お酒を料理に使うなんて勿体ない?

まず、お酒を料理に使ってしまうなんて、本当にもったいない!という意見もありそうです。

確かに、料理酒としてそれ専用の調味酒が販売されているので、そういったものを利用するのも良いでしょう。しかしながら、料理酒は本来飲むためだけに造られているわけではないので、旨味が少ないという欠点があります。

例えば、有機酸やフェノール、さらにはアミノ酸量など、こういったものが挙げられます。飲用で造られているお酒は、とにかく栄養価も高く、旨さが多いためそちらの方が良いだろうということなのです。

どんな状態のお酒を使うの?

まず、日本酒やワインであればわかりやすいのですが、開栓抜してから1週間経ったものを嗅いでみましょう。確実に、酸っぱい香りがしてくるはずです。

これは、双方に酢酸が増加している結果であり、やや酸味が高くなっている状態のお酒となってしまっています。また、良い香りの要因であった揮発性化合物なども全て中空へと消えていってしまっているので、残った香り成分では本来の旨さを味わうことができません。

そういった酒を無理矢理、「不味いな…」と思いながら飲むのではなく、料理酒として素晴らしい!と、感銘を受けながら飲むというところがポイントなのです。

お酒は生臭さを消す!

では、早速この辺りから実践に入っていきましょう。そもそも、料理酒は調理前、調理中、調理後とさまざまな使い方が楽しめます。順番的に、まずは調理前に酒を利用する、というところから始めましょう。

まず、どんなお酒にもアルコール(エタノールのこと)が含まれています。このエタノールに関しては、殺菌作用などがあることはご存知だと思います。

つまり、魚や肉など、そういったものに予めなじませておくと、臭みの原因になるものを殺菌することができる、ということにも繋がるのです。

食の安全性を高める!

さらに、白ワインや酸度の高い日本酒の場合、食の安全性を高められることも期待されています。例えば、生ガキなどの細菌が多く含まれていそうな貝類の場合、先にしっかりと殺菌できると安心して食べられるでしょう。

白ワインはpHという、酸性と塩基性の基準数値が酸性に傾いており、さらには、白ワインに含まれている水素イオンなどが食品の細胞膜の中に入ることができるため、細菌などを死滅させる効果を持っているのです。

エタノールと有機酸のダブルパンチにて、食前から安心できる食材に生まれ変わる、ということです。

肉を美味しくする!

同じ肉料理でも、ジューシーなものとカッチカチのものがあり、どうせ食べるのであれば前者が良いと思っている人がほとんどだとは思います。

実は、赤ワインなどに含まれているポリフェノールの一種、タンニンが肉を美味しくする、という報告があります。

赤ワインに含まれているタンニンやミオシンなどが肉の表面にて複合体を作ることにより、肉の表面がブロックされ、内側の肉汁が外に漏れないようになるというのです。

つまり、赤ワインで仕込んだ肉はとてもジューシーに仕上がるということなので、これは覚えておいて損は無いでしょう。

良い香りがつく!

和食を多く食べている日本人としては、料理酒というと日本酒が主になってくることがあります。

前述した通り、日本酒やワインなどにはアルコールが含まれていたり、各種有機酸が含まれているため、臭み消し効果が期待できます。

さらに、日本酒やワインの効果のひとつとして、高級アルコール(バラの香りなどがある)やアルデヒド類(ナッツなどの香りがある)、コハク酸という有機酸の香りなどが食材にプラスされます。

シンプルな食材であっても、こういった酒由来の豊かな香りが含まれるため、より美味しくなると考えられるのです。

実は冷凍食品も使える

日本酒であれば、ワインや他の種類と違って馴染みが深いため、さまざまな料理に使用できる可能性があります。

実は、前述している日本酒の生臭みを取る作用は、冷凍食品などでも活用可能といわれています。

日本酒に含まれているエタノールやほかの成分が、冷凍食品やカップラーメンなどの特有の臭みと結合してしまうので、あの独特の香りが消えてしまいます。

アルコールが飛んでいないので、お酒が弱い方はアレかもしれませんが、カップヌードルに使うのはかなり良い結果が出るので、ぜひ試してみてください。

旨味倍増!

日本酒ばかりで申し訳ありませんが、日本酒はとても万能な調味料であることがこちらでもわかります。それは、旨味を倍増させる、ということです。

日本酒には、グルタミン酸という旨味成分がかなり多く含まれているため、カツオだしや赤身魚などのイノシン酸が含まれている物に使用すると、グルタミン酸が旨味を増幅させるのでより料理が美味しく感じられるわけです。

グリコーゲンを含む貝類などには、やはり日本酒が合うと言われていますが、あれもグルタミン酸との相性が良いため、より美味しく感じられるというカラクリなのです。

素材がとっても柔らかくなる!

酒に含まれているアルコールの作用としては、素材をとても柔らかくする、という作用があります。

通常、食材は煮たり焼いたりしていると、どんどん筋腹繊維のミオシンタンパク質などが変性、擬集していってしまい硬くなり、小さくなってしまいます。

酒を先に含んでいたり、水と同量、それ以上の酒で煮たり蒸したりすると、アルコールの作用によって保水性が高まり固まり過ぎず、とっても柔らかくし上がってしまうのですから驚きです。特に、肉系の鍋で出やすい灰汁も出にくくなります。

これは、絶対に利用すべき裏技でしょう。

焼き目がキレイに出る

お酒は、飲むだけでも美味しいのですが、こういったように料理に使うだけでも大変素晴らしい活躍を見せてくれます。

生臭みを除去、焼き色を良くする、柔らかくする、旨味を保持するなど、我々が調理をするにあたってこれ以上素晴らしい調味料は存在しない、と言い切れるほどの働きをしてくれています。

また、これは余談ではありますが、料理酒として使ったジャンルのお酒と同ジャンルのお酒は必ず、とは言い切れませんが合うようです。

当然、似たような成分が使われているので、喧嘩することはないのです。お酒のマリアージュも、自分で調理をすることによって、幅が広がるわけです。ぜひ、いろいろとチャレンジしてみてください。

酒は素晴らしい!

お酒は、飲むだけでも美味しいのですが、こういったように料理に使うだけでも大変素晴らしい活躍を見せてくれます。

生臭みを除去、焼き色を良くする、柔らかくする、旨味を保持するなど、我々が調理をするにあたってこれ以上素晴らしい調味料は存在しない、と言い切れるほどの働きをしてくれています。

また、これは余談ではありますが、料理酒として使ったジャンルのお酒と同ジャンルのお酒は必ず、とは言い切れませんが合うようです。

当然、似たような成分が使われているので、喧嘩することはないのです。お酒のマリアージュも、自分で調理をすることによって、幅が広がるわけです。ぜひ、いろいろとチャレンジしてみてください。