2025/11/28に、東京都八王子市にお住みの男性のお客様からDRC リシュブール　2018を330,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・八王子店へDRCリシュブールをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。八王子は、都内でありながら豊かな自然と広い空が広がり、学生やファミリー層が多い街でもあります。その落ち着きと穏やかな暮らしのリズムから、ワインの楽しみ方にも“派手さよりも誠実さ”を大切にされるお客様が多く、一本一本に時間をかけて向き合われてきた方がよくご来店されます。

今回お持ち込みいただいたリシュブールをカウンターにそっと置かれた瞬間、ボトルが長い時間の中で静かに育ってきたことが伝わる、深く落ち着いた佇まいが印象的でした。お客様が「八王子に越してきて、部屋も広くなったので一本くらい良いワインをと思って購入した」とお話しくださり、その言葉に八王子という街が持つ“ゆとりと誠実な暮らし”の雰囲気を感じました。ワインをただ所有するのではなく、暮らしの時間の中で自然に寄り添わせるように大事にされていた様子が伝わりました。

ボトルを手に取らせていただくと、ラベルには湿度による波打ちもなく、紙質の張りがしっかりと保たれ、キャップシールには均一な艶が残っており、ガラスの透明感も澄んだ状態でした。八王子は自然豊かな地域であるため、年間を通して温度や湿度の変動が生じやすい環境ですが、今回の一本はそうした変化の影響をほとんど受けていない、見事な状態でした。ワインセラーや冷暗所など、ご家庭で保管方法を工夫されたことが伝わる、非常に丁寧な扱われ方を感じました。

査定の最中、お客様が「開けるきっかけがなくて、気が付けばずっと置いてしまって」と笑ってお話しされましたが、その“置いていた時間”こそがワインにとっては調和を深める熟成の時間でもあります。八王子のお客様は、ご家庭でゆっくりとワインを育てる方が多いため、その穏やかな背景と丁寧な保管が一本一本の状態に自然と現れます。今回のリシュブールも、背景と状態がしっかり結びついており、査定員としても納得しながら丁寧に評価させていただきました。

リシュブールは、派手さを排しながらも、熟成とともに静かに重層的な表情を現すワインです。香りの奥に潜む陰影や、味わいのなかに広がる深い余韻は、時間と共にゆっくり開いていく性質を持っています。その姿は、八王子の自然や暮らしのリズムのように“焦らず育つ美しさ”を感じさせます。今回のボトルも、光の当て方を変えたときの液面の落ち着きや、キャップの張り、ラベルの静かな佇まいに、その時間の積み重ねがしっかりと宿っていました。

大切に保管されてきた一本を当店へお持ち込みいただき、心より感謝申し上げます。