はじめに

世界で最も高額な辛口白ワインを生み出す品種といえば、シャルドネです。そんなシャルドネで素晴らしい白ワインを生み出す名産地は、誰もが知るフランス・ブルゴーニュです。モンラッシェ、シャブリ、ムルソーといった白ワインの銘醸地は誰もが羨む最高峰の場所です。

さて、そんなブルゴーニュ地方のなかでも、モンラッシェに注ぐ銘醸地として知られている場所があります。それが、コルトンの丘です。

コルトンシャルルマーニュ、ペルナンヴェルジュレス、コルトンと分かれているこのAOCは、世界で最も有名といって良い白ワインの里です。

白ワインというとモンラッシェのイメージが強いですが、今回は次いで世界的な産地である、ブルゴーニュのコルトンシャルルマーニュをご紹介しましょう。

コルトン・シャルルマーニュとは?

コルトン・シャルルマーニュは、フランスのブルゴーニュ地方、コートドドールにあるワイン産地です。コートドニュイとコートドヴォーヌのちょうど境目に当たる場所にあり、標高は最も高くて330メートルほどの場所に位置しています。

コルトン・シャルルマーニュが素晴らしいワインを生み出す地域である理由としては、ほぼ全ての主要畑が南西向きであることが挙げられます。ここのワインは赤ワインも造っているのですが、白ワインがとても有名です。

伝説的な言われなのですが、775年にシャルルマーニュ皇が聖アンドローシュ聖堂参事会にこの場所を寄与したことで、この名がついたといわれています。

この場所で白ワインが造られるようになった理由

シャルルマーニュ伯爵がたっぷりとした立派なヒゲを白ヒゲを生やしており、そのヒゲを汚さないようにという理由から白ワインを造るようになったといわれています。この場所は3つの村があり、それぞれにグランクリュが存在しています。

ラドワセレニィ、ペルナンヴェルジュレス、アロクスコルトンといった3つの村にそれぞれ、一部を除きコルトン、コルトンシャルルマーニュ、シャルマーニュといったグランクリュがあります。

コルトン・シャルルマーニュのブドウ栽培環境

コルトン・シャルルマーニュは、主要畑が南西向きであることが銘醸地であることのひとつの条件となっています。しかし、この場所が良いブドウを生み出すヒミツとしては、急勾配の斜面が20%程度であるということです。

また、さまざまな地質の断層が存在しており、1億5000万年前ほどのジュラ紀の地層であるといわれているのです。レンジヌ、石灰岩、泥灰土といった複雑な地層が重なるように存在しており、ミネラルを豊富に含む水はけの良い土壌であることが関係しているでしょう。

赤・白ワインともにバランスよく

コートドニュイとコートドヴォーヌの境界線にあることから、赤ワインで有名なニュイサンジョルジュが近くにあり、赤ワインと白ワインの双方をバランス良く生み出せる土地であるところもポイントです。

コルトンシャルルマーニュは、シャルドネ種の白ワインで背秋的に有名であり、ピノノワールの赤ワインは認知度が低いですが素晴らしいお値打ちのものばかりなのです。

コルトンシャルルマーニュで生まれるワインの特徴

コルトンシャルルマーニュでは、さまざまなワインのスタイルを造っていますが、白ワインは樽で熟成させるブルゴーニュ的な醸造スタイルが採用されています。そのため、ヴィンテージが若い状態のワインであっても淡い黄金色でアップルの香り、シャープな酸は感じることができます。

一方、熟成向きに造られているために、琥珀色へと液体が変化していくところもポイントです。

樽熟成を経て酸化エステルが増加することで、バターやパイナップル、シナモンとった絶妙なフェノール系の香りが所々で感じることができます。

ラグジュアリーな味わいに

熟成するシャルドネのなかでは、なんと30年以上も熟成するシャルドネがあるほどなのです。テロワールの個性をしっかりと反映したワインが生まれる産地として有名です。一方、赤ワインはピノノワールでありながらも力強さのある味わいとなります。

繊細さも感じることができますが、酸度があるために骨格もしっかりとしており、ラグジュアリーでリッチな舌触りとノドゴしを楽しむことができるのではないでしょうか。

コルトンシャルルマーニュで最重要な生産者とは?

