引っ越しの際にしなければらない手続きは山ほどあります。
特に住所変更は、郵便物の受け取りや銀行への届け、職場、子どもの学校関係、ガスに電気、水道…と生活に関するあらゆるところで関係していますから、役所での続き以外にも多くの事項で住所変更が必要になるのです。
思いついた時に早めに行えば良いものもありますが、中には住所変更に期限が定められているものも。
そのひとつが車庫証明です。
自家用車をお持ちで初めて引っ越しされる方にとっては、ややこしそうに思えますよね。
そんな車庫証明の住所変更に関して、どのような流れで行うのか、必要な準備物などもあわせて解説していきます。
- 車庫証明とは
- 車庫証明の住所変更手続きの流れ
- 車庫証明の住所変更手続きに必要な書類
目次
そもそも車庫証明とは?
一般的に車庫証明と言っているものの、正しくは「自動車保管場所証明書」と言い、ご自身がお持ちの車を置いておく場所があることを証明するものです。
車を持っている人は、法律で車庫を準備しなければならないことになっています。
車庫がないのに車を持っている人がいたり、他人の土地に勝手に車を置いたりすると、違法駐車や迷惑駐車に繋がりますよね。
車庫の大きさよりも車の方が大きいと、車が道路にはみ出して危険です。最悪の場合、事故の原因にもなりかねません。
また、ご自宅と車庫が離れすぎていると車庫証明は出してもらえません。
このような事態を防ぐために、引っ越し先でも条件にあった車庫や駐車場を準備する必要があり、そこに車を引っ越しさせたことを届け出るのです。
引っ越し時に行う車庫証明の住所変更手続きの流れ
引っ越しをした際に行う、車庫証明の住所変更に関する手続きの流れを見ていきましょう。
- 引っ越し後に管轄の警察署に行く
- 必要書類を提出し手数料を支払う
- 車庫証明書が発行される
どのような手続きが必要なのか、費用はかかるのか、あらかじめ持って行くものはあるのかなど、詳しく解説します。
引っ越し後に管轄の警察署に行く
引っ越しをしたら、車庫証明の住所変更手続きは、車庫のある住所地の警察署で行います。
直接出向いて警察署の担当の窓口で書類をもらうか、あらかじめインターネットでダウンロードした書類に必要なことを書いて持って行きます。
令和4年から「自動車保有関係手続のワンストップサービス(OSS)」を用いて、インターネットで手続きすることが可能になっています。
ただ、こちらの利用には条件もありますから、各都道府県の警察のホームページで確認が必要です。
必要書類を提出し手数料を支払う
車庫証明の住所変更手続きには、必要な書類を提出し、手数料の支払いをしなければなりません。
必要書類は後で説明しますが、提出する書類は、軽自動車か普通自動車かによって、また、車庫がご自身がお持ちの土地であるか、借りた駐車場かによって異なります。
ご自身の条件に必要な書類を準備しましょう。
手数料は、都道府県ごとに若干の違いがありますが、「申請手数料」と「標章交付手数料」を合わせて3000円あれば十分です。
「警視庁(東京都)」の場合だと2600円で、「大阪府警」の場合は2700円です。
書類受付時間は、都道府県の警察によりますが、平日の日中が多いようです。
お昼休みは窓口を閉めているところもあるため、書類受付日時を確認してから出向きましょう。
車庫証明書が発行される
書類に不備がなければ、3日~1週間後に車庫証明が発行されますが、この時にも車庫証明の書類やシールを受け取りに警察署に行きます。
都道府県によっては郵送も可能ですから、「自動車保有関係手続のワンストップサービス」のホームぺージもあわせてチェックしましょう。
引っ越し時に行う車庫証明の住所変更手続きに必要な書類
引っ越しの際に行う、車庫証明の住所変更手続きにどんな書類が必要なのか、なぜ必要なのかについて詳しく見ていきます。
人により必要書類が異なりますので、しっかりチェックしてくださいね。
ほとんどの書類は各都道府県の警察署のホームページからダウンロードできますし、「自動車保有関係手続のワンストップサービス」を利用される場合は、必要事項を入力すればOKです。
- 自動車保管場所証明申請書
- 保管場所標章交付申請書
- 保管場所の所在図・配置図
- 保管場所の使用権原を疎明する書類(自認書)
- 使用の本拠の位置が確認できるもの
- 保管場所使用承諾証明書
- 駐車場の賃貸契約書のコピー
- 収入証紙
- 委任状
自動車保管場所証明申請書
普通自動車をお持ちの方は「自動車保管場所証明申請書」、軽自動車の場合は「自動車保管場所届出書」が必要です。
これには基本情報を記入していきますが、いわゆる車庫証明を出してもらうための申請書にあたります。
必要な情報は、氏名や住所、電話番号などとともに、車を置いておく場所の住所も必要です。
ご自宅に駐車場がない方は、賃貸の駐車場の住所を確認しておきましょう。
