【この記事でわかること】
- 赤玉ポートワインの歴史
- 赤玉ポートワインの種類
- 赤玉ポートワインの飲み方
赤玉ポートワインとは?
赤玉ポートワインは、が1907年に発売した甘味果実酒です。濃い赤色と甘い味わいが特徴で、当時としては珍しい、日本人の味覚に合わせた洋酒として人気を博しました。
現在では「赤玉スイートワイン」という名称で販売されていますが、長らく「赤玉ポートワイン」として親しまれてきたため、この名前に馴染みのある方も多いでしょう。食前酒やデザートワインとして楽しまれることが多く、冷やして飲むのが一般的です。
その甘さは、お酒が苦手な方でも飲みやすいとされ、また、お菓子作りなどの材料としても活用されています。
赤玉ポートワインは、日本の洋酒文化の黎明期を代表するお酒の一つであり、長年にわたり多くの人々に愛されてきました。その甘美な味わいは、今もなお、多くの人々を魅了し続けています。
赤玉ポートワインの由来や歴史
赤玉ポートワインは、日本の洋酒文化黎明期において、甘味果実酒の先駆的な存在として注目を集めました。それだけ歴史のある商品である赤玉がどのように誕生し、親しまれてきたかを紹介します。
日の丸と太陽が由来
赤玉ポートワインという名称は、日本の国旗である日の丸、そして万物の根源たる太陽への敬意を表しています。その鮮烈な赤色は、日の丸や太陽を想起させるとともに、「日本人のための葡萄酒」を創造しようとした鳥井信治郎氏の強い意志を象徴的に示しています。
この印象的な名称と、甘美で飲みやすい風味は、当時の酒類市場において極めて斬新であり、広範な支持を獲得しました。
広告戦略においても、「赤玉」という簡潔で覚えやすい名称は奏功し、大正期には新聞の一面を飾る大々的な広告が展開され、社会現象とも言える反響を呼びました。
新聞に赤い円が描かれていることから、子供の落書きと誤認する者が続出したという歴史は、その広告が社会に与えた影響の大きさを物語っています。
赤玉スイートワインとの違い
赤玉ポートワインは、長らくこの名称で広く認知されていましたが、1973年に「赤玉スイートワイン」へと名称が改められたという歴史があります。
この名称変更は、ポルトガル政府からの要請を受けたものであり、ポルトガル産のポートワインとの混同を避けることが目的でした。名称は変更されたものの、酒類の製法および風味は基本的に維持されており、甘く濃厚な味わいは現在に至るまで継承されています。
すなわち、「赤玉ポートワイン」と「赤玉スイートワイン」は、呼称こそ異なりますが、同一の酒類を指しています。「赤玉ポートワイン」という名称は、現在でも多くの人々の記憶に深く刻まれており、郷愁を喚起する要素として機能しています。
赤玉スイートワインが誕生したきっかけ
「赤玉ポートワイン」は、日本の洋酒黎明期において、甘味果実酒という新たなカテゴリーを確立しました。しかし、長きにわたり使用された「ポートワイン」という名称は、後に国際的な商標保護の観点から変更を余儀なくされます。
「ポートワイン」とは、ポルトガル北部のドウロ地方で生産され、ポルト港から出荷される酒精強化ワインの名称であり、原産地呼称が保護されています。ポルトガル政府から「ポートワイン」の名称使用に対する異議申し立てがなされました。
この指摘を受け、サントリーは、消費者の混乱を避け、国際的な商標ルールを遵守する観点から、名称変更を決断しました。こうして現在の「赤玉スイートワイン」という名称が誕生することになったという歴史があります。
赤玉スイートワインの種類
赤玉スイートワインの商品ラインナップですが、一般的に知られている赤玉ポートワインの他にもいくつか展開されています。それぞれ違った味わいを楽しめるようになっているため、自分の好きな味わいの種類を選べるようになっています。
赤玉スイートワイン赤

赤玉スイートワイン赤は、赤玉ブランドの中核をなす、伝統的なスイートワインです。かつて「赤玉ポートワイン」として親しまれていたこのお酒は、その名の通り、濃い赤色と甘く濃厚な味わいが特徴な飲み方の種類です。
使用されているブドウ品種はコンコード種で、この品種特有の、どこか懐かしいブドウジュースのような香りが、飲む人を優しく包み込みます。
甘味が強いため、お酒に強くない方でも比較的飲みやすく、食前酒やデザートワインとして、また、お菓子作りなどの材料としても幅広く活用されています。
冷やして飲むことで、より一層美味しく楽しむことができます。赤玉ポートワイン時代から受け継がれる、甘く濃い味わいは、長年にわたり多くの人々に愛され続けてきました。
赤玉スイートワイン白

