七賢 スパークリング 杜ノ奏

多くの日本酒ファンから愛されている山梨県の銘酒、「七賢」。
そんな七賢を生み出す山梨銘醸から、なんとウイスキー樽で仕込んだ日本酒「七賢 スパークリング 杜ノ奏(もりのかなで)」が発売されました。

山梨銘醸では、「山ノ霞」と「星ノ輝」という二種類のスパークリング日本酒が登場しており、このカテゴリにおいては「杜ノ奏」は第三弾。
今回のスパークリング日本酒は、白州という地域性をいかすため、サントリー白州蒸溜所の樽を使用したという、驚きの製造方法でつくられているのだそうです。

今回、山梨銘醸 醸造責任者の北原さんに直接「杜ノ奏」について、スパークリング日本酒への思いをインタビューしました。
日本酒好きはもちろん、酒好きは必見ですので、ぜひお楽しみください。

スパークリング日本酒「七賢 スパークリング 杜ノ奏」とは、どのような日本酒なのでしょうか?

シャンパンの製法を用いた、スパークリング日本酒です。
『杜ノ奏』については、その熟成の過程において、ウイスキー樽を使用しています。

今回、新たな試みとして“地域性”をポイントにした理由を教えてください。

七賢 スパークリング 杜ノ奏

私が酒をつくる上で、“白州の名水”というものに思い入れが強くありました。
日本酒には水が重要である、ということは誰もがわかっているのですが、その中でも白州の水はどれだけクリアなものなのか、ということを日本酒づくりを通じて考えていたんです。

七賢では2015年にスパークリングを発表していますが、そのスパークリング日本酒のカテゴリにおいても、白州という地域性を出していきたい、と思ったことがきっかけです。

「杜ノ奏」の製造方法を教えてください。

まずは、日本酒の通常の発酵過程をとり、出来上がったものを一度ウイスキー樽に貯蔵します。
ウイスキー樽に貯蔵する理由としては、樽由来の樽香や風味を抽出することが目的です。

次の工程で、瓶内二次発酵にうつりますが、この時に酵母が発酵することで炭酸ガスが発生します。

最後に、デゴルジュマン…
つまり澱抜きというシャンパンの製造方法をとって、透明な状態で完成となります。

「杜ノ奏」で使用される樽は、どのような基準で選ばれたのでしょうか?

ウイスキー製造の現場では、よく使われている言葉が、“多彩な原酒づくり”。
さまざまなキャラクターの原酒をつくり、それをブレンダーが調合していく、という技術を経てウイスキーが生み出されています。

つまり、ウイスキー樽と一言でいっても数多く種類が存在していますので、まずは系統別で分けていただきました。

私自身樽を嗅ぐ機会がほとんど無かったので、その時に樽の香りとできあがった原酒の香りを嗅ぎ、じょじょに最終製品のイメージを落とし込む作業を続けました。
いろいろな樽を選んでいった中で最終的に、スモーキーであったり樽香が強いようなものではなく、白州の新緑の森の中を歩いているような、爽快な気持ちになるような樽を選ぶようにしました。

当初、サントリー白州蒸溜所側はどのような反応を示されましたか?

実は、樽を使った日本酒づくりの最初は、“熟成タイプ”で使っていきたいと考えていたんです。
それが、ちょうど3年前くらいの話ですね。

さまざまな方に私のこの思いを伝えていたのですが、なかなか実現には至りませんでした。
“地域性の高いものをつくりたい”と、行政の方などにもお願いしたのですが、通ることは無かったんです。

諦めかけていた時、たまたまこの地にサントリーホールディングスの代表取締役副会長がいらっしゃる機会があったんです。
その時に私の思いを直接伝えると、“それは面白い”と仰っていただきまして、そこから樽での開発がスタートというエピソードがあるんです。

それが、昨年の夏頃の話ですね。

なぜ、スパークリング日本酒に?