他には、車のメーカーや型式、大きさなども記入します。
保管場所標章交付申請書
「保管場所標章交付申請書」は、車を置いておく場所があることを証明するステッカー(標章)をもらうための申請書類です。
このステッカーは車庫がある証明になり、シール状になっていて、車の後ろのガラスに貼り付けるよう法律で定められています。
必ずもらわなければならないものなので、「自動車保管場所証明申請書」と同様に全員、申請書類を提出します。
書類作成に必要な情報は、「自動車保管場所証明申請書」とおおむね同じです。
保管場所の所在図・配置図
「保管場所の所在図・配置図」は、車を置いておく場所に関する情報を、図にして視覚的な形にしたものです。
自宅と駐車場の位置関係や駐車場の周辺環境を図で示すということですね。
「所在図」は、自宅から車を置いている場所までの直線距離やそこまでの道順、方向、その間にある目印となる建物や通りの名前がわかるようにします。
「配置図」では、駐車場の広さ、周辺の道路の幅、駐車場の入り口、その周辺の建物の状況といったものが必要情報になります。
保管場所の使用権原を疎明する書類(自認書)
「保管場所使用権原疎明書面」は「自認書」とも言い、車を置く場所が自分の土地であることを、自ら証明するものです。
ご自身で、自分の土地に車を置きますと、警察署に届けるとイメージしてください。
つまり、駐車場を借りない方のみ必要になる書類ですね。
もし、その土地ががご夫婦の共同名義の土地であれば、もう一人の方の名前で承諾書を提出することになります。
また、同居家族が使用する場合も、その旨を追記して、こちらを提出します。
駐車場を借りている方は必要ありません。
使用の本拠の位置が確認できるもの
「使用の本拠の位置が確認できるもの」は、車庫証明に関する書類に記入した住所に住んでいることを確認するために必要です。
住民票や、運転免許証、健康保険証などが使えますね。
ただし、引っ越しした場合、新しいお住まいの情報が必要になりますから、先にこれらの住所変更をしておかなければ、使い物になりません。
水道や電気、ガスの領収書や、消印の押された郵便物でも良いのですが、引っ越ししたばかりだと、難しいでしょう。
保管場所使用承諾証明書
「保管場所使用承諾証明書」は、賃貸物件に居住してその物件の駐車場を使う、自宅外に駐車場を借りるなど、他人の土地に車を置かせてもらう場合に必要な書類です。
このため、大家さんなど、土地の持ち主に書いてもらいます。ご自分の持ち家に車を置く方は必要ないですね。
駐車場の賃貸契約書のコピー
「駐車場の賃貸契約書のコピー」は、駐車場を借りていることを証明するために必要です。
「保管場所使用承諾証明書」で必要とされる情報が「駐車場の賃貸契約書のコピー」に載っていれば、「保管場所使用承諾証明書」は不要のことも。
大家さんなどに証明書を書いてもらうと手数料が発生することもあるため、地域の警察署に代用できるか確認してみると良いですね。
収入証紙
手数料の支払いには、「収入証紙」を購入します。
購入場所は都道府県の警察署担当窓口で尋ねるといいですね。
普通自動車の場合、「自動車保管場所証明申請手数料」と「標章手数料」が必要で3000円弱かかりますが、軽自動者だと「標章手数料」のみなので5~600円ほどです。
委任状
車庫証明の書類を警察署で届け出るのは、代理人でも構わないのですが、その際には「委任状」があると安心です。
必ず必要ではなさそうですが、間違いを修正できないなど不便なこともあるため、準備しておくと良いですね。
引っ越し時に行う車庫証明の住所変更の注意点
引っ越しに伴う車庫証明の住所変更届を出すときに注意する点を見ていきましょう。
- 引っ越し後15日以内に再取得する必要がある
- 引っ越し後は車検証とナンバープレートも変更しなければならない
- 車庫が同じでも住所が変われば住所変更が必要になる
書類の不備などで申請がスムーズに進まないこともあります。
車庫証明は正しく行わないと法律違反になる可能性もあるため、しっかりチェックしてくださいね。
引っ越し後15日以内に再取得する必要がある
車庫証明は、引っ越しをした後、住民票を移動した日から15日以内に取得しなければなりません。
これは法律で決められており、違反すると10万円以下の罰金が科される可能性がありますので、要注意です。
さらに、車庫証明の住所変更が完了した後、その書類を持って、「車検証」の住所変更をしなければなりません。
こちらも、15日以内と期限が決められているため、住民票の移動をしたら早々に手続きに入った方が良いことがわかりますね。
ただ、軽自動車の場合、一部の地域では車庫証明が必要とされないところもありますので、要確認です。
車庫証明の担当窓口の開いている日時とご自身の空き時間が一致するとも限りません。
また、インターネットで申請し、ステッカーを郵送してもらうとしても数日はかかるため、どちらにしてもお早めに!
