はじめに

ワインに魅せられている方であれば、ワインの味わいを大きく左右する醸造方法にも興味が湧いてきているのではないでしょうか。

ワインはブドウを使用したお酒ということは分かり、さらにはワイナリーへ訪問すると樽やステンレスタンクがあるために、何となくブドウを樽に入れてればお酒ができるんだ…と、思ってしまうかもしれません。

ワインは、赤ワイン、白ワイン、ロゼワインなどさまざまな種類があり、その醸造方法に関してはそれぞれ別の工程が用意されています。醸造方法を知ることで、そのワインがどのように造られており、どのような味わいのスタイルが目指されているのかが分かります。今回、ここでは知っておきたい、ワインの醸造方法についてを紹介します。

赤ワインの醸造方法

まず、ワインのさまざまなジョ蔵方法の基本となる、赤ワインの造られ方を紹介します。赤ワインを造るには、黒ブドウを使用する必要があります。赤ワインの赤色は、果皮に含まれるアントシアニンの働きによるものですので、白ブドウから赤ワインを造ることはできません。

赤ワインを造るために、黒ブドウを収穫した後、除梗、破砕を行い果皮や種子、果汁をミックスさせたモロミの状態にします。ブドウは果皮のワックス部分に数多くの酵母が存在しているので、それらを利用すれば自然にアルコール発酵が行われます。

しかし、発酵のタイミングなどが分からなかったり、オフフレーバーを呈する可能性があるので、多くのワイナリーでは培養酵母を使用してモロミへ添加します。

もちろん、自然発酵を行うワイナリーも多く、研究を重ねられた生産者の造る自然派ワインは高く評価されていますが、業界内では賛否があるようです。

話しが逸れましたが、アルコール発酵とは、果皮の転化糖(ブドウ糖、果糖)が酵母の働きによってエタノールと二酸化炭素に変化する工程です。そのために、酵母をモロミに入れてからアルコール発酵が始まります。


(出典:brankomaster)
糖分を酵母が食べるわけですから、当然糖分が無くなるまで発酵を行えば辛口、糖分を残せば甘口となります。アルコール発酵が終わった液体から果皮や種子を取り除き、果汁だけにして濾過を行います。

果皮や種子のくず、澱などを取り除いた後に樽に入れられて、そこからマロラクティック発酵が行われます。

マロラクティック発酵は、乳酸菌がリンゴ酸を乳酸に変化させる行程で、酸味が苦みとバランスが悪くなる赤ワインにおいて必須の工程となります。

マロラクティック発酵が終わると、次は熟成です赤ワインでは、樽熟成を基本的に行われますが、ステンレスタンクでの熟成、新樽半年、古樽1年といったような熟成のさせ方などさまざまです。

樽熟成を経て、滓引き、濾過、清澄などを経て瓶詰めされて瓶熟成などの工程に入ります。

白ワインの醸造方法

白ワインの場合、先述した赤ワインの造り方を少し変化させたものとなります。白ワインは、基本的には白ブドウを使用しますが、果実だけを使用するために黒ブドウでも造ることは可能です。

白ワインの多くは渋みや色の抽出が不要なため、果皮と種子は先に分けられて果汁だけが搾られます。圧搾という作業を経てから、主発酵が行われます。白ワインの場合、香りを良くするために赤ワインに比べて低温発酵となります。

その後、還元的な状態で香りを引き出す場合はステンレスタンクへ、濃厚な味わいにするためにマロラクティック発酵、樽熟成と目指すスタイルに合わせて工程が変化します。

カジュアルな白ワインは、ほとんどが前者の工程をふみます。その後、滓引き、清澄、濾過を経て白ワインができあがります。

ロゼワインの醸造方法

日本では、まだまだ馴染みが無いようですが、世界的にロゼワインが流行となっています。南フランスが特に生産量が多く、ランチタイムは必ず冷やしたロゼで乾杯という習慣もあるようです。

ロゼワインの醸造方法は大きく分けて4つあります。最も、手の込んだ造られ方がセニエ法というもので、赤ワインの発酵途中のほど良く色づいた液体だけを抜く方法です。

赤ワインの濃縮度を高めるための贅沢な方法でセニエが行われますが、その本来不要となる液体をロゼワインで使うということです。ドイツで行われているのが、ロートリングという方法で黒ブドウと白ブドウを混ぜたモロミを発酵させる製法です。

直接圧搾法は、黒ブドウを破砕した後にうっすらとピンク色になってから、果皮と種子を取り除き発酵させる方法です。

最後に、フランスなどでは禁止されていますが、白ワインと赤ワインをブレンドする方法もあります。シャンパーニュでは認められており、日本でもロゼワインの特別な醸造法の法律は無いので、こういったものも多く見受けられます。

オレンジワインの醸造方法


(出典:¡Carlitos)
ワインは、さまざまな色がありますが、オレンジワインというワインに注目が集まっています。オレンジワインとは、要するに白ワインを赤ワインのように仕上げる醸造方法です。

前出で白ワインは苦みを嫌うために、果皮と種子を先に取り除く圧搾を行うと説明しました。しかし、敢えて果皮を果汁と接触させて発酵を行う方法となります。通常の白ワインに比べ、長時間果皮と触れさせるために、果皮由来の香り成分やフェノール類、色素が抽出されます。

酸化も手伝い、オレンジがかったワインができあがります。白ワインでありながらも、やや強めの味わいとなり、料理に合わせやすいワインに仕上がります。見た目にも美しく、今後も人気になっていくワインではないでしょうか。

黄ワインの醸造方法

シャンパーニュなどの伝統的なスパークリングワインの産地では、瓶内二次発酵という醸造方法が用いられています。ベースとなる白ワインと造った後、瓶内に酵母とショ糖を添加します。

すると、瓶内でアルコール発酵反応が起こります。アルコールと二酸化炭素が発生しますが、二酸化炭素は瓶内なので気体として逃げられません。

そこから瓶内熟成を行い、経年によって溜まった滓を首の方へと貯め蓋を取って奇麗に滓を飛ばします。

スパークリングワインの醸造方法

シャンパーニュなどの伝統的なスパークリングワインの産地では、瓶内二次発酵という醸造方法が用いられています。ベースとなる白ワインと造った後、瓶内に酵母とショ糖を添加します。

すると、瓶内でアルコール発酵反応が起こります。アルコールと二酸化炭素が発生しますが、二酸化炭素は瓶内なので気体として逃げられません。

そこから瓶内熟成を行い、経年によって溜まった滓を首の方へと貯め蓋を取って奇麗に滓を飛ばします。

そして目減り分にリキュールを詰め、出荷されます。一方、大きなステンレスタンク内で造られるシャルマ方式、田舎方式と呼ばれるメトドアンセストラル、炭酸ガスを注入するものなどスタイルに合わせて醸造方法は変わります。

最も手間のかかる、瓶内二次発酵に高級スパークリングワインが多いですが、スペインのカバのように同様の方法であっても手軽な価格で購入できるものもあります。

まとめ

ワインを細かく分けていくと、もっと多くの醸造方法で分類されてしまいます。

まず、基本の醸造方法を知り、それを踏まえた上でさまざまな生産者こだわりのワイン造りを調べてみると良いでしょう。