当初、いただけた樽で熟成日本酒をつくることを目的としていたのですが、分析したり、日々テイスティングをしていた結果、“これはスパークリングにした方が面白いのでは?”と思い、結果途中からスパークリング日本酒の開発に切替えたんです。

「杜ノ奏」の味わいの特徴を教えてください。

まず、はじめのアタックの香りはウイスキー樽からくるバニラ香り、やわらかで優しい香りが来ます。
口に含むと軽快なハーブ系、メープルシロップのような味わいも引き出されてきます。
さらに、日本酒がベースですので日本酒ならではの米、穀物感も楽しめます。

ちなみに、余韻は短く軽快な設計です。
ウイスキーですと余韻が長いイメージがあると思いますが、スパークリングですので、余韻は切れるような軽快なかたちで仕上げています。

「杜ノ奏」は、どのようなお料理と合わせるとよろしいでしょうか?

いろいろと試した結果なのですが、『杜ノ奏』は肉料理との相性がとても良いと感じます。
酒自体の最初のアタックが強いのですが、肉はそれに負けないくらいの旨味やジューシーさ、パンチ力があるため良い相性を示します。

『杜ノ奏』は、さまざまなお肉料理に合わせやすいのではないかと思います。

日本酒全体では売り上げが下がっているようですが、今後日本酒の躍進にはどのような事が求められるとお考えでしょうか?

我々、七賢は抜本的な改革を進めてきており、それに取り組んでいますが、スパークリング日本酒のカテゴリにも力を入れています。

今年で3年目、3種類のスパークリング日本酒を出していますが、市場としてまだ確立されていないカテゴリながら、良い感触を得られているので、さらに深堀していきたいですね。
“スパークリング日本酒”をニッチな市場で終わらせることなく、定着させるという強い気持ちで進んでいきたいと思っています。

七賢はスパークリングにも力を入れていますね。

我々、七賢は抜本的な改革を進めてきており、それに取り組んでいますが、スパークリング日本酒のカテゴリにも力を入れています。

今年で3年目、3種類のスパークリング日本酒を出していますが、市場としてまだ確立されていないカテゴリながら、良い感触を得られているので、さらに深堀していきたいですね。
“スパークリング日本酒”をニッチな市場で終わらせることなく、定着させるという強い気持ちで進んでいきたいと思っています。

今後、チャレンジしてみたいことなどがあればお聞かせください。

さまざまなチャンレジはもちろん、通常の日本酒のブラッシュアップはこれからも続けていきます。

日本酒が世界での標準、当たり前の酒になるためには、もっと付加価値をつけていかなければならないと感じています。
価格を上げるだけではなく、ものづくりのストーリー。
私どもであれば、地元の米、そして清らかな名水などを最大限生かした商品をつくり込んでいくことになると思います。
量を求めるのではなく、価値の高いものづくりを継続していきたいですね。

また、スパークリングに関しては、日本酒では定着していないヴィンテージという世界へのチャレンジです。
日本酒には、古酒というカテゴリがあり、それに一括りにされてしまうため、ヴィンテージがさほど価値を持ちません。

スパークリングの分野では、その年代でどのように味わいが変化していくのかということなど、深くヴィンテージについて研究し続けたいと思います。

ありがとうございました!

山梨銘醸は、スパークリング日本酒の魅力を世界に広めるべく新しく生まれた組織、「一般社団法人 awa酒協会」にも参加されています。

北原さんはインタビューの中で、「2020年に開催されるオリンピックで訪れる多くの海外のお客さまが、スパークリング日本酒で乾杯してくれるように広めていきたい。その他、さまざまなイベントでの乾杯など、多彩なシーンでスパークリング日本酒を飲んでいただけるように、広めていきたい。」と力強く語ってくれました。

伝統的でありながら、新しい日本酒「スパークリング日本酒」。
今回の「杜ノ奏」をきっかけに、日本酒の楽しみを広げていきましょう。

山梨銘醸株式会社
https://www.sake-shichiken.co.jp/

七賢 スパークリング 杜ノ奏
https://www.sake-shichiken.co.jp/sparkling/