機械式時計の正確さはどれくらい?

まず機械式時計の正確さ、ズレについてですが大体日差+10~20秒と言われています。つまり1日に10~20秒ズレるということ。

ちなみにクオーツ時計はというと月差10~20秒と言われているので、その差は歴然。

機械式時計は1週間もすると1分程度はズレるので、正確な時刻がキチッと知りたい方にはおすすめできないものになっています。

しかしながらセイコーなど独自規格によりもっと正確に、例えば日差+5秒での検査をしているメーカーもあるので、諦めてはいけません。

機械式時計はなぜズレやすい?

そもそも機械式時計はなぜ時刻がズレやすいのでしょうか。それには時計が動く仕組みを知る必要があります。

機械式時計が動くメカニズムは巻いたゼンマイがほどける力を利用してひげぜんまい~てんぷを回転(正確には往復運動)させて、それが動くテンポを秒針の動きにリンクさせるといった仕組みです。つまりちょっとしたことで力の伝達がズレるのです。

それがてんぷが動くリズムを狂わせ時刻のズレに繋がるのです。例えば衝撃、あるいは磁力、あるいは重力など簡単に機械式時計はズレていくのです。

機械式時計の調整の仕組み

機械式時計の調整は非常に難しく、熟練した時計師でないと正確な調整はできません。一言で言えばてんぷが刻むリズムを秒針が1秒に1目盛だけ動くように調整します。

おもりを着けたひもをたらして動くリズムと同じ仕組みなのでひも、つまりひげぜんまいを短く掴むとてんぽは速く、長くもつと遅くといったところです。

先ほど書いたように独自規秒に格をもつブランドは正確な機械式時計を造っています。つまり調整の仕組みを深く追求しているということなので、彼らしか知らないノウハウがあるに違いありません。

普段気をつけることで防げる時刻のズレ

普段の使い方で時刻のズレを最小限にとどめることは可能です。特に重要なのは使わずに保管するときの管理方法です。

機械式時計がズレる最も大きな要因は重力、つまり姿勢差です。姿勢差をできるだけ少なくすることで時刻のズレを抑えることができます。

やりかたはリューズを下に向けて保管するだけです。腕時計は普段着けている間はリューズが下を向くので、その姿勢でいちばん正確に動くように調整していることが多いのです。

振動数が多い時計:ハイビートならズレにくい?

姿勢差が時刻のズレの大きな要因ならば、姿勢差が起こりにくい仕組みの時計をつくればいいのです。

振動数、つまりてんぷの往復運動のスピードが速いほど、重力や衝撃などの外部要因による影響を受けにくくなるのです。

通常使われているムーブメントの振動数が18,000回/時として、例えばゼニスのエルプリメロなら36,000回/時と倍の振動数です。1969年に開発以降、現在でも使用されているハイビートムーブメントです。

トゥールビヨンは時刻がズレにくい?

トゥールビヨンは懐中時計時代の機構で、腕時計とは違って縦姿勢がほとんどだった頃の考え方になっています。

てんぷを支えているブリッジごと秒針のように回して姿勢差をカバーするといった大胆な仕組みはかつてブレゲが開発した機構ですが、現在でも多くのブランドが採用しています。

腕時計は懐中時計以上に姿勢差が複雑ですが、理論上はトゥールビヨンの仕組みなら姿勢差をカバーし合うことが可能です。

まとめ

機械式時計で正確さをどこまで追求できるのかまとめました。ハイビートやトゥールビヨンなどの機構は存在しますが、現実的なのは独自規格をもつブランドの時計を選ぶことが正確な機械式時計を手にする方法です。

日差が大きい時にはメーカー保証といった形で調整をしてもらえることもありますが、やはり限度があります。定期的なメンテナンス、保管時の向きをマメに管理しつつ日差と付き合っていくのが機械式時計の使い方なのかもしれません。