はじめに
近年、食品の偽造表示であったり、聞いたことの無い化学品を混入させたものなど、食の安全が帯やされています。
こういった背景からか、出どころがしっかりと分かっている産地偽造の無い食品が消費者に選ばれる傾向にあります。また、化学薬品などが使われていない、いわゆる「オーガニック食品」も人気です。
日本はもとより、世界的にも有機食品に人気が集中している傾向があり、ワインもその例外ではありません。しかし、オーガニックワインといってもその種類は豊富であり、実はビオワインすら存在しないといわれています。
一体、ワインの世界のオーガニックとは何なのでしょうか。今回は、オーガニックワインについてを学んでいきましょう。
ビオワインとは?
日本では、オーガニックという名のつく食品などが人気を博します。
「きっと、体に悪いものは一切入っていないのだろう」「これであれば、いくら食べても害はなさそうだ…」。
ある意味で、オーガニック信仰に近い思想を持つ方もいますが、ワインに関しては少し注意が必要です。
その理由ですが、ビオワインと名乗っているワインに関しては、専門機関の認証を得ているか眉唾ものだからです。
ビオワインはそもそも和製英語であり、世界的にはビオワインは存在しません。
有機栽培などのことをビオと呼ぶためか、オーガニック系のワインに関しては「ビオワイン」と呼ぶようになったようです。
ビオワインだから…と、何も調べることなく購入すると、想像しているような栽培方法や醸造方法で造られていない可能性があるので注意です。
ビオワインを名乗るには?
いくらなんでも勝手にビオワインを名乗るのはまずいのではないか。ワインの法律を良く知る人たちであれば、まずそんな思いが頭をよぎるかもしれません。
しかし、ビオワインの定義はハッキリと決められておらず、名乗るも名乗らないも自由なのです。
もちろん、EUの認証機関が定めた農法などで造られており認証を受けて名乗る生産者もいますが、その定義を自分たちは守っていると自負しているのであれば、ラベルに『ビオ』という表記をしようが規制する法律が無いのです。
日本のビオワインはどうなっているの?
近年の日本ワインは非常に品質が高くなっています。
日本ワインに興味を持ち、さまざまなワインを試されていると分かるかもしれませんが、日本でも有機栽培をする生産者たちが増加しています。
テロワールを大切にした、素晴らしい傾向だと思いますが、日本で有機認証を得るにはどうするべきなのでしょうか。
まず、農林水産省の定めている有機JAS認定の取得が大切です。
まず、栽培するブドウ畑で有機JAS認定をもらわないと表記してはなりません。
また、IFORMなどの第三オーガニック認証機関などの外国の機関に認められることで、より詳しくオーガニックという表記が可能です。とはいえ、前述したようにビオワインと名乗るのは自由です。
誤解を招くということで仲間内から批判されるくらいで、別に化学肥料や亜硫酸塩以外の添加物をたっぷり入れているワインを造っていても『ビオワイン・ワイナリー』と名乗るは一切問題はありません。
農法を学ぶ
さて、ビオワインという言葉に効力があまりないということですが、これでは消費者はどんなワインを選ぶべきか迷ってしまうと思います。
まず、本当に安心して飲むことができるワインなのかを知るためには、そのワイナリーがどのような農法でブドウを栽培しているのかを知ることです。
有機方法には大きく分けて2種類の農法が存在します。ビオロジック農法とビオディナミ農法というものです。まず、ビオロジック農法からご説明しましょう。
ビオロジック農法
ビオロジックというと、こちらもいかにも徹底された有機栽培だと思うかもしれません。
しかし、ビオロジック農法の場合は生物除去に関することであれば、一部農薬散布は認められています。
ブドウは比較的強い果物ではありますが、やはり不健全な状態になったり、害虫にやられてしまうと、まともなワインを造ることは不可能です。
ボルドー液は化学肥料でないのですが、ベト病の予防になるということで、殆どの生産者が使用しています。
また、ここが一番気になるところかもしれませんが、亜硫酸塩は添加OKです。
この亜硫酸塩に考え違いをしている方が少なくないようですが、亜硫酸塩はほぼ全てのワインで製造工程のなかで少し使われているといっても過言ではありません。
発酵時に生じるアセトアルデヒドの分解や外部からのワイン醸造に好ましくない細菌などの繁殖抑止など、添加しないで造るのは至難の技といわれているからです。
さらに、ボトリングした後も最終的には消えてしまうという見解もあります。
そのためか、ビオロジックだからといって完全に亜硫酸を使ってないということはありません。
とはいえ、なかには丹誠込めて栽培した健全なブドウの味を壊したくない、という理由から、亜硫酸を一切添加しない生産者もいます。
ビオディナミ農法
さて、こういった農法を実践しようがしまいが、ビオワインを名乗るのは自由とお伝えしました。
ただし、徹底した有機栽培を守っているのに、嘘つき生産者も同じようにビオを名乗っているのは、ワイン業界発展のためにも良いこととはいえません。
そのため、2012年3月8日付けのEU規則にて、以前あった「Organic Action Plan」の規定を強化して、これらを守った生産者には『オーガニック認定』として、ラベルにシールを貼ることを認めたのです。
また、ビオロジック・ワインを認定する機関としては、エコセール、ナチュール・エ・プログレというものがフランスにも存在します。これらの機関に申請をして認定を貰う生産者もいます。
さすがに、EUのさまざまな機関の認定だけは、勝手に名乗ることは不可能ですし、犯罪です。
もし、安全にオーガニックワインを楽しみたいのであれば、『オーガニック認定』をしっかりと受けた生産者のワインを選べば間違いは無いということです。
オーガニック認証とは?
さて、こういった農法を実践しようがしまいが、ビオワインを名乗るのは自由とお伝えしました。
ただし、徹底した有機栽培を守っているのに、嘘つき生産者も同じようにビオを名乗っているのは、ワイン業界発展のためにも良いこととはいえません。
そのため、2012年3月8日付けのEU規則にて、以前あった「Organic Action Plan」の規定を強化して、これらを守った生産者には『オーガニック認定』として、ラベルにシールを貼ることを認めたのです。
また、ビオロジック・ワインを認定する機関としては、エコセール、ナチュール・エ・プログレというものがフランスにも存在します。これらの機関に申請をして認定を貰う生産者もいます。
さすがに、EUのさまざまな機関の認定だけは、勝手に名乗ることは不可能ですし、犯罪です。
もし、安全にオーガニックワインを楽しみたいのであれば、『オーガニック認定』をしっかりと受けた生産者のワインを選べば間違いは無いということです。
まとめ
日本人の少々よろしくない部分かもしれませんが、『ビオ』とか『有機』とか、そういった謳い文句が商品にくっついていれば、全て何もかも安心で安全というイメージになってしまうようです。
もちろん、騙す方が100%悪いのですが、そういった人たちを片っ端から片付けていったとしても、どんどん新たな作戦を立てて、偽装まがいのワインが現れます。何が大切になってくるかというと、消費者自身が賢くなるしかないということです。
ワインは分からないから…ということで投げ出すのではなく、自らの力で少し突っ込んで学んでみてください。さまざまなものが見えてくるはずです。
ぜひ、オーガニックワインを選ぶ時は、正当なものを選んでください。
古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。