2025/11/29に、神奈川県横浜市にお住みの女性のお客様からDRC コルトン　2018を630,000円でお買取をさせて頂きました。

この度は、当店・横浜店へDRCコルトンをお持ち込みいただき、誠にありがとうございます。横浜は港町らしい開放感と、異国文化が入り混じる洗練が共存する街です。山下公園や元町の柔らかな空気、赤レンガの重厚さ、みなとみらいの都会的な輝き──そのいずれにも、主張しすぎず上質さを大切にする横浜ならではの品格があります。

今回お持ち込みいただいたDRCコルトンは、まさにその“横浜の静かな上質さ”と見事に調和していました。ボトルがカウンターに置かれた瞬間、港から吹く風のような柔らかな静けさが店内に広がり、外のにぎわいとは別の時間がふっと流れこむのを感じました。横浜の方々は、見栄よりも“自分が本当に良いと思えるもの”を自然に選ばれる方が多く、その感性はDRCコルトンが持つ奥深さと非常に相性が良いと感じます。

お客様は、「仕事の節目に、自分への区切りとして一本だけ持っておきたかった」とお話しくださいました。その語り口は静かですが、強い芯がありました。横浜では、自分の価値観を押しつけることなく、それでいて揺るがない“内側の美意識”を育てている大人が多く、このコルトンという選択にもその品格がしっかりと滲んでいました。

ボトルの状態は大変優秀で、ラベルの紙質は張りを保ち、波立ちや退色、にじみ、角の浮きといった劣化はまったく見られません。DRCのラベルは特に湿度と光に敏感で、わずかな管理不足でも紙質に影響が表れます。今回の美しい状態は、長期間にわたって誠実な保管がなされていた証拠であり、査定額においても大きなプラスとなります。

キャップシールは均一な艶を保ち、乾燥・縮み・ひび割れといった劣化は一切ありません。指で触れた際のしっとりとした感触は、温湿度管理が丁寧に行われていた証であり、ワイン内部の健全性を示しています。ガラスの透明度も極めて高く、光に透かした際の深紅の液体の奥ゆきは、まるで横浜港の夕景のように穏やかでありながら力強く、その熟成の確かさを視覚的に感じ取ることができました。

査定中、お客様が「何度か開けようと思った日があったんですが、不思議と“まだその時じゃないな”と思ってしまって」と言葉を選ぶように話されたのが印象的でした。その感覚は、“急がず、自分のペースで時を楽しむ”横浜の人々に共通する気質のように感じました。コルトンが持つ“時間の経過とともに真価を発揮する美学”とその価値観が美しく共鳴していました。

DRCコルトンは、黒系果実、湿った大地、鉄分を思わせるミネラル、樽由来の深い香りが幾層にも重なり合うワインであり、グラスの中でゆっくりと表情を変えます。その様子は、季節や時間帯によって異なる姿を見せる横浜港のようで、静かな変化の中に深い魅力が潜んでいます。

味わいは重心が低く、しっかりとした骨格を持ちながら、透明感を失うことはありません。飲み進めるほどに奥行きが増し、余韻は非常に長く続きます。その印象は、横浜が持つ静かな余韻とよく似ており、ワインと街の空気が自然に調和していると感じました。

液面は理想的な高さを保ち、沈殿物は自然で均一。透明度も申し分なく、“誠実に熟成の時間が積み重ねられてきた一本”であることが外観からも明確に読み取れました。