の深紅がゆったりと揺れ、内部の熟成が完璧に近いバランスで進んでいたことが視覚的にも伝わってきました。

査定の最中、お客様は「特別な日に開けようと思ったこともあったんですが、どうしても“まだその時じゃない”と感じてしまって」と柔らかく笑われました。江坂の方は人生の節目を大切にしつつも、焦らず時間の流れを受け入れる感性を持っている方が多く、ロマネ・コンティの“時間と向き合う哲学”と非常に相性が良いと感じました。

ロマネ・コンティは世界最高峰と評価される赤ワインであり、その魅力は、ただ香りや味わいが複雑であるというだけではありません。赤系果実・黒系果実・花・湿った森・スパイス・ミネラルなど、幾層にも重なる香りが透明感を保ちながら湧き上がり、グラスの中で刻一刻と姿を変えていきます。味わいはしなやかでありながら圧倒的な密度を持ち、余韻は驚くほど長く続きます。江坂に暮らす方々の成熟した暮らしのリズムに、このワインの深い静けさは非常によく馴染むと感じました。

液面は理想的な高さを保ち、透明度も高く、沈殿物は自然で均一。“誠実に時間を重ねてきた一本”であることが、外観からも確信できる素晴らしい状態でした。