アルマニャックとは?
(画像出典:ブランデーダディ)
知名度でみるとコニャックのほうが一般的に知られていますが、アルマニャックの方がコニャックより歴史が長く、なんと700年以上の歴史を持っているフランス最古のブランデーだったりします。
ルイ14世も愛したとされるアルマニャックブランデーですが、実のところアルマニャックの歴史や起源はあまり知られていません。
わかっているのは、700年以上の歴史があるよ~っていう情報だけ。なんて秘密主義なアルマニャックブランデーなのでしょうか。
誕生秘話も含めて正式な文献や記録は残ってないとされているアルマニャックですが、世間に散らばっている逸話をまとめてみました。
アルマニャック地方について
フランスのボルドー地方南に位置している、ガスコーニュ地方の中央にアルマニャック地域があり、そのアルマニャック地域で作られるブランデーをアルマニャックと呼びます。
といってもその地方で造られるブランデー全てがアルマニャックを名乗れるのではなく、アルマニャックはシャンパンやコニャックと同様に、ブドウの種類や産地、製造方法など厳しく定められており認められたブランデーしか名乗ることが出来ません。
アルマニャックの製法
アルマニャックの製法で特徴的なのは「伝統的な半連続式蒸留」です。コニャックは単式蒸留を2回行いますが、アルマニャックはゆっくりと時間をかけて蒸留を1回行います。
冬の間に行う地道な蒸留工程と丹精な樽熟成によって、アルマニャックの個性と言える男性的でフレッシュな風味が生まれるのです。
文献にブランデーが登場したのは 13世紀中頃?
一般的にはブランデーの登場は、スペインの医者でもあり錬金術師であったアルノー・ド・ヴィルヌーヴが、ワインを蒸留したのが始まりだと言われています。
その他スペイン、イタリアドイツなどのヨーロッパ各地でもワインを蒸留した記録が残っていますので、この頃にはすでにワインの蒸留は日常的に行われていたのではないかと思われます。
ワインを蒸留した記録があった後、14~15世紀頃にはブランデー大国となるフランスに伝藩されており、さらにピレネー山脈を越えてアルマニャック地方へ伝わったのは、1411年とされています。
そしてその後16世紀頃、北側にあるコニャック地方にも伝わったとされていますが、当時のヨーロッパは寒波に襲われ、宗教戦争の影響も合い重なってか、ワインの品質が落ちてしまった時期でもありました。
それに加えてフランス政府は税制改正を行った為、アルコール度数に関係なくワインの量に対して重税をかけるようになったのですが、ワインは次第に売れなくなり、生産過剰に加え輸出の伸び悩み現象もあらわれるなど、ワインの在庫がだぶつきはじめました。
捨てるに捨てられず…処分に困ったオランダ商人達は、苦肉の策としてワインを蒸留して輸送しました。
するとこれが偶然にも美味しいと評判になり、大成功を収めます。
これを機にフランス各地へ蒸留の技術はどんどん広まっていき、高い評価を得るようになってきました。これが一般的に知られているブランデー造りの始まりです。
ブランデーはこの当時、薬酒として使われており、ラテン語でアクア・ビテ「生命の水」と呼ばれていました。
その名残からフランス語で訳した「オー・ド・ヴィー<生命の水>」という言葉が、現代のフランス語でもブランデーなどの蒸留酒の意味で使われています。
停滞していた外商も、オランダ、イギリスへの輸出が急激に増え、葡萄は金の成る畑となった為、フランスの畑という畑は葡萄畑に一変したそうです。
1630年ごろから本格的に始まったブランデーの製造は、それから1世紀近くたった18世紀初めには、「中級農家でさえ自醸ブドウ酒を蒸留している」と揶揄されるほどに成長を遂げました。
またフランスの王、ルイ14世もブランデーに魅せられた1人であり、1713年に次のような勅令を発し、ブドウ酒蒸留保護の立場を明らかにしました。
「何人たるを問わず、ブドウ酒以外のいかなる物質からもスピリット(酒精のこと)を製造することを禁ずる」
この勅令後、ブランデーは正式にヨーロッパの各宮廷に取り入れられ、「王侯の酒」の地位を得ることに成功しました。
別の一説では
アルマニャックブランデーの誕生は三つの文明の融合に由来し、ローマ人がこの地方にワインの製造技術を伝え、アラブ人から蒸留器が伝わり、ケルト人が樽の技術をもたらしたとされています。
アルマニャックの歴史を簡単にまとめてみましたが、他にも違う説があるようです。
これらの話を総合的に見て、筆者自身が感じたことは、起源がはっきりしない程に歴史が長く、いつの間にか市民の生活に浸透していたのではなだろうかと思いました。
ただ歴史がどのような形であろうと、誕生秘話が明確であろうとなかろうと、アルマニャック技術は素晴らしく美味しい!ブランデーという美しく甘美な飲み物に出会えたことは、人類の財産といえるのではないでしょうか。
文献に記載されている歴史が事実に近いものであるなら、ブランデーを造りだしてくれたオランダ人に感謝したいと思います。
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古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。