2025/11/28に、大阪府大阪市にお住みの男性のお客様からDRC ロマネサンヴィヴァン 2012 赤ワインを280,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・なんば店へDRCロマネ・サン・ヴィヴァンをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。なんばといえば、大阪を代表する賑わいの中心であり、観光客の笑い声や商人の活気が常に行き交う、エネルギッシュな街です。しかしその一方で、古い路地や落ち着いた喫茶店、昔から通う常連さんが集う店など、静かに“本物”を愛する人たちが根づく一面もあります。この多面的な地域性は、ワインをお持ち込みくださるお客様にも色濃く表れています。

今回お持ち込みいただいたロマネ・サン・ヴィヴァンは、そんななんばの二面性を映し出すかのように、“華やかさの奥にある静かな深み”を感じさせる一本でした。ボトルがカウンターに置かれた瞬間、強く主張するような香りではなく、内側からふわりと広がる落ち着きのある気配があり、ロマネ・サン・ヴィヴァンが本来持つ“柔らかい気高さ”が自然と伝わってきました。

お客様は「賑やかな街で働きながらも、家では静かに過ごす時間を大切にしていて。その区切りとして、この一本を買ったんです」と話してくださいました。その言葉には、“外では活気の中にいても、家では自分のペースを整えたい”という、なんばに暮らす方らしいバランスの取り方がにじんでいました。その姿勢は、このワインが丁寧に扱われてきた背景にもつながっているように感じました。

ボトルを見ると、ラベルは紙質の張りがしっかり残り、角の浮きや湿度による波立ち、擦れなどは見当たらず、発色の自然さが綺麗に保たれていました。キャップシールは均一な艶があり、縮みや歪みはなく、ガラスは透明度が高く、光の角度によって静かに輝きます。なんばは繁華街のイメージが強い一方、住宅地も多く、空調環境が整ったマンションにお住まいの方も多いため、今回の一本にもその環境の良さがしっかりと反映されていました。

査定中、お客様は「仕事を頑張った日に開けようとしたこともあったんですが、そのたびに“まだ違うな”と思ってしまって」と微笑まれました。その飾らない言葉に、なんばの“表向きの賑やかさとは別に、心のゆとりを大切にする大人の感性”が見え隠れし、ロマネ・サン・ヴィヴァンが持つ“時間とともに開く静かな魅力”と優しく響き合っていました。

ロマネ・サン・ヴィヴァンは、DRCの中でも特に香りの多層性が豊かで、しなやかな酸と繊細なタンニンが生む、静かに伸びる余韻が特徴の銘柄です。派手な一撃ではなく“心が整っているときにだけ深く沁みる”ようなワインであり、ゆっくり向き合うほど新しい表情が現れます。外の賑やかさと内側の静けさを共存させるなんばという街のリズムと、このワインが持つ魅力は驚くほど調和しており、今回の一本からもその雰囲気がはっきりと感じ取れました。

光に透かした液面は、熟成による自然な落ち着きを示す美しいラインを描き、キャップの張り、ラベルの整い、ガラスの澄んだ輝きなど、どこを見ても丁寧な扱いが続けられてきたことが伝わってきました。

このように静かに大切に保管されてきたロマネ・サン・ヴィヴァンを当店へお持ち込みいただき、深く感謝申し上げます。