はじめに

山梨県といえば、注目されているのはワインです。近年では、甲州ワインを輸出するKOJ(Koshu of Japan)という生産社団体がロンドンで奮闘しており、山梨県はワインの銘醸地として世界的にも認知度が高くなってきています。

しかし、実は山梨県は酒造りにはもってこいの環境であるが故に、ウイスキーや日本酒でも素晴らしいものが多く造られています。今回、ワインばかりが注目されがちな山梨県において、素晴らしい日本酒が多くあることをご紹介していきましょう。ぜひ、日本酒好きの方は参考にしてみてください。

七賢

山梨県を代表する日本酒蔵といえば、間違いなく七賢です。ウイスキーの白州でも知られている名水の里、白州にある歴史ある蔵元です。日本酒の命ともいえる水は、甲斐駒ケ岳の伏流水を使用しており、これは日本の名水百選に選ばれた特別な水となっています。

また、酒造好適米に関しても山梨県内のものを使用しており、正真正銘の地酒を提供しています。300年以上続く由緒正しき蔵元であることからも、蔵元は古い建物で風情があり、さらにはその伝統的な製法と現代的な製法を組み合わせた個性溢れる酒造りのスタイルも一見の価値ありです。豊潤な辛口スタイルの日本酒を得意としています。

笹一

山梨県大月市にある、有名蔵元が笹一です。洗練された味わいの日本酒を醸造しており、海外でもとても評価の高い酒を作り続けています。笹は酒、一は酒の日本一という意味合いが込められた笹一という名は、創業当初の1919年から今も変わらずに守り続けられているポリシーのひとつです。

日本酒を大量に造り蔵元を大きくしてきた笹一ですが、本当に自分たちが納得できる酒を造るために、大量生産方式の設備を2013年酒造年度を最後に全撤廃。麹造り、酒母工程は全て手作業となり、この年からの笹一のレベルは明らかに上がっています。ぜひ、一度飲んでほしい山梨の酒です。

春鶯囀

春鶯囀(しゅんのうてん)は、山梨県の萬屋醸造店が作り出す、力強く、昔ながらの味わいを持つ地元で愛されている日本酒です。1790年には、一力という銘柄の酒を誕生させており、県内の日本酒蔵のなかでも比較的古い歴史を持っていることで知られています。

かの、歌人 与謝野鉄幹・晶子夫妻と親交があったことで知られており、この地に訪れた時に、春鶯囀という歌を詠んだことがネーミングのキッカケとされています。春鶯囀は、日本酒らしい豊潤で辛口を意識した味わいとなっており、燗付けに合う酒を多く造っています。さまざまなタイプの日本酒も増えており、今後も期待される蔵元のひとつとなっています。

谷桜

山梨県でも、非常に広く知られている日本酒のひとつが、谷桜です。御神酒酒屋として嘉永元年から歩みをはじめたこの蔵元は、八ヶ岳の壮大な自然のなかで、流行などに流されることはなく、自らの酒造りを淡々と続けた、信頼できる蔵元のひとつです。

代表的な銘柄が谷桜であり、吟醸から純米、純米吟醸、純米大吟醸とさまざまな種類が揃っています。谷桜の純米大吟醸は、酒造好適米を40%にまで磨き、昔ながらの製法で造られた、特別な大吟醸となっています。ラベルはいたってシンプルであり、飾り気はありませんが、その実力は一口飲んでいただければ分かっていただけるはずでしょう。

青煌

今、ワイン造りにおいても注目されているのが、山梨県北杜市です。そんな、北杜市に蔵元を構えているのが、武の井酒造株式会社です。創業が慶応年間という歴史のある酒造であり、派手な宣伝をしていないことから、近年までは地元の人たちにしか知られていないような存在であり、日本酒ブームが訪れてからというもの、大きな話題となって注目されるようになりました。

その武の井酒造株式会社が生み出す、最高の一本が青煌という酒です。製造石数が年間80石という恐ろしい生産量の少なさだけに、手に入れることも困難なものもあります。スッキリとしながらも、しっかりと濃厚さは残す、奇跡のような1本です。ぜひ、飲んでいただきたいですね。

腕相撲

山梨県の県庁所在地である、甲府に位置する珍しい酒造が、腕相撲を生み出す腕相撲酒造です。この名は、腕相撲が好きな当時の社長から取ったもので、当時は社長に腕相撲で勝つと日本酒一升がもらえるという、ユニークな蔵元だったとして知られています。

黒駒勝蔵という酒が人気商品として表に出ていますが、やはり昔ながらの腕相撲の吟醸酒には強いファンが残っています。名前の印象とは裏腹に、飲みやすくスッキリとフルーティーな味わいに仕上がっているところが特徴です。洗練された、女性でも飲みやすいお酒として知られています。

太冠

山梨県南アルプス市という、新しい産地で注目を浴びているのが、太冠酒造株式会社です。1877年から酒造りが行われており、出世した武官が前途を祝う冠をもじって、この名がつけられたとされています。酒造好適米として、兵庫県産・山梨県産山田錦でも最高級のものを贅沢に使っており、美しい南アルプス山系水を使って、スッキリと洗練された日本酒を造っています。

特に、代表的な太冠に関しては、全国品評会でも数回の金賞などを獲得しており、全国でそのレベルが認められている酒屋として名高い場所です。今、もっとも伸びしろがある蔵元として、期待されています。

玉笹

養老酒造株式会社が造る、非常に洗練されたお酒が玉笹です。1840年代に創業しているこの蔵元は、とても小さく生産量も少ないことから全国の日本酒ファンからも憧れの的とされています。養老や櫂、玉笹という少ないラインナップでありながらも、多くの日本酒通を唸らせる素晴らしい酒を造り続けています。

そのなかでも、特に注目したいのが玉笹です。限定吸水を行うことにより、米が餓鬼状態となります。さらに、そこへ低温発酵を行うことにより、香りが高く、素晴らしくフルーティーな酒となっています。一度飲んだら、あり期待の大吟醸には戻ることはできないでしょう。

男山

山梨県は海が無い土地であることからも、肉や野菜を使った郷土料理が多くあります。さらに、味噌などを使う心和む、滋味溢れた料理であることからも、それに合わせる酒として美味しい日本酒造りが発展してきました。

さらに、水の質がとても良いことから、日本酒自体の味わいにも濁りがなく、清冽であり純粋。まさに、純米大吟醸の味わいなどは、水かのような美しさと儚さを持ちます。もちろん、本醸造などの重厚感のある酒の味わいも深く、冬寒い山梨の夜を温めてくれる力を持ちます。一度、ワインではなく、山梨の日本酒も試されてみてください。

山梨の日本酒と山梨の食

山梨県は海が無い土地であることからも、肉や野菜を使った郷土料理が多くあります。さらに、味噌などを使う心和む、滋味溢れた料理であることからも、それに合わせる酒として美味しい日本酒造りが発展してきました。

さらに、水の質がとても良いことから、日本酒自体の味わいにも濁りがなく、清冽であり純粋。まさに、純米大吟醸の味わいなどは、水かのような美しさと儚さを持ちます。もちろん、本醸造などの重厚感のある酒の味わいも深く、冬寒い山梨の夜を温めてくれる力を持ちます。一度、ワインではなく、山梨の日本酒も試されてみてください。