そもそもコムデギャルソンって?

『ジュンヤワタナベコムデギャルソン』についてお話する前に、まずはその母体となるブランド『コムデギャルソン』について少し紹介していきたいと思います。『コムデギャルソン』は、1969年に日本人デザイナーである川久保玲氏が設立したファッションブランドです。同ブランド名は、「少年のように」という意味のフランス語が由来となっており、女性らしさよりもメンズライクなデザインを追求した川久保氏の意思をそこからも感じとることが出来ます。

『コムデギャルソン』のスタイルは、トレンドに左右されることなく、自立した1人の女性像をデザインに取り込み、反映させたものが多く、エレガンスさや上品さとは違ったルーズでワイドなシルエットを好むという、当時としては非常に斬新なものでした。また、取り入れるカラーもモノトーン系が多く、煌びやかで華やかな、いわゆるレディライクなスタイルとは一線を画したデザインを多く提案しています。川久保氏自身も、日常的にそのようなシックなスタイルを好んで着用していました。また、彼女自身の言動や生き方なども一部の層から熱狂的な支持を集め、1980年代には、黒の服におかっぱ頭の女性が街中に多く現れるようになり、「カラス族」と言われる独自のスタイルを誕生させました。

デザイナー・渡辺淳弥とは?

『ジュンヤワタナベコムデギャルソン』をスタートさせたのは、福島県出身のデザイナー・渡辺淳弥氏です。彼は、パタンナーとして『コムデギャルソン』の川久保玲氏の元で修業した後、1987年に『トリコ・コムデギャルソン』のデザイナーに就任しました。1992年に自身の名を冠したレディースライン『ジュンヤワタナベコムデギャルソン』のチーフデザイナーとして、東京コレクションに参加し、翌年にはパリコレクションに進出しました。1995年には、日本エディターズ・クラブのデザイナー賞を受賞、その4年後には、第17回毎日ファッション大賞で大賞を受賞するなど、着実にデザイナーとしての地位を確立させていきます。2001年よりメンズライン『コムデギャルソン・ジュンヤワタナベマン』をスタートさせると、川久保玲氏とともにコムデギャルソンを担うトップスタイリストとして名を馳せるようになりました。その後、2005年より株式会社コムデギャルソン取締役副社長を務め、名実ともにコムデギャルソンを支える人物として、今なお注目され続けています。近年では、モンクレールやトリッカーズ、バラクータなどの有名ブランドとコラボレーションするなど、ブランドとしての更なる進化のために尽力している日本のファッション業界には欠かせない重要な人物です。

誕生とファッション性

ここからは、ジュンヤワタナベコムデギャルソンがどのようにして誕生したのか、そのきっかけについてお話していきたいと思います。文化服装学院デザイン科を卒業し、『コムデ ギャルソン』に入社した渡辺氏は、川久保玲氏にその才能を見出され、派生ブランド『トリコ・コムデギャルソン』を任されるようになりました。その後、デザイナーとして力を伸ばした渡辺氏は、初のソロコレクションを1992年に発表します。このブランドこそが『ジュンヤワタナベコムデギャルソン』です。『コムデギャルソン』の一社員として、コレクションを手掛けるのは、異例のことでしたが、渡辺氏の斬新なデザインは大きな反響を呼び、『ジュンヤワタナベコムデギャルソン』は、1つのブランドとして、世に認識されるようになりました。

同ブランドは、独特な素材や日本独自の高度な加工技術などを駆使して、様々な魅力あるスタイルを提案しており、その中でも、特に評価の高いアイテムとして挙げられるデニムコレクションは、精密なカッティング技術を生かしたデザインがデニムとしての新たな可能性を有している、としてファッション業界からも高い注目を集めました。その他にも、ツイードやチェックなどの柄を好んで用いることが多く、シックな中にも輝く独自のスタイルを数多く手掛けています。近年では、定番のアイテムをジュンヤワタナベ流に「再構築」し、新たなデザインを1から作り上げるスタイルも取り入れており、トレンチコートやダウンなどのカジュアルなアイテムをより上品に仕上げ、話題を呼びました。また、同ブランドからは、実験的で想像の遥か上をいくデザインも多く発表されており、新たなトレンド生み出す可能性を感じるコレクションとして、毎シーズンファッション関係者が関心を寄せていることでも知られています。

まとめ

ジュンヤワタナベコムデギャルソンの誕生秘話、いかがだったでしょうか?日本を代表するファッションブランドだからこそ、ファッションを愛する皆さんには知っておいてほしいエピソードだなと個人的に思っています。少しオトナな気分を味わいたい、年齢に合ったシンプルな服装を楽しみたい、という方は是非一度、コムデギャルソンを訪れてみて下さい。自分を美しく魅せてくれる、最高の1着にきっと出会えるはずですよ。