はじめに

ワインが大好きだけれど、ワインに関しては早く飲み干さないと、直ぐにダメになってしまうと思い、購入を悩まれる方がいます。

確かに、1本数百円から数千、数万円という価格差のあるワインで、早く飲み干さなければならないのであれば、高価なものに手が出しにくいことはあります。

さらに、買ったはいいけれど飲むことを忘れていた…もうダメだろう。こういった声も少なからず聞きます。

つまり、ワインの賞味期限に関して敏感な方が多いということです。しかし、そもそもワインに賞味期限があるのでしょうか?ラベルにはヴィンテージは記載されていても、賞味期限が記載されていることはありませんよね。

一体どういうことなのでしょうか。今回、ここではワインの賞味期限についてを確認していきましょう。

ワインの賞味期限とは!?

まず、いきなり応えを出してしまって申し訳ありませんが、ワインに賞味期限は存在しません。ワインは熟成をするお酒ですので、数年はもちろん、なかには数十年、100年持つものもあります

通常のお酒ですと、さすがに古くなるとダメになるため、ワインは特殊なお酒といっても過言ではないでしょう。

ワインには、有機酸である酒石酸やコハク酸、リンゴ酸などが多く含まれています。

さらに、PHの値が低めのことからも酸性のお酒です。そして、抗酸化作用で有名なポリフェノール類などがワインの劣化を防ぐ役割を持つため、ワインはほかのお酒よりも長持ちするのです。

熟成は、ポリフェノール類の各種や縮合型タンニンによって引き起こされるので、果皮や種子を一緒に醸して赤色にする赤ワインの方が長持ちするということです

酸化は劣化ではない

賞味期限が無いけれど、放置していたら酸っぱくなった。こういった声も少なからず聞きます。まず、勘違いしてはいけないのが、ワインが腐ることと酸化は別ものであることです。

酸化というのは、空気中の酸素にワインの液体が触れることで起こる酸化反応です。

酸素によって、ワイン中の成分が反応することで起こる現象のため、酸っぱくなるのは酸化である腐敗しているとは別なのです。いえば、樽熟成は完全に酸化の工程です。

色合い、渋みの安定、樽からの成分の溶出というイメージですが、樽は細かな小さな穴が無数に空いています。もちろん、液体が流れ出さないものですが、ここから必ず酸素が入ってきます。

樽熟成の場合、このように緩やかに酸化が進んでいくことからも、ワインの味わいに複雑味や良い香味がつくわけです。

もし、酸っぱくなっていたとしても、人体に害はありません。料理酒として使うのが良いでしょう。

酢酸で腐敗する場合

では、本当に腐っているのでは?というような酸っぱさはどうでしょうか。

腐っているわけではないですが、その場合は完全にワイン中の液体に別の成分が混ざってしまい、酢酸菌によって腐敗現象が起こってしまっている状態をさします。

これは、ワインをしっかりとコルクやスクリューキャップでしめておけば起きえない状態です。前述の酸化の補足になりますが、仮にちゃんと保存していたのに…というのであれば、空気中に長い間触れていた可能性があります。

そして、半分程度まで減ってしまったワインの瓶のなかに大気中の酸素が入れば、瓶内で残りのワインの液体と酸素が常にある状態なので酸化しやすくなっています。これが、恐らく原因です。

もし、気になるのであれば、ペットボトルや煮沸消毒してあるハーフボトルなどに入れ替えれば、酸素との接触を避けられるでしょう。

賞味期限ではなく、飲み頃

ワインは、下手をすれば100年以上持つものがあるとお伝えしました。ボルドーなどでは、1800年代のワインがセラーに残っているような場所が多いですし、伝統のあるシャトーなどであれば、1700年代に造ったワインすらも残っていることでしょう。

