2025/11/29に、千葉県成田市にお住みの男性のお客様からROMANEE-CONTI 2010を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・成田店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。成田は、国際空港の玄関口として世界中から人が行き交う活気ある街でありながら、成田山新勝寺を中心とした歴史深い表情も併せ持つ、非常に独特な魅力を持つ地域です。賑わいと静けさが共存し、多文化に触れながらも“自分の美意識をしっかりと持つ人”が多い印象があります。

今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、その成田の空気と驚くほど自然に調和していました。カウンターに置かれた瞬間、店内には柔らかい静けさが広がり、まるで成田山の参道を歩き始めた時のような、空気がすっと澄む感覚がありました。ロマネ・コンティは華やかに主張するワインではありませんが、その奥にある重厚な香味と揺るぎない深みは、静かに触れた瞬間に人の心を深く引き込む力があります。その“内側に宿る強さ”は、成田が持つ歴史の重みや精神性とも自然に響き合っていました。

お客様は、「人生の節目に、自分にとって本当に意味のある一本を持っておきたいと考えて」と穏やかに話してくださいました。国際都市でありながら落ち着いた暮らしを大切にする成田の方らしく、派手な装飾ではなく“自分自身が納得できる本物”を選ぶ姿勢に深い共感を覚えました。ロマネ・コンティのような“時間を味わうワイン”を選ばれた背景には、この土地の感性がそのまま反映されているようでした。

ボトルの状態は非常に優れていました。ラベルは紙質の張りがしっかりと保たれ、角の浮きや波立ち、にじみなどは一切なく、発色も自然で、光の影響をほとんど受けていない状態でした。ロマネ・コンティのラベルは非常に繊細で、湿度や光によってすぐに表情が変わってしまいますが、この個体は丁寧に保管されてきたことが一目で伝わってきました。

キャップシールは艶やかで均一な輝きを保ち、乾燥や縮み、歪みといった劣化の兆候はありませんでした。指先に触れたときの滑らかでしっとりとした感触は、長期にわたって適切な温湿度で管理されていたことを裏付けます。ガラスの透明度も極めて高く、光に透かすと深紅の液体が静かに揺れ、内部の熟成が健全そのものであったことが視覚的にも確認できました。

査定の最中、お客様は「特別な日に開けるつもりでいたんですが、どうしても“まだその時じゃない”と感じてしまって」と静かに笑われました。この感覚は、成田山の空気にも似た“時を見極める落ち着き”であり、ロマネ・コンティが持つ“時間と向き合う哲学”と深く重なっていました。

ロマネ・コンティは、ただの高級ワインではなく、“人生の深さを写し取る鏡”のような存在です。赤系果実や黒系果実の香り、森の湿り気、土のニュアンス、花、スパイス、ミネラルなど、複数の要素が透明感を保ちながら重なり合い、グラスの中で時間とともに変化していきます。味わいはしなやかでありながら密度を持ち、余韻は驚くほど長く、飲む人の心に静かに刻まれる一本となります。

液面の高さは理想的で、透明度は高く、沈殿物は自然で均一。“誠実に時間を重ねてきた一本”であると確信できる美しい状態でした。