コルトンシャルルマーニュでは、数多くの有名ドメーヌが活躍をしています。そんな数あるドメーヌのなかでも最も多くの土地を所有しているのが、ルイ・ラトゥールという生産者です。

ブルゴーニュ地方の各地域に畑を有しており、まさにブルゴーニュワインの父とでもいうべき、重要性の高い生産者のひとつです。もともと、ルイ・ラトゥールに関してはボーヌのネゴシアンでした。

アンリ・ラマロッスという人物が起ち上げたネゴシアンでしたが、彼の死後は家族などにその地位が相続されなかったために、ルイ・ラトゥール3世がその地位を継承した形となります。

結果的に、ネゴシアンからドメーヌへと着実に変化を遂げて行き、メゾン・ルイ・ラトゥールとして新しく誕生した形となります。

コルトンとルイ・ラトゥール

では、コルトンシャルルマーニュとルイ・ラトゥールがどのような出会い方をしたのかを調べて行きましょう。19世紀末頃になると、ルイ・ラトゥールの一族は徐々にブドウ園を拡大し始めていきます。

そんな時、グランセイ伯爵という人物がグラン・クリュ・コルトンでブドウ栽培を行っていたドメーヌをルイ・ ラトゥールに売却します。これをキッカケに、ピュリニィモンラッシェまでルイ・ラトゥールの畑が広がって行きます。

至高の白ワインに

コルトン・シャルルマーニュがあるコルトンの丘は今、ピンチを迎えています。コルトン・シャルルマーニュや赤ワインが生み出されるコルトンの丘は、偽造ワインの問題を抱えていたオーナーが手放すこととなってしまい、誰かの所有物として売り出されることになっています。

しかし、資産目的のひとつとして扱われてしまっているブルゴーニュ地方のワインだけに、この土地を悪質なオーナーに買われてしまい、歴史に泥を塗るようなことが起きることもありません。

そのため、前述したルイ・ラトゥールをはじめ、ドメーヌロマネコンティ社などが立ち上がり、この場所を共同で購入して保全に立ち上がろうとしています。

ブルゴーニュ地方にとって、ワインが生まれる場所は宝物であり、ブルゴーニュ地方そのものです。長い歴史をかけて築いてきた伝統を壊されぬよう、これからの戦いに注目が集まります。

コルトンの丘の今

コルトン・シャルルマーニュがあるコルトンの丘は今、ピンチを迎えています。コルトン・シャルルマーニュや赤ワインが生み出されるコルトンの丘は、偽造ワインの問題を抱えていたオーナーが手放すこととなってしまい、誰かの所有物として売り出されることになっています。

しかし、資産目的のひとつとして扱われてしまっているブルゴーニュ地方のワインだけに、この土地を悪質なオーナーに買われてしまい、歴史に泥を塗るようなことが起きることもありません。

そのため、前述したルイ・ラトゥールをはじめ、ドメーヌロマネコンティ社などが立ち上がり、この場所を共同で購入して保全に立ち上がろうとしています。

ブルゴーニュ地方にとって、ワインが生まれる場所は宝物であり、ブルゴーニュ地方そのものです。長い歴史をかけて築いてきた伝統を壊されぬよう、これからの戦いに注目が集まります。

まとめ

コルトンシャルルマーニュは、まだまだ日本では知られていない地名のひとつではありますが、モンラッシェに注ぐ世界第2位の白ワイン銘醸地といっても過言ではありません。

私たちの舌を喜ばすだけでなく、その生き方までを豊かにしてくれる最高のワインを生み出す重要産地です。

ぜひ、機会があれば一度はコルトンシャルルマーニュのワインを口にしてみてはいかがでしょうか。