金箔入りの日本酒とは?
まず、根本的な問題として金箔入りの日本酒とは何なのか、というところから入っていきましょう。金箔入りの日本酒はその名の通り、一般的な日本酒に金箔が入っただけのものです。
決して、液体全体が金色になっている、ということではありません。
中には、熟成を経て黄金色になったものをゴールドという、そういった名をつけて販売するものもあるでしょうが、ああいったものには金箔は入っていないので注意してください。
何で金箔を入れる必要があるのか?
さて、金箔入りの日本酒ですが、普通に飲んでも美味しくめでたい感じがあるのに、なぜそこまでして金箔を入れる必要があるのでしょうか。
そのヒミツとしては、シンプルに“豪華”に見えるから、というほかありません。正月などのめでたい時期には、やはり金箔が入っている、というところは重要視される部分です。
親戚一同が集まり、”新しい年を晴れ晴れしく過ごそう”こういった思いの時には、なんといっても金箔を欠かすことはできません。とはいえ、別の意味合いを持つ金箔入りの日本酒もあるそうです。
金沢の酒に多い?
金箔入りの日本酒を探していると、どうも石川県の酒が多いことに気がつくはずです。もちろん、石川県全体というか、金沢が集中して多いことがわかります。
えらい豪快な方が住まわれているのだろう、というイメージかもしれませんが、実はそうではありません。金沢は金箔の生産量がなんと日本一であり、そのシェアが99%を超えていることで知られています。
つまり、金沢としては、おめでたい日本酒という意味合いもあるでしょうが、“金沢の地酒”というイメージをしっかりと植え付けるために、金箔入りの日本酒が造られているのです。
金箔の酒器もある
金沢の出身の方はもちろん、金沢に旅行に行かれた方であればわかるかもしれませんが、市内には金箔をふんだんに使用したアイテムを揃えるショップが、数多く散見されます。
金沢のショップでよく見かけるアイテムの中に、「金華」という日本酒のブランドがありますが、同ブランドの梅酒や芋焼酎など、さまざまなお酒に金箔が入れられています。
さらに、金箔入りの日本酒を盛り上げてくれそうなアイテムが、金箔をたっぷりと使用した酒器です。金色に輝く、見た目にも豪華なお猪口などは金箔入りでなくとも、かなり贅沢な気分にさせてくれます。
このように、金箔は酒器にも使用されているのでチェックしてみてください。
金箔入りでも大丈夫なのか?
さて、金箔入りの日本酒は多く市販されている、ということがわかってきたところで、根本的なポイントに迫っていきましょう。
そもそも、金箔入りの日本酒は無害なのか、というところです。
例えば、シルバーや銅が目に見えて入っているお酒があったとしたら、少し飲むのもためらわれると思います。むしろ、しっかりと濾過して飲まないと、健康を害する可能性があるのでそういったお酒は基本ありません。
ただし、金箔に関しては不思議なことに、完全に無害です。金属としては安定していることから、人体には悪影響を及ぼす可能性が低く、安心して飲むことができるのです。
消化されてしまうので安心?
食用としてではなく、金属としての金の性質をおさらいしてみましょう。金属は、工業用にも多く使用されていますが、一般的にアクセサリーに使用されていることで知られています。
アクセサリーに向いている、ということは、酸に大変強く強酸とも反応することが無いという性質を持っています。
そのため、金箔を飲んでしまったと焦ったところで、強酸状態の胃中で消化されることは無く、結果的に排泄物と一緒に流れ出てしまうわけです。
体の中に金が残るとなれば、少し豪華な気分にもなりますがそういったことは無い、というのが事実です。
栄養価などはなさそう
とはいえ、せっかく食べることができるのですから、何か栄養があっても良いものです。
安価な素材でも無いですし、せっかく金箔が入っているのですから、健康状態にも良い影響を期待してしまうのが、人間です。
しかし、金にはこれといった栄養素は含まれておらず、アミノ酸やカリウム、ナトリウム、亜鉛などの必須ミネラルというわけでもない元素です。
つまり、食べても消化させずに排出されてしまう上に、これといって栄養価は無いため、気分を盛り上げるだけの食材となります。
少々残念な事実
金箔は食材として販売されており、日本酒に入れるだけではなく、食材などにかけても豪華な気分になるものです。
しかし、どうやら市販されている食用の金箔のほとんどは、90%以上が金ではなく、プルランなる多糖類という成分で仕上げられている、という事実があるようです。
もちろん、全てがそうかは不明ですが、金が薄く扱いづらいために、その金箔をコーティングするために利用されているようです。
さらに、ツェインなど聞き慣れない物質でコーティングされることで、プルランが溶けにくくなりますので、これらの食材も使用されています。
実際、純金自体は全体の5%にも満たない、というものが多いのだそうです。
金箔は美味しいのか?
さて、栄養などがさほどなく、気分を盛り上げるために使用されている金箔。ここまできたら、せめて美味しいのか、というところに注目すべきです。
何となくはわかってきたと思いますが、金箔には味が一切ありません。何となく、他の食材と一緒に食べると、その食感から何かを知覚する可能性はありますが、それもほとんどは何かに由来している味わいです。
とはいえ、逆に無味無臭であることから、添加したものの味わいを邪魔すること無く、華やかさをしっかりとプラスできる、という側面も持っています。
やはり、飾りとして楽しむ、ということが金箔入り日本酒の正しい飲み方のようです。
食べ過ぎには注意!
さて、今回は金箔入りの日本酒についてを紹介してきました。
金箔入りの日本酒は、ただただめでたい、という理由で飲むべきものであって、旨いだの不味いだの、栄養があるの無いのと、そういった見方をする自体が無粋かもしれません。
ただ、もし友人や知人などが、「金箔入りの日本酒って、旨いのか!?」と飲みの席などで言っていたら、こっそりとこの事実を教えてあげましょう。
華やかなお酒ですので、「栄養も無いし、味も無い。排泄されるだけだよ」と、場をしらけさせないよう、上手にお伝えしてくださいね。
華やかな気分を台無しにしないように!
さて、今回は金箔入りの日本酒についてを紹介してきました。
金箔入りの日本酒は、ただただめでたい、という理由で飲むべきものであって、旨いだの不味いだの、栄養があるの無いのと、そういった見方をする自体が無粋かもしれません。
ただ、もし友人や知人などが、「金箔入りの日本酒って、旨いのか!?」と飲みの席などで言っていたら、こっそりとこの事実を教えてあげましょう。
華やかなお酒ですので、「栄養も無いし、味も無い。排泄されるだけだよ」と、場をしらけさせないよう、上手にお伝えしてくださいね。

古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。