深い関わりがある、戦争とファッションの変遷についてのお話し

深い関わりがある、戦争とファッションの変遷についてのお話し

移り変わりの大きなポイントとしてよく挙げられる、戦争に焦点を当てながら、ファッションの変遷についてお話していきたいと思います。

2017.04.09

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ミニタリーカーキ


ファッションはその時代の背景を映し出すとも言われていますが、これは、戦時中であっても同じことです。ここでは、戦争とウエアの進化についてお話していきたいと思います。戦争と聞いて、まずみなさんの頭に思い浮かぶカラーは何色でしょうか?ほとんどの方が、「ミリタリー=カーキ」を挙げると思います。

この色が、軍に採用されたのは、今から100年以上前の1904年と言われています。この頃、日本はちょうど日露戦争の最中にありました。時代は移り、第一次世界大戦が開戦された大正時代、着物の模様に王冠やビックベンなどといった、イギリスを連想させるものが取り入れられることが多くなりました。これは、1902年に締結した日英同盟の影響を強く受けていると推測されています。

洋服の絵柄に変化


昭和に入ると、着物には国旗や戦士の姿など、より直接的に戦争に繋がるような柄が多くみられるようになります。中には、陸・海軍による日中戦争の図案が入っているものもあったそうです。ちなみに、当時の子供の憧れであった軍服は、明治中期頃から洋服として日本に存在していたようです。

第一次世界大戦中のヨーロッパでは、女性の社会進出のため、コルセットの文化が衰退し、スカートもくるぶしまでのより活動しやすいスタイルへと変化を遂げていきました。その後、1930年代には各国で、ミリタリーを意識したカーキ色のドレスが盛んに製作されるようにもなりました。女性のファッションにも戦争の色が本格的に取り入れられるようになってきたのはこの頃と言われています。

生地の節約


昭和13年頃になると、軍の活動を優先するために、綿、羊毛に対する製造・販売を国が制限するようになります。この時期から、古着を仕立て直して着るカルチャーが台頭してきます。その後、牛革の使用も禁止になると、鯨、鮫、鮭、ウツボ、カエルといった水産加工品皮革が代替として用いられるようになりました。

その頃から、着物の需要が落ち込みはじめ、輸出制限により和服用反物が市場に余るようになります。当時の日本では、その余った和布で洋服を仕立てていたと言われています。その洋服も、襟やボタンをなくし、スカート丈をやや短くした、生地を可能な範囲で節約したデザインのものばかりでした。物資不足がいかにデザインに影響を与えていたかがよく分かりますよね。

婦人標準服


昭和17年、「被服報国」「軍民同装」のスローガンの下、衣服に関して新たな制度が設けられました。その結果、国民は、『国民服』もしくは消防活動に適した『婦人標準服』の着用を原則義務付けられるようになりました。ついに、衣服の自由が戦争によって妨げられるようになったのです。

この後、日本は終戦を迎えると、さらなる物資不足からファッション史としては不遇の時代を送ります。ファッションの自由を奪われた時代があるからこそ、今の多様なファッション文化が成立しているのかもしれませんね。

戦争とジーンズ


さて、ここからは、戦時中のアメリカで発展したジーンズ文化についてご紹介していきたいと思います。1941年の太平洋戦争の開戦によって、アメリカでは物資統制が発令されました。これによって老舗ジーンズメーカーのリーバイスは、綿糸の節約という理由から、さまざまな仕様変更が余儀なくされました。

そしてジーンズは、よりオリジナルなものへと変化・発展していきました。戦後、ジーンズの仕様は以前のものに戻りましたが、この当時のジーンズは、その希少性の高さから、現在でも、多くのジーンズマニアの間で高い人気を誇っています。

ジーンズの歴史


戦争がもたらしたジーンズの発展の歴史についてお話したいと思います。今でこそ、ジーンズは老若男女に愛される定番アイテムとして知られていますが、その起源は、炭鉱などで働く人に向けた作業着です。そのため、女性がジーンズを穿く機会はほとんどなく、普及当時は、「ジーンズ=メンズアイテム」というイメージが非常に強くありました。

女性たちの間で定着しなかった理由として、シルエットが美しくなくゆったりとしていたものであったこともよく挙げられますが、それ以上に、センターフロントにあるボタンフライ(またはジッパーフライ)のパンツであることのほうが大きい理由として知られています。

作業着としてのジーンズ


当時、レディース用のパンツには、センターではなくサイドにジッパーがついているものが主流でした。そのため、ジッパーがセンターフロントにあるタイプのジーンズは、女性たちから避けられる傾向にあったそうです。今では、当たり前のことですが、当時としては受け入れられない人が多かったようですね。

しかし、この状況を一変させる出来事が起こりました。これが、戦争です。男性たちが戦場に赴く中、女性たちは工場などで作業員として、戦争に従事していました。そこでの作業着として、動きやすさに定評があったジーンズが採用されていたのです。これによって、女性がジーンズに触れる機会が増え、戦後のジーンズ文化に多大なる影響を与えることとなったのです。

最後に…


戦争とウエアの進化についてお話してきましたが、いかがだったでしょうか?重いエピソードに感じられる部分も多々あったかとは思いますが、暗い歴史から見える一筋の光がファッションであったという風に捉えてもらえたらとても嬉しいです。「ファッションは時代を、歴史を巡る」-そんな感覚を持ちながら、日々スタイリングを楽しんでいきたいですね。

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