アギオルギティコ

ワイン造りがフランスやイタリア本土に到達する前、盛んにブドウが栽培されていたのがギリシャです。そんなギリシャの固有品種として、今また注目浴び始めているのが、「アギオルギティコ」という黒ブドウ品種です。

ペロポネソス半島で主に栽培されており、非常に濃い色のワインを生み出すことと、ヘラクレスの生誕地であるネメア産という理由から「ヘラクレスの血」ともいわれています。温暖かつ乾燥地に強く、糖度が上がっても酸を落とさないことから、今では温暖化対策を担う品種のひとつとして注目されているようです。

フルミント

三大貴腐ワインの産地のひとつ、ハンガリー。トカイ・アスーが有名なワイン生産国のひとつですが、案外そのワインに使われている「フルミント」という白ブドウ品種は知られていません。ハチミツのようなアロマがあり、さらには酸を豊富に含むことから貴腐ワインにしてからの熟成能力が高いといわれています。

甘口ワインが有名な品種ではありますが、ハンガリーでは辛口ワインも造られており、骨格がしっかりとしたパンチのあるワインを造るといわれています。オーストリアでも造られているようです。

コルテーゼ

マニアックな品種となると、外すことができない国がイタリアです。フランスと並ぶ有名ワイン生産国ですが、実は生産されているワインのその殆どが固有品種で構成されています。

その中でも、繊細な魚料理に合わせるために生まれたといわれているのが、コルテーゼという白ブドウ品種から生まれたワインです。コルテーゼは、糖度があまり上がりませんが、酸もさほど強烈ではなく、非常にバランスのとれたニュートラルな味わいのワインを生み出します。ピエモンテ州やリグーリア州、ヴェネト州などイタリア北部での栽培が盛んです。

ピコリット

続いても、イタリアの固有品種のご紹介です。ピコリットという品種ですが、この品種は結実が悪く、非常に繊細で貴重といわれています。前述したハンガリーのトカイのフルミントの変わりとして、ピコリットから造られる甘口ワインがイタリアで愛されていたといわれています。

ホワイトチョコレートの香りを放ち、酸味と甘みのバランスが良いために辛口ワインとしても高評価を得ているワインです。余韻が長いことからも、やや甘口のデザートワインに仕立てるとその実力を発揮します。

トウリガナショナル

マニアックな品種ではありますが、世界的に注目されているのがポルトガルのダンという地方で主に栽培されている、「トウリガナショナル」という黒ブドウです。ポートワインにも使用されているブドウ品種として知られており、1本の樹からの収量が極端に少ないために、かなり濃厚な味わいに仕上がります。

トウリガナショナルの魅力は豊富なタンニン量です。フェノール類が豊富に含まれていることから、骨格のしっかりとした重厚感のあるワインを生み出します。長期熟成にも耐える高級ワインを造れる、今後も注目されるであろう品種ですね。

ボバル

ワイン大国スペインにおいて、重要な黒ブドウ品種といえば、間違いなく「テンプラリーニョ」です。しかし、テンプラリーニョに次いで赤ワイン用の品種として重宝されているのが、実は「ボバル」という黒ブドウ品種です。

バレンシア州で栽培されていたと言われており、現在でも広い栽培面積を持つ黒ブドウ品種です。雨が多かったり、日照量が多くてもしっかりと育つことと、収量が多いためにブドウ農家、ワインメーカーの生活を支える品種でもあります。とはいえ、非常に濃厚かつ飲みやすいワインを生み出すため、テーブルワイン用の品種として愛されています。

パレリャーダ

スペイン続きでいきますが、スペインのワインといえば、「CAVA」を思い浮かべる方は多いと思います。さまざまな品種の使用が認められてはいますが、伝統的には「マカベオ」「チャレッロ」「パレリャーダ」の3品種が使用されています。

特に、パレリャーダに関しては酸味がしっかりとあり、アロマが華やかであるが故に単品種で辛口ワインが造られるようになっています。酸が多くあることからも、ボディのしっかりとした重めの白ワインも製造でき、今後が期待されている品種です。非常に繊細なブドウであり、高地での栽培が向いてるようです。

ケルナー

ドイツで人気の白ブドウ品種が、「ケルナー」です。トロリンガーとリースリングの交配品種として知られており、とても酸味が穏やかで香りも華やかなワインを造ると評判です。寒冷地であるドイツでも健全に育つよう研究された交配品種であり、現在では日本国内でも北海道や山形、長野などで積極的に栽培されています。

マイナス10度まで耐えるといわれている品種であり、果実がやや小さめであることからも、骨格もしっかりとあるワインに仕上がります。果皮にドイツ系品種らしいテルペン化合物が前駆体として存在しており、バラやフルーツの香りを呈します。

シャスラ

スイスにおける、重要品種とされているのが、「シャスラ」という白ブドウです。なんと、5,000年前から栽培されていたのではないかといわれるほど、古い歴史を持った品種ですが、注目され始めたのは近年です。柑橘系の香りを持ちますが、強過ぎず穏やか。さらに、酸もしっかりとしながらもデリケートな口当たりのため、食事の邪魔をしません。

シャスラで造られる辛口ワインは、食通が最後に到達するワインといわれており、和食にも非常に合うことで知られています。ロワール地方のプィィフィッセシュルロワールでも使用が認められており、素晴らしいワインを生み出しています。

ガルナチャ

「赤ワインと白ワイン」と、ワインを大きな括りで分けてしまえば2種類しかないということになります。しかし、醸造法、造られている国、熟成期間によっても味わいが変わりますし、今回ご紹介したように使用されているブドウ品種でも全くその味わいが違います。

「近頃、ワインを沢山飲んだからもういいかな。」と、何となくワインを分かったような気になった方は要注意です。ワインはとても奥が深くまだまだ私たちの知らない魅力に溢れたお酒なのです。ぜひ、聞き慣れない品種のワインも試し、またワインの面白さに目覚めてください。

ワインの旅は終わらない!

「赤ワインと白ワイン」と、ワインを大きな括りで分けてしまえば2種類しかないということになります。しかし、醸造法、造られている国、熟成期間によっても味わいが変わりますし、今回ご紹介したように使用されているブドウ品種でも全くその味わいが違います。

「近頃、ワインを沢山飲んだからもういいかな。」と、何となくワインを分かったような気になった方は要注意です。ワインはとても奥が深くまだまだ私たちの知らない魅力に溢れたお酒なのです。ぜひ、聞き慣れない品種のワインも試し、またワインの面白さに目覚めてください。