引っ越し後は車検証とナンバープレートも変更しなければならない
「自動車検査証(車検証)」や「ナンバープレート」も引っ越し後には、住所変更手続きが必要になります。
「車検証」の住所変更は、自動車税の納税通知書の送付先を変更するために行います。
こちらも、15日以内に行う必要があり、必要書類のひとつである車庫証明は申請から発行までに3日~1週間かかるためスケジュール管理がいりますね。
普通自動車をお持ちの方は、車庫証明が完了したらすぐにでも、新しい住所地を管轄する運輸支局に行きましょう。
必要書類は、新しい車庫証明、新しい住民票、これまでの車検証などです。
「ナンバープレート」は、管轄の運輸支局が変わらない場合は変更の必要はありません。
軽自動車の場合、これらの手続きは地域の「軽自動車検査協会」で行います。
車庫が同じでも住所が変われば住所変更が必要になる
お住まいだけ引っ越しをして、車の駐車場は変わらない場合でも、住所変更手続きは必要です。
なぜなら、お住まいの住所と車を置く場所の住所が2㎞以内でなければならない決まりがあるからです。
2㎞以内であることをきちんと届け出る必要があり、万が一、それより遠いことが判明すると、駐車場を新たに借り直す必要が出てきます。
実家に車を置いて、ご自身は別にアパートを借りると言った場合でも、同様に住所変更が必要ですし、もし2㎞以上離れていたら、駐車場は別に必要になってきますから、要注意です。
ただ、軽自動車をお持ちの方で、車庫証明の必要だった地域から証明が不要の地域に引っ越しをした場合は届け出はいりません。
逆に不要だった地域から必要な地域に転居する場合もありますね。
引っ越し時に行う車庫証明に関するよくある質問
引っ越しの際に車庫証明を取得することに関して、よくある質問を見ていきます。
- 車庫証明の再取得の期限が過ぎるとうなる?
- 住所変更の手続きをディーラーに代行してもらうと費用はどれくらいかかる?
- 住所変更を代理人に依頼する場合に委任状は必須?
手続き期間が短く、罰金が発生する可能性があるものの、どうしても忙しくて時間が取れない場合もありますよね。
そのような場合にどんな方法があるのかもチェックしてくださいね。
車庫証明の再取得の期限が過ぎるとうなる?
車庫証明が15日以内に取得できないと、罰金が科せられることがあります。
10万円以内とのことですから、決して安くない金額です。
とはいえ、よほど悪質なものでない限り、禁固刑が科されるなどと言ったことはなさそうです。
だからと言って車庫証明の住所変更をせずに放っておくと法律違反になります。
うっかり忘れていたということのないように、車庫証明の手続きも引っ越しの段取りに取り入れましょう。
住所変更の手続きをディーラーに代行してもらうと費用はどれくらいかかる?
車庫証明の住所変更手続きをディーラーにしてもらうことは可能ですが、1~3万円ほどかかってきます。
「岩手トヨタ」のホームページには、車庫証明と検査登録手数料が3万5090円と出ていますし、「Honda Cars 志木」のホームページには、住所変更とナンバー変更で2万円と出ています。
ディーラーによって違いはあるでしょうが、どちらにしてもご自身で行う場合と比べると、その差は歴然です。
ご自身やご家族で行う方が格段に安くて済みますね。
住所変更を代理人に依頼する場合に委任状は必須?
車庫証明の手続きは、代理人に依頼でき、必ずしも委任状がいるわけではありません。
車庫証明の場合、書類の提出の際も、書類の受け取りでも、代理人にお願いすることができます。
ご自身で書類を提出し、ご家族に取りに行ってもらうなど、提出と受け取りで違う人が行っても構いません。
書類に問題があれば、委任状のない代理人が修正できない点には要注意です。
書類に不備が無ければ、委任状がなくても困ることはないでしょう。
まとめ:引っ越し後の車庫証明は忘れずに行おう
車庫証明は15日以内に行う必要があり、2回も警察署に出向くとなると、とても面倒な手続きです。
引っ越しのバタバタで、やることがたくさんありますから、面倒なことは後回しにしたくなりますよね。
とはいえ、やらなければならないことですし、うっかり忘れて法律違反になるかもしれないとドキドキするのは嫌なもの。
車庫証明手続きは、引っ越し前後のスケジュールに組み込んで、忘れずに行ってくださいね。