はじめに

ワインを美味しく、楽しく、華やかに演出してくれるのは、やはり一緒に合わせる料理です。本来、ワインは食中酒として楽しまれてきたお酒であり、1本だけをじっくりと飲むというスタイルで造られていません。

ワインにさまざまな個性があるのは、生産者が最高峰のワインを造ろうとしているということだけでなく、その土地で合わせられている料理の味わいによせて造られているからです。

ワインは投資目的で買われることもありますが、つまりは地酒であり、その土地の味わいを表現するお酒と理解しておくとより身近なものに感じるのではないでしょうか。

さて、ワインは食中酒であるが故に、どのワインとどの料理が合う…といった、マリアージュ方法に注目が集まります。

世界中にソムリエが存在しているように、ワインと合わせる料理の選び方は大変重要であるといえます。今回、ここでは難しいワインと料理のマリアージュの極意をご紹介します。ぜひ、参考にしてください。

香りを合わせれば難しくない

ワインと料理のマリアージュを探す時、香りを合わせてみることが大切です。

料理の色で合わせると良いともいわれていましたが、梅干しとカベルネソーヴィニヨンを合わせるのは難しいでしょう。一理あると思いますが、比較的香りで合わせると相性が良くなりやすいとして知られています。

定番のマリアージュ

ワイン定番のマリアージュといえば、赤は肉、白は魚といったところでしょう。あながち間違ってはいないのですが、使われる肉や魚の種類、合わせる調味料、料理法によってその合わせ方は大きく変わります。

さらに、和食には合わないと言われるワインですが、ワインの選び方などによってもワインと良い相性を見せるものも多くあります。ワインと料理のマリアージュを難しく考えてしまう人は、昔からの定番のセオリーに縛られ過ぎており、自らの味覚を信じられていないのではないでしょうか。

ワインを楽しむ時は、先入観は捨て、まずはさまざまな料理との相性を試してみることをおすすめします。

和食に合うワイン

和食に合うワインといえば、日本ワインです。フランスやドイツのリースニング、南アフリカのシュナンブラ。ロゼワインなども比較的和食に合わせやすいようですが、やはり日本ワインがおすすめです。

まず、和食と海外産ワインがなぜ合いにくいのかをご説明します。例えば、チリやアメリカの重厚感のある品種で造られるワインの場合、香りはもちろん、タンニン量、アントシアニン量、カテキン量など、ワイン中のさまざまな成分が飛び抜けて多いことで知られています。

そもそも、強いスパイスや濃厚なフルーツソースなどを使った料理が定番の土地のワインですので、自然と強い味わいに仕上がります。さらに、海外品種を育てられる環境がすこぶる良く、糖度がとても上がりアルコール度数も高いことがポイントです。

凝縮された果実感、アルコールの重さと甘み、各種酸が放つ香りの成分の多さなどが和食の繊細な味わいに勝ってしまうのです。和食の調味料の多くは、醤油、味噌、出汁、みりんなどが使われています。これら、調味料自体が繊細であることから、同レベルのワインが求められます。

そんな時に、日本ワインがこの条件とピッタリと合うのです。甲州種、マスカットベーリーAをはじめ、日本土着のブドウ品種がおすすめです。

近年、高品質化している日本ワインの海外品種は、強い味わいになっているので、和食は土着品種を使った日本ワインとのマリアージュをおすすめします。

赤ワインに合う料理

赤ワインに含まれているのは、ラクトン系という香りの成分です。これは、上質な肉が放つ香り成分と一緒であることからも、肉類との相性が良くなります。

しかし、赤ワインが全てラクトン系が強いわけではなく、その強度も調整しなければなりません。

例えば、思いっきりタンニンが強いカベルネソーヴィニヨンと、さっぱりとしたしゃぶしゃぶのような赤身の牛肉は合いにくくなります。逆に、軽めのピノノワールのワインの方が、さっぱりとした肉料理には合いやすいようです。

このように、香りとその強度に注意して合わせると良いでしょう。また、赤ワインの香りはチェリーやラズベリー、カシスと表現されることが多いと思います。これらの香りに共通するソースで造られる料理は、大抵は赤ワインとの相性が良いと考えて大丈夫です。

また、黒こしょうが利いた香りの赤ワイン品種もありますが、これらはブラックペッパーを使用した料理にも合わせやすいです。

甘みのある日本風のソースなどは、香りがフルーティーなので、案外赤ワインと合わせやすいといわれています。ソースを赤ワインで軽く煮詰め、それらをお好み焼きにかけて食べても、絶対にダメなのではなく、案外合うわけです。

白ワインに合う料理

白ワインの香りは、赤ワインとは打って変わってテルペン系の香りです。テルペン系の香りというのは、リナロールというバラの香りやフルーティーな柑橘系、青リンゴなどのフレッシュフルーツの香りです。

酢酸エチル、カプロン酸エチルなどのフルーティーな要素を引き出す揮発酸も多く含むために、白ワインはまさにフレッシュなフルーツが液体になっていると考えても過言ではありません。

そしてハーブ系の香りも持つために、爽やかなハーブを使った料理との相性は抜群となります。

生魚とワインは合いにくいと思われていますが、カルパッチョやハーブを散らしたもの、柑橘系のドレッシングを振りかけたものであれば、白ワインの方が合うわけです。

香りの成分が近いといっても、何でも合わせるとたまに失敗をします。まず魚と、鉄分の多いワインの組み合わせです。

魚の持つDHAやEPAは高い健康効果が期待されていますが、赤ワインを有する鉄分と科学的な反応をして、生臭さを感じる成分を出してしまうようです。

鉄分量はさすがにボトルや産地からは分からないため、正直無理をしてまで合わせる必要はありません。

甲州種などの鉄分量の少ないワインを使い、柑橘系であるポン酢などと合わせることである程度の生臭みを感じずに楽しめます。ただ、無理矢理ワインを生魚に合わせるよりも、より食材が美味しくなる他酒を合わせた方が無難かもしれません。

できれば避けたい食べ合わせ

香りの成分が近いといっても、何でも合わせるとたまに失敗をします。まず魚と、鉄分の多いワインの組み合わせです。

魚の持つDHAやEPAは高い健康効果が期待されていますが、赤ワインを有する鉄分と科学的な反応をして、生臭さを感じる成分を出してしまうようです。

鉄分量はさすがにボトルや産地からは分からないため、正直無理をしてまで合わせる必要はありません。

甲州種などの鉄分量の少ないワインを使い、柑橘系であるポン酢などと合わせることである程度の生臭みを感じずに楽しめます。ただ、無理矢理ワインを生魚に合わせるよりも、より食材が美味しくなる他酒を合わせた方が無難かもしれません。

まとめ

ワインと料理のマリアージュを成功させるためには、ワインだけでなく、料理のことも知る必要があります。

さまざまな食材を食べて、それぞれの味わいを思い出せることがワインとのマリアージュを成功させる秘訣です。人に教えたくなってしまう、最高のマリアージュを見つけてワインライフを思う存分楽しまれてみてはいかがでしょうか。