共通言語を覚える必要性はある?

よく、ワインの香りを嗅ぎ分けるためのセミナーなどがありますが、プロのソムリエとなりたかったり、さらにはお金や時間に余裕のある方であればそちらで学ばれるのが良いといわれています。その理由としては、ワインの香りを表現するためには「共通言語」が存在しているからです。例えば、樽を使用したワインはバニラの香りを呈しますが、共通言語として「アイスクリームっぽい」とは表現せず、「バニラ」としっかりと伝えます。この共通言語を覚えるために、スクールに通います。

ただし、本来は商売で無い限りは自分の言葉で伝えれば良いのですから、無理をして高額なお金を支払う必要性はありません。

品種の特徴香を覚えてしまう

まず、香りを嗅ぎ分けるテクニックのひとつに、「品種の特徴香」を覚えるというものがあります。闇雲にワインを購入してきて、1本ずつ香りを確認していってもキリがありません。カベルネソーヴィニヨンは、黒い果実やカシス、ピノノワールはイチゴや赤いベリー、シラーは胡椒、ソーヴィニヨンブランはパイナップルやハーブというように、それぞれに必ず特徴香があります。

それをしっかりと頭に叩き込めば、100本テイスティングするより早く理解が可能です。例え、外したとしても逮捕されるわけではありませんし、それに近しい品種を知ることができます。

冷涼&温暖かも嗅ぎ分けられる

よく、ワインを飲んで地域を当てる方がいますが、あれは本当にプロ中のプロです。数千本をテイスティングして、その記憶から導き出すもので、お金に余裕が無ければ当てることは難しいでしょう。

ただし、我々のような一般人でも分かるのは、冷涼な地域か温暖な地域か…です。例えば、相対的に冷涼な地域でつくられたワインは酸が高く、アルコール度数は低め、香りもシャープで品種の特徴香が強く出ることが特徴です。一方、温暖な地域はアルコール度数が高く、たっぷりとしたリッチな香りとなります。酸が比較的穏やかで、品種の特徴というよりはまろやかさを呈します。

アロマホイールにある香りを暗記

さらっと先述しましたが、香りは全て記憶から導き出されます。例えば、すいかずらの香りと言われても、嗅いだことの無い人にはすいかずらを直接嗅がせても分かりません。

ワインには、アロマホイールという香りの指針のような表が存在しており、香りをそこに当てはめます。そのため、そのアロマホイールにある香りを全て暗記しておけば、ワインを沢山飲まずとも香りで特徴を捉えることができます。「少し、ゴム様の香りがあって、洋梨っぽい」など、専門的に見える香りを無意識に発することができるのでおすすめです。

一瞬で嗅いで終わる

ワインの香りを嗅ぐ場合、何度もじっくりと香りを嗅ぎ続けている方が多くいます。確かに、特徴を捉えるためにはしっかりとワインを嗅ぐことが大切です。しかし、人間の処理能力にはどうやら限界があるようですので、長時間香りを嗅いでいても本質を掴むことは難しいようです。

時間をかけると、結果的に自分の感じた香りではなく、そのワインだったらどういうのが正解かと考えてしまうようで、自分の言葉で表現できなくなるとのことです。一瞬、香りを嗅いだ時に頭に思い浮かんだことを伝える、ということが大切になっていきます。

5種類を並べて比較する

また、テイスティングをする際に大切なのは、1本をじっくりとプロファイリングするのではなく、5本程度ワインを比較するということです。例えば、同じシャルドネ種を産地別で揃えるとか、白ワインの単一品種を揃えるなど、そういった飲み比べをすることをおすすめします。これをすることで、大抵の特徴は掴むことができるようになりますので、おすすめです。

品種別にこれを1ヶ月続けてみると、面白いようにワインの味わいや香りの違いが理解できるようになります。数十万円を支払って専門家に聞く必要は一切ありません。

科学的に考える

少し上級者向けですが、ワインに含まれている科学的な成分から香りを導き出すという方法もあります。例えば、ワインには酢酸エチルやダイアセチルなどが含まれますが、これらの含有量でも香りの特徴が大きく変わっていきます。

さらに、エステルといったアルコールと酸が結合して水素を排出する成分が必ず生成されますが、これにも特徴があり、パイナップル、洋梨、バナナなど数多くの特徴があります。この香りが分かるようになると、製造工程までも理解できるようになりますのでおすすめです。ただし、かなり時間はかかりますが…。

時間をおいて確認する

最後にお伝えしたいのが、ワインは時間をおくと香りが変わるということです。同じワインでも、グラスに注いだ瞬間の香りと、10分ほど放置しておいた時と香りが変わるので確認してみてください。これは、ワイン中のフェノール成分やアセトアルデヒド、エステルなどが空気中の酸素と結合するなどして、香りの成分が変化するからです。

赤ワインの場合、香りが良い意味で重たくなりまろやかになります。デキャンタなどをするビンテージもののワインがありますが、こういった作用が狙われて行われていますので覚えておきましょう。

自分が好きな香りを見つけること

ここまで、ワインの香りの嗅ぎ分け方を知るテクニックをご紹介しましたが、まず第一に目的は「自分が好きな香りを知る」ということです。

このワインはフランスでこうだとか、この品種がこういった欠点があるなど、専門家であれば良いですが、ワイン好きはまずは「自分の好きな香り」を知っておくことが大切です。闇雲にワインを飲むだけでは、ワインはただの研究対象のお酒となってしまい、全く楽しくなくなります。このテイスティングテクニックを用いて、自分が納得できる味わいのワインを見つける努力をしてみてください。