A.Lange&Sohne(通称ランゲ)とは?

ランゲはドイツを代表する時計ブランドです。いずれもシンプルなデザインながら、非常に高級感のある品格を感じるものばかりです。機能は豊富ではありませんが、永く使うことが考えられた道具としての時計です。

年間生産は約1,000本で、ステンレスケースのモデルは原則つくっていません。ステンレスケースをつくることで安価になり大量生産が必要になるとどうしても品質が落ちてしまいます。

それを防ぐために金無垢かプラチナでしか時計をつくらないと決めているのです。

元祖ドイツ時計であり、ドイツを代表する雲上ブランド

現在ドイツ時計らしさと言われているムーブメントの地板が大きい仕組みの3/4プレートや無骨で時計を道具と管型設計になっている点などはすべてランゲから始まったと言われています。

また、ランゲが時計産業を発展させた創業の街グラスヒュッテには”ランゲ広場”があります。

グラスヒュッテでは人口の6割が時計産業に従事しており、地場産業として地域の雇用・生活を支えています。グラスヒュッテから始まっただけではなくランゲはグラスヒュッテを時計の街にした立役者なのです。

ランゲの歴史

ランゲの歴史は過酷といっていいでしょう。1845年にアドルフ・ランゲは時計産業をグラスヒュッテ村の山間で創業しました。

元々銀山だったグラスヒュッテで働いていた人たちは銀の枯渇により貧困にあえいでいました。そこで始まったのが時計産業といわれています。

順調だった歴史は戦争によって国有企業となり国内の大きな企業はすべて合併。ランゲの名前は消えました。しかし戦争が終わり東西ドイツが統合され、ランゲの曾孫のウォルター・ランゲがブランドを復活させたのです。

なぜ評価されているのか

ランゲが他ブランドと違う特徴が大きく分けて2つあります。1つは1モデルにつき1ムーブメント開発することです。

開発の手間・値段を節約するために大抵はベースムーブメントをつくって派生させます。しかしランゲは1つの新作に対し1つのムーブメントを開発するので手間も時間も資金もかかります。

そういったこだわりをもつブランドは他にありません。2つ目に点検後の出荷前に1度ムーブメントをバラして点検し、再組立てしてから出荷することです。そうすることで調整と仕上げを別々で行い、更に仕上がりのいい時計をつくりことができるのです。

代表モデル:ランゲ1


(画像出典:Noodlefish)
ランゲ1はランゲを代表するシリーズの一つです。

9時位置にオフセットされた時分針、2時位置にある位ごとに一窓ずつあるビッグデイト、3時位置にはパワーリザーブ表示、5時位置にあるスモールセコンド、いずれも斬新ながら滅茶苦茶ではない絶妙なバランス感。ランゲが復活と共に発表された第1号のモデルで、発表された1994年以来モデルチェンジしながらずっと愛されてきたシリーズがランゲ1です。

時に時分針やスモールセコンドにはムーンフェイズが現れるモデルも。

代表モデル:サクソニア


(画像出典:George Shahda)
サクソニアもまたランゲの復活の際に共に発表されたうちの1本です。デザインは極めてシンプルで、無駄な部分をすべてそぎ落としたような端正なモデルです。

時にはビッグデイトやムーンフェイズ機能が付いているモデルもありますが、それでも感じさせるのがドイツ時計らしさである時計を道具として考えているシンプルさ。

無骨とは違う洗練された無駄のないデザインは、ドイツ時計の歴史の長さを感じさせる仕上がりです。ちなみにサクソニアとはグラスヒュッテのあるザクセン州からの由来です。

まとめ

Sohneについてまとめました。ドイツを代表する時計ブランドたる高級感や品格は、けしてスイス時計にひけをとりません。

輝かしい歴史を歩んできたスイス時計とは反対に苦汁をなめてきたドイツ時計が本格的に発展していくのはこれからです。

その流れの中でドイツ時計らしさのパイオニアとして、またドイツ時計の品格を代表する時計ブランドの一つとしてこれから時計業界を盛り上げていくことがランゲの次なる役目ではないでしょうか。