ブランデーって何?

「そもそも、ブランデーはウイスキーと違うのだろうか?」そんな疑問を持つ方は多いと思います。簡単に分けると、ウイスキーは穀物からつくられる蒸留酒であり、ブランデーは果実酒からつくられる蒸留酒と考えてもらうと分かりやすいでしょう。

例えば、ブドウを原料にしている蒸留酒、リンゴを原料としている蒸留酒、サクランボを原料としているなど、果物を原料とした蒸留酒をブランデーと呼んでいます。

ブランデーはワイン?

ブランデーの原料は果実であるとお伝えしましたが、その多くがブドウを原料としたものです。ブドウを原料としている醸造酒が原料となれば、それはまさしくワインです。リンゴであればシードルですし、サクランボが原料であればキルシェとなります。しかも、ワインをつくる時のブドウの搾りカスで作ったものは、マールやグラッパと呼ばれています。

しかし、多くのブランデーはワインからつくられており、やはりフランスがブランデー大国として有名なのです。

ユニブランとは?

ブランデーの殆どはブドウ、すなわちワインですが、そうなるとロマネコンティのブランデーは大変美味しいものだろうと思ってしまいます。希少価値の観点から見ればそうでしょうが、実はブランデーに使われるワインの原料のブドウは、普通にワインにしたら美味しいものではいけません。酸度が高く、量が多く収穫できるブドウが重宝されているのです。

例えば、ユニブランというブドウは特にブランデー用としては有名で、香り豊かな素晴らしいブランデーをつくります。酸が多いブドウはそこまで多くなく、本来はダメなブドウと思われていたのですが、ブランデー界のシャルドネのようにヒーロー扱いされているのです。

二つのトップブランデー

ブランデー自体は世界で多くつくられていますが、そのなかでもトップとして知られているのが、フランスの「コニャック」と「アルマニャック」です。このふたつを分けているのは、ワインやチーズなどと同様のAOC法で定められている場所でつくられているブランデーです。

コニャックのAOCの産地で最も優れているのが、「グランド・シャンパーニュ」で、アルマニャックが、「バ・アルマニャック」です。ほかにも、プティット・シャンパーニュやオー・アルマニャックなどがあり、それぞれに特徴が違っています。

ブランデーの製造工程

では、ここからブドウを原料とするブランデーの製造方法をチェックしていきましょう。まず、ワイン用のブドウを収穫します。収穫したブドウは果皮と種子を除くために圧搾されます。基本的にブランデーには過剰なタンニンは不要ですので、果汁のみで蒸留されます。

その後、ワインと同様にアルコール発酵が行われますが、アルコール発酵は8%程度に抑えてつくられます。実はアルコール度数はさほど要らず、酸や発酵中に揮発してしまいがちな香気成分を閉じ込めたブランデーが好まれます。

原料としてつくられたブランデーは、ウイスキーやリキュールなどと同様に蒸留器で蒸留されます。アルコールは水分より沸点が低いために、アルコールを先に抽出していくわけです。

ちなみに、コニャックとアルマニャックの大きな違いが生まれるのは、この蒸留方法にあります。コニャックの場合ですが、単式蒸留機で2回蒸留されます。一方、アルマニャックの方は、半連続式蒸留機で1回蒸留されます。この違いによって、互いの味わいに個性が生まれていくのです。

蒸留されたブランデーはその後、樽熟成の工程にすすみます。ブランデーの場合、なかには樽熟成を行わない透明なタイプもありますが、多くの場合は樽から抽出される成分と科学的な反応によって、琥珀色へと変わったものが市販されています。樽熟成は、樽木材成分が分解して溶出してくるため、ブランデーのなかに入っている成分と組み合わさり、さまざまな反応が行われます。

さらに、樽は極微量の酸素を通すため、緩やかな酸化熟成が行われ味わいに深みが出てくるのです。

ブレンド

ウイスキー同様、ブランデーも原酒もブレンドされて出荷されることが殆どです。

ブランデーの場合、さまざまな年代のブランデー原酒がブレンドされますが、そのブランデーのなかでもっとも若い原酒の年数によって、XOなどといったブランデーランクが決められます。つまり、どれだけ長期間に渡って熟成されている原酒をブレンドしていても、もっとも新しい原酒を使っていれば、それが基準となってランク付けされるのです。

ブランデーのランク

ブランデーのランクを表記するのは、「コント」と呼ばれる熟成年数で数えられます。例えば、コント00というランクは蒸留した年を示すものです。コント0は、樽熟成1年目であり、コント1の場合は樽熟成2年目といったように、コント+1が樽熟成年数と覚えておくと良いでしょう。

そのなかで、コント2からは別名でランク名称がつていきます。コント2は、「スリースター」「V.S.」です。コント4は「V.S.O.P.」、コント6は、「ナポレオン」、「X.O.」と呼ばれています。

難しく考えずブランデーを楽しもう