シャトーマルゴーは12世紀から存在した?!

シャトーマルゴーの歴史がスタートしたのは、12世紀頃だと言われています。詳細な文献は、残念ながら残っていませんが当時は「ラ・モット・ド・マルゴー」と言う名称で農園が営まれていたようです。その頃から、ブドウの栽培及びワインに近いお酒や飲料が製造・販売されていたのではないかと思われます。

しかし、12世紀~15世紀の間は、今のように有名なワインを作るのではなく、あくまでも農園としてのブドウ栽培が中心でした。そこから変化するのは16世紀、ちょうど1570年代に突入してからです。

シャトーマルゴーの礎を築いたある貴族とは?

1570年代に突入すると、1人の貴族がシャトーマルゴーを所有しました。その方こそシャトーマルゴーの礎を築いた「ピエール・ド・レストナック」です。彼は今後、メドック地方がワインの一大生産地となる、またここから名だたるワインが誕生すると予見したのです。

そこで1572年~1582年の間に、シャトーマルゴーにあった穀物畑を大幅に縮小し、ワイン畑を増殖。その敷地は昔のシャトーマルゴーとは一変し、広大な農地一面がワイン畑へと姿を変えたのです。これがシャトーマルゴーの始まりと言われます。

18世紀は繁栄と暗雲が立ち込める時代

18世紀に突入すると、シャトーマルゴー繁栄の時代を迎えます。農業・技術の進歩が目まぐるしく、現代のワインと変わらない味わいが生まれたのです。ルイ15世も宮殿内で嗜んでおり、王のみならず貴族の間にも広まり、王や貴族達がお得意様になったのです。

しかし、18世紀末期になるとフランス革命が発生し、革命政府に没収されてしまいました。そして当時、所有者であった「ジョゼフ・ド・フュメル」も革命の煽りを受け、処刑される悲劇もあり、シャトーマルゴーに暗雲が立ち込めてきたのです。

1855年のパリ万国博覧会で多大な評価を受ける

19世紀に突入すると、フランス第二帝政時代を迎えており、この時の所有者は「エミリー・マクドネル」でした。彼女は、革命の煽りを受け評価が下がったシャトーマルゴーを、昔の名声を取り戻すべくワイン造りに尽力していました。その努力が実ったのが、1855年に開催された「パリ万国博覧会」です。

当時の皇帝「ナポレオン3世」による、ワインの格付が実施された際、ブラインドテイスティングにてなんと、20点満点中20点を獲得。この評価により、シャトーマルゴーを含めたボルドーワイン達は世界で評価され、正に黄金時代を迎えたのです。

シャトーマルゴー消滅?!1960年~1970年の事件とは?

シャトーマルゴーは度重なる危機を乗り越え、1960年代まで変わらず製造されました。しかし、1960年~1970年にかけてシャトーマルゴーを揺るがす事件が発生。それは、シャトーマルゴーの品質が大いに下がったこと、そしてワインの大暴落です。

当時、所有していた「ジネステ家」は熱心にシャトーマルゴーに力を注いでいましたが、ブドウ達はどれも凡作ばかり。その上、当時発生したオイルショックやワイン市場の下落により、徐々に品質が落ち込み、遂にはシャトーマルゴーがなくなるところまで来ていたのです。

シャトーマルゴーを立て直し!名声を取り戻した方法とは?

その危機に立ち向かったのが、実業家「アンドレ・メンツェロプーロス」氏でした。彼はブドウ畑の再開発に取り組むだけでなく、ボルドー大学より醸造学者の「エミール・ペイノー」氏を招集。技術顧問としてワイン醸造のコンサルタントとして活躍したのです。

彼は事業で成した大金をシャトーマルゴーに惜しげもなくつぎ込みますが、残念なことに彼が生きている間に名声を取り戻した姿を見ることは叶いませんでした。しかし、彼の取組により複雑な味が絡み合う極上のワインとして生まれ変わり、現在も多くの愛好家に愛されるワインへと返り咲いたのです。

シャトーマルゴーの当たり年:1995年&1996年

シャトーマルゴーの当たり年としてまず、挙げられるのが「1995年&1996年」のワインです。

1995年はフランスボルドー地方にとって、これ以上ないほどのブドウに適した気候が続きました。恵まれた天候の中、育まれたブドウ達の品質はどれも素晴らしく、高品質のボルドーワインが次々と登場。もちろんシャトーマルゴーも同様に、高品質のワインに仕上がりを見せています。

このブドウに適した天候は、翌年の1996年にも続きました。これにより、1995年&1996年はどれも当たり年と称されているのです。

シャトーマルゴーの当たり年:2006年

2000年代に突入してもなお、シャトーマルゴーの当たり年が続々と登場します。中でも2006年に登場したシャトーマルゴーは、各界から大きな評価を受けたことで有名です。それぞれのポイントを見てみましょう。

・パーカーポイント:94点
・2010年アシェット・ガイド:5つ星
・レ・メイユール・ヴァン・ド・フランス:最高評価の3つ星
・ワインスペクテーターにて高評価
・ゴーミヨ:5つ星獲得

等々、有名なパーカーポイントに限らず、各情報誌や著名人の方から多大な評価を受け、ワイン愛好家にとって垂涎ものの一品です。

シャトーマルゴーの当たり年:2010年

2000年代は2000年・2003年、そして2004年~2009年まで当たり年が続いた正に、シャトーマルゴーの豊作の年です。こうも豊作が続くと、2010年代が心配になってきますが、なんと2010年代初めの「2010年」がいきなり、当たり年を迎えます!

2009年に引き続き、2010年もブドウに適した天候と環境、そして品質の良いブドウ達が収穫され、特にこの2年間は高評価を得ています。そしてこの年は、新しいオーク樽を用いる等の改革が行われた年でもあるため、今までにないシャトーマルゴーを楽しめる年代なのです。

まとめ