はじめに

世界中には、数多くの種類のワインがあります。フランス、イタリア、ドイツといったオールドワールドはもちろん、アメリカやチリ、オーストラリアなどのニューワールド。さらには、ワイン造りは古い歴史を持ちながらも、近年高品質ワインを造るスイスやブルガリア、ギリシャ。

そして、日本や中国、インドも近頃でも上質なワインを造っています。さらに、ここから地域を絞っていき、生産者別にその味わいを全て区別してテイスティングすることはワイン業界の先端の方であっても、物理的にほぼ不可能でしょう。

そのぐらい、ワインは世界中で造られており、愛されているお酒ということなのです。しかし、それではワインは分からない前提なのでしょうか。そんなことはありません。実は、ワインは代表的な6つの品種さえ知っておけば、ずっと楽しむことができるのです。ここでは、ワインの代表的品種をおさらいのつもりで楽しんでください。

カベルネソーヴィニヨン

まず、赤ワインからいきましょう。赤ワインの代表的な品種といえば、カベルネソーヴィニヨンです。ボルドー原産のこの黒ブドウ品種は、温暖な気候を好む晩熟タイプのブドウ品種です。

ソーヴィニョン・ブランとカベルネ・フランの自然交配によって生まれたこの品種は、ワインになるとしっかりと濃い赤紫を出します。タンニンを多く含む品種なので、若いワインだと軋んだような、ざらつきのある渋みを持ちます。

そのため、メルローをはじめとした品種とブレンドされることが多く、力強いインパクトのある味わいを前面に出し、角のある収斂性を他の品種で丸く抑えるというようなワインが一般的です。ただし、強いタンニンがあるが故に長期間の熟成に耐えることができ、10年以上の熟成に耐えたワインには目を見張るものが多くあります。

ボルドーの格付シャトーが軒を連ねるメドック地区においては、カベルネソーヴィニヨンは非常に活躍している品種です。なかには、数十年、数百年前のワインも残っており、まだまだ力強い味わいを保ったままセラーで眠らされています。ただし、近年では醸造技術の進歩からか、カベルネソーヴィニヨンの単一品種でも素晴らしいワインが多く作られています。

チリ、オーストラリア、カリフォルニアなどは良い例で、雨量が少なく温暖な気候により健全でよく熟したブドウを収穫できることがひとつの理由です。醸造法では、先に酸化を促す措置をとってタンニンに丸みを出させて、飲みやすくすることもあります。何はともあれ、世界一の赤ワイン用の品種であることは間違いありません。

ピノノワール

ピノノワールは、あのロマネコンティやジュヴレシャンヴェルタン、ミュジ二ーなどで使用される黒ブドウ品種です。カベルネソーヴィニヨンとは対照的に、冷涼な地域を好み、繊細で酸度の高い淡い色をした小さい果実を感じるワインを生み出します。

ピノノワールは高級品種であり、比較的テロワールを重視した、繊細な味わいに仕上げられます。世界中で栽培されていますが、ブルゴーニュ地方のコートドドールを超えるものは無いといわれており、土壌や気候条件、日照量の小さな違いで上質にも低質にもなってしまう難しい品種です。

近年では、オレゴンやセントラルオタゴ、ニュージーランド、ドイツなどのピノノワールが注目されています。

メルロ

カベルネソーヴィニヨンやピノノワールと並び、世界中で人気の国際品種がメルロです。ボルドー原産ですが、粘土質土壌とやや冷涼な気候を好むために、砂利質土壌のメドックとは対岸である、右岸側でメインに使われている品種です。

色合いはやや朱色ですが、濃いものが多いことで知られています。熟した黒い果実の香りをもち、タンニンはやや強いですが、チャーミングで丸みのある味わいのワインを生み出します。

メルロは、単一としてだけでなく、さまざまな品種と相性が良いのでよくブレンドされる品種です。もちろん、単一品種で造られているワインも多いですが、全体にバランスの良いワインを造る場合には最適な品種です。

土着品種が多いことで知られているイタリアでは、IGT規格のワインはメルロが多く、日本では長野県のメルロがとても有名です。高温多湿な土壌にも対応するので、世界のワイン産地ではかなり生産量が多いワインとなっています。

ソーヴィニヨンブラン

フランス西部が原産地のソーヴィニヨンブランは、世界中で造られている白ブドウ品種のひとつです。メトキシピラジンといった、青ピーマン、グリーンピースのような香りを有する品種のひとつであり、他の品種ではあまり好まれませんがこの品種に関しては特徴香ですので、大切にされている傾向があります。

フランス北部のロワール地方では、ソーヴィニヨンブランを樽熟成させることがありますが、フレッシュな酸味を活かした早飲みワインを造る品種とされています。ニュージーランドが特に近年では有名であり、フレッシュな酸度と爽やかなハーブの香りを楽しめます。

温暖な地域で育てられたものは、比較的パイナップルなどの香りを呈しやすく、トロピカルフルーツのテイストも持ちます。

シャルドネ

世界で最も愛されているブドウ品種が、シャルドネです。ピノノワールとグーエブランが交配して生まれたといわれていますが、完全な解明はまだ行われている最中です。

シャルドネが有名なのは、ブルゴーニュ地方であり、樽熟成を経たナッツやアーモンド、パンドミのような濃厚な香りの白ワインが造られています。シャルドネ自体には強い個性が無く、樽熟成などで変幻自在に味わいを変えられることが魅力とされています。

米国でも樽が使われていますが、ステンレスタンクで熟成させるカリフォルニアのシャルドネは、発砲がやや残るフレッシュな柑橘系の味わいを楽しめます。シャンパーニュなど、瓶内二次発酵用のブドウとしても優れており、高級スパークリングワインでは多くシャルドネが使われている傾向があります。

リースニング

ドイツ原産のリースニングも、世界的に注目されている白ブドウ品種のひとつです。リースニングは酸度が高くフレッシュな味わいでありながらも、アロマティックなリンゴの香りが特徴であり、エレガントで美しい香りと味わいのワインを生み出す品種です。

ドイツでは粘板岩や石灰岩で栽培されており、特徴的な香りを呈します。リースニングの特徴としては、ブドウの果皮にTDNという石油のような香り成分を持っており、それを上手に活かすと複雑性のある香りに仕上がるようです。

今回、紹介したブドウは6種類ですが、当然ワイン用ブドウ品種は多くの種類を有しています。ただし、世界中で造られているワインの多くはこれらの品種であり、これを知っておけば大抵のワインには対応可能です。

また、これを軸にして他の品種を飲み比べることで、個性がより分かるはずです。ぜひ、基本のブドウ品種を知り、ワインの世界を広げて行ってください。

まとめ

今回、紹介したブドウは6種類ですが、当然ワイン用ブドウ品種は多くの種類を有しています。ただし、世界中で造られているワインの多くはこれらの品種であり、これを知っておけば大抵のワインには対応可能です。

また、これを軸にして他の品種を飲み比べることで、個性がより分かるはずです。ぜひ、基本のブドウ品種を知り、ワインの世界を広げて行ってください。