聖地スイスが世界一ブランドが多い

やはり世界で最も時計ブランドが多いのはスイスです。独立時計師のブランドまでを数えるのは難しいですが、wikipediaで77ブランドを確認しています。(間違いなくすべてではないです。個人ブランドまで合わせたら200くらいあるかもしれません。)

ロレックスやオメガ、ブレゲやパテック・フィリップなど名だたるブランドはスイスで創業しており、それがステータスになっています。Geneve(ジュネーブ)と文字盤に入れるために移転してくるブランドも存在するくらい「スイス製」には価値があるのです。

ドイツの時計ブランド

ドイツもスイス程ではありませんが、時計ブランドが多く存在します。

雲上ブランドとして名高いA.ランゲ&ゾーネや世界中に店舗をだしているジュエラーのヴェンペ、ベルリンに事務所をグラスヒュッテに工場をもつノモスや、かつて国営として軍用の時計を生産したグラスヒュッテ・オリジナルなど、時計好きにはたまらないブランドが数多くドイツで時計を造っています。

彼らはスイスのような宝飾品ではなく時計を道具として考えているので質実剛健なシンプルなものが多いです。

フランスの時計ブランド

フランスにも時計ブランドが存在します。かつて国の支援を受けるほどの地力をもつペキニエ、製造はスイスですが本社がパリにあるフランス発祥のブランドのベル&ロス、最近人気の高いミッシェル・エルブランなどファッション感度の高いブランドが多く、スイス時計に見られる宝飾品としての時計と同じ雰囲気を感じます。

なぜならスイスに時計文化が育ったのは、宗教革命でフランスからジュエリー職人がスイスへ逃げたから。高いセンスと技術をもった職人が時計に転身してスイスで活躍したのが時計の聖地スイスの始まりです。

ヨーロッパから離れるという意味

時計業界においてヨーロッパ、いえ具体的にはスイスから離れるのは時計造りを困難なものにします。なぜならスイスの横分業制で育った時計産業は、ムーブメントはムーブメントメーカー、針は針メーカーが造ったものを時計ブランドが組み立てるといった造り方だからです。

なのでサプライヤーから離れることは生産の上でデメリットが非常に大きくなります。ドイツの時計産業がここまで大きくなったのはスイスが隣にあったから、というのも一つの要因です。

日本の時計ブランド

しかしながら日本は島国根性といいますか、種子島から火縄銃が伝わった頃からの物造りへの信念なのか。スイスから時計を買ってきて、それをアレンジしたものを日本で造って販売したのです。

サプライヤーがいない日本は横分業はできません。しかし一社が時計のすべてを造る縦分業のマニュファクチュールによってこれを解決し、高い技術力によって後にスイス時計業界を大きく震撼させたのです。セイコー、シチズンが世界的に有名になったのもその頃からの思いの強さなのかもしれません。

チェコの時計ブランド

チェコに時計ブランドがあることをご存知の方はあまり多くないと思います。著者自身も一社しか知りません。唯一のチェコマニュファクチュール時計ブランドが「プリム」です。

1946年に国営から始まり、90年に民営化。やっと最近になって3D CADシステムや旋盤等の製造道具が揃ってきた、国に根付いたブランドです。まるで日本でいうセイコーのような位置づけで、国営時代には目覚まし時計まで造っていたのですから「時計を買うならとりあえずプリム」とチェコに住む人々が思うのは自然です。

番外編:キューバの時計ブランド

更に離れたキューバにも時計ブランドがあります。とはいえ番外編としたのはブランドといいつつ、メインはショップでありオリジナルウォッチも造って販売していたので、ハッキリとキューバのブランドと言い辛いためです。

前置きはともかく。かつてリゾート地として知られていたキューバのハバマにあったジュエラーが「クエルボ・イ・ソブリノス」です。ロレックスとWネームをするほどのショップでしたが、キューバ内戦で休眠。1997年に時計コレクターによって復活。今ではスイスに工場を構え、当時を彷彿とさせるキューバスピリット溢れる情熱的な時計を造るメーカーになっています。

まとめ

世界中の時計ブランドをまとめました。スイスだけでなくドイツ、フランス、日本、チェコ、キューバと紹介しましたがこれですべてではありません。

独立時計師まで考えるとオーストリア、オランダ、オーストラリア、アメリカ・・・まだまだ多くのブランドが世界中で素敵な作品を造り続けています。間違いのない有名なブランドの時計もいいですが、たまにはまさかと思う国で時計を手にしてみるのも、面白い時計に出会えるチャンスになるのでは。