2025/11/29に、大阪府東大阪市にお住みの女性のお客様からDRC ロマネ コンティ ドメーヌ ド ラ ロマネコンティ 2014を2,000,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・東大阪布施店へDRCロマネ・コンティをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。布施は、東大阪の中でも特に人情味にあふれた街であり、商店街の賑わいと、深く根づいた“実直な暮らし”が共存する独特の地域です。職人気質の方が多く、派手な見せ方よりも、中身の確かさや誠実さを大切にされる方が多い印象があります。

今回お持ち込みいただいたロマネ・コンティは、その布施の空気と驚くほど自然に溶け込む“静かな強さ”を感じさせました。ボトルがカウンターに置かれると、外の商店街の賑やかさとは対照的な、深い静けさがふっと店内に広がり、まるで長年大切に使われてきた道具を手に取る時のような、独特の厳かさが漂いました。ロマネ・コンティというワインは、華やかに主張するのではなく、“触れた人の心に静かに深く響く”特別な存在です。その佇まいは、布施の街に根づく“飾らない誠実さ”と非常に相性が良いと強く感じました。

お客様は、「子どもが成人したので、家族の節目の象徴として一本くらいは本物を持ちたいと思ったんです」と柔らかく話してくださいました。布施の方々には、日々の暮らしを大切にし、人生の節目を静かに祝う気質があり、その価値観はロマネ・コンティの“深く静かな時間を宿す性質”と美しく重なります。

ボトルの状態は極めて良好でした。ラベルは紙質の張りが均一で、角の浮きや波立ち、にじみといった経年劣化は一切見られません。ロマネ・コンティのラベルは非常にデリケートで、湿度や光の影響を受けやすいのですが、今回の個体は長期間にわたり理想的な環境で保管されていたであろうことが一目で読み取れる状態でした。発色は自然で、色の退色もほぼなく、丁寧な管理が継続されてきたことを物語っていました。

キャップシールは深い艶を保ち、乾燥や縮み、歪みといった劣化は見られず、触れた際の質感も滑らかで均一でした。ガラスの透明度は非常に高く、光に透かすと液体の深い紅がゆったりと揺れ、内部の熟成が健全であったことが視覚的にも確認できました。

査定の最中、お客様は「何度か“今が開け時かな”と思った日もあったんですが、どうしても“今日は違う”と感じてしまって」と少し照れくさそうに笑われました。布施の方々によく見られる“急がず、時が熟すのを待つ”価値観がその言葉に滲んでおり、ロマネ・コンティというワインが持つ“時間と対話する精神性”とも深く共鳴していました。

ロマネ・コンティは、世界最高峰と称される赤ワインであり、その魅力は香りや味わいの複雑性だけでなく、“飲む人の人生を静かに映す深さ”にあります。赤系果実・黒系果実・森の湿り気・土・花・スパイス・ミネラルが透明感を保ちながら層を成し、グラスの中で刻々と変化していくその姿は、まるで職人が使い込んだ道具の表面に深く刻まれた時間のように、静かで重厚な余韻を残します。味わいはしなやかで密度があり、余韻は果てしなく長く続く、まさに“人生の節目を彩る一本”と呼ぶにふさわしいワインです。

液面は理想的な高さを保ち、透明度も抜群で、沈殿物は自然で均一。“誠実に時間を重ねてきた一本”であることがボトル全体から強く伝わる、申し分ないコンディションでした。