そういった意味合いでは、ワインは何でも長持ちすると理解する人も現れます。古ければ、古いほど良い。

こういった、古酒信仰となってしまうワイン通が現れても不思議ではありません。

しかしながら、ワインのタイプによって飲み頃が決まっているので注意してください。

ワインの場合は、賞味期限は存在しません。ただし、美味しいと感じられる飲み頃はあります。

それを人はワインのピークと呼んでいますが、これを知らないとせっかくワインを長年熟成させていたのに、痛い目を見てしまうのです。

では、ワイン別に飲み頃を少しお伝えしましょう。

カジュアルなワイン

また、セラーにしっかりと寝かしておくことが必要であり、最初から飲みやすいワインでは熟成に適しません。つまり、カジュアルなワインの場合は長くても3年以内には飲むべきでしょう。

さらに、ワイナリーやワイン製造工場などから出荷される場合、海外であれば日本国内の店頭に並ぶのには2ヶ月はかかります。そのため、むしろピークを迎えてしまっているものもあります。

スーパーマーケットなどで手軽に手に入るワインの場合ですが、今直ぐが飲み頃という感覚で購入するのが良いでしょう。

また、セラーにしっかりと寝かしておくことが必要であり、最初から飲みやすいワインでは熟成に適しません。つまり、カジュアルなワインの場合は長くても3年以内には飲むべきでしょう。

さらに、ワイナリーやワイン製造工場などから出荷される場合、海外であれば日本国内の店頭に並ぶのには2ヶ月はかかります。そのため、むしろピークを迎えてしまっているものもあります。

スーパーマーケットなどで手軽に手に入るワインの場合ですが、今直ぐが飲み頃という感覚で購入するのが良いでしょう。

高級ワイン

高級ワインといっても、世界各地にさまざまなものがあるので、一般的な飲み頃として読み進めてください。特に長年持つといわれるのが、ボルドー産のワインです。

カベルネソーヴィニヨンはタンニンが非常に強く、熟成向きの品種でもあります。さらに、メルローやカベルネフランなどをアッサンブラージュするために、熟成に向いたワインを狙って造れるのです。

一方、ピノノワールは難しいといわれています。ブルゴーニュ地方の素晴らしい作り手の場合、ピノノワールを熟成させる用に造る人もいるので、数十年の熟成に耐えます。

ただし、ニューワールドワインなどのピノノワールはまだまだ未知数であり、熟成に耐えるか分からないワインが多くあります。

一般的に、ピノノワールは10年、ボルドーは15年を目安に考えておけば良いでしょう。白ワインの場合、2~3年が一般的です。

特に、フレッシュ&フルーティーな白ワインの場合、熟成させてしまうと新鮮な香りなども飛んでしまい、何となくだらし無い味わいとなってしまいます。

白ワインであっても、樽を入れているようなシャルドネなどであれば別で10年以上の熟成に耐えるものもあります。ナッツやオイルのようなテイストを楽しみたいのであれば、もともとそういった造りをしている白ワインを選ぶべきでしょう。

酸化防止剤について

最後に、亜硫酸のお話しを少ししましょう。ワインに賞味期限が無いのに、酸化防止剤が入っています。亜硫酸塩というものですが、これは醸造工程の途中でも入れられていることが多いようです。

ヴァンナチュールなどの自然派ワインが人気ですが、亜硫酸はワインが出すアセトアルデヒドという有害物質と反応して健全な状態を保つための添加物です。さらに、亜硫酸は投入後に別の物質となるものと、亜硫酸として残る遊離亜硫酸に分けられます。

遊離亜硫酸は、ボトリングの時に入れられますが、数ヶ月で消えてしまいます。

むしろ、保存方法が悪かったり、亜硫酸添加をしなくても絶対に酸化しにくい状況でワインを造らない限り、亜硫酸無しのワインはむしろ危険です。

酸化したり、アセトアルデヒドが暴走して不快な香りを放つのです。

まとめ

ワインには賞味期限はなく、飲み頃という理解をしておくと良いということが分かったと思います。

あとは、しっかりとワインに合った保存方法を学び、美味しく飲める状態をキープさせておくことでしょう。