赤玉スイートワイン白は、赤玉ブランドのラインナップの中で、赤玉ポートワイン赤とは異なる魅力を持つスイートワインです。
使用されているブドウ品種はナイアガラ種で、白ブドウ特有の、華やかでスパイシーな香りが特徴です。赤に比べると、やや軽やかな口当たりで、すっきりとした甘さを楽しむことができます。冷やして飲むことで、その香りと味わいを最大限に引き出すことができます。
食前酒としてはもちろんのこと、食後のデザートワインとしてもおすすめです。また、カクテルのベースとしても活用でき、様々な飲み方で楽しむことができます。赤が甘く濃厚な味わいであるのに対し、白はより軽やかでフルーティーな味わいが特徴な種類です。
赤玉パンチ

赤玉パンチは、赤玉スイートワイン赤をベースに、ソーダで割った爽快な飲み方の種類です。レモンの風味が加えられており、さらに爽やかさがアップしています。アルコール度数も抑えられているため、お酒が強くない方でも気軽に楽しむことができます。
この商品は、赤玉スイートワインの新しい楽しみ方を提案するもので、特に若い世代を中心に人気を集めています。缶入りで手軽に楽しめるのも魅力の一つです。
赤玉ポートワイン時代から、赤玉スイートワインをソーダで割って飲むスタイルは親しまれており、この赤玉パンチは、その飲み方を手軽に楽しめるように商品化したものと言えるでしょう。
赤玉ポートワインの飲み方
赤玉ポートワインは、様々な飲み方を楽しめるお酒となっています。好みの味わいの飲み方を見つけて楽しむ参考のために、おすすめの飲み方や作り方を紹介します。
ストレート
赤玉ポートワインは、その甘く濃厚な味わいをそのまま楽しむ飲み方として、ストレートがおすすめです。ワイングラスに注ぎ、ゆっくりと香りを楽しみながら、口に含むことで、その甘美な風味が口いっぱいに広がります。
赤玉スイートワイン本来の味わいをじっくりと堪能したい時に最適な飲み方の種類です。特に、食前酒やデザートワインとして、少量をゆっくりと味わうことで、その甘さとコク、そして余韻まで楽しむことができます。
冷やして飲むことで、甘さが引き締まり、よりすっきりとした味わいになります。
ロック
赤玉ポートワインをロックで飲むと、氷がゆっくりと溶け出すにつれて、味わいが変化していくのを楽しむことができます。
グラスに氷を入れ、赤玉スイートワインを注ぐだけの簡単な飲み方ですが、時間の経過とともに変化する甘さと冷たさのバランスが絶妙です。ストレートで飲むよりも、やや軽快に楽しみたい時におすすめです。
氷が溶けることで、アルコール度数が若干下がり、より飲みやすくなります。また、冷たさが持続するため、暑い季節にもぴったりな飲み方の種類です。
お湯割り
赤玉ポートワインをお湯で割る飲み方は、寒い季節に体を温めながら楽しむのに最適です。温めることで、甘い香りがより一層引き立ち、心も体も温まります。
お湯と赤玉スイートワインの割合はお好みで調整できますが、最初は1:1の割合から試してみるのがおすすめです。まるでホットワインのような感覚で楽しむことができ、リラックスしたい時や、就寝前などにぴったりです。
また、風邪気味の時など、体を温めたい時にもおすすめな飲み方の種類です。
サングリア
赤玉ポートワインは、サングリアのベースとしても活用できます。オレンジ、リンゴ、レモンなどお好みのフルーツをカットし、赤玉スイートワインと一緒に漬け込むことで、フルーティーで華やかなサングリアを作ることができます。
パーティーや女子会など、大勢で楽しむ際に最適な飲み方の種類です。フルーツの香りと赤玉ポートワインの甘さが絶妙にマッチし、見た目も華やかなため、場を盛り上げるのに一役買ってくれます。
色々なフルーツを試して、自分だけのオリジナルサングリアを作ってみるのも楽しいでしょう。
ジュース割り
赤玉ポートワインは、様々なジュースと割って楽しむこともできます。オレンジジュースやグレープフルーツジュース、アップルジュースなど、お好みのジュースでスイートワインを割ることで、より飲みやすく、フルーティーな味わいになります。
この飲み方は、お酒が苦手な方や、アルコール度数を抑えたい時におすすめです。ジュースの種類によって、味わいが大きく変わるため、色々な組み合わせを試してみるのも楽しいでしょう。
まとめ
「赤玉ポートワイン」という名前で親しまれた時代から、現在の「赤玉スイートワイン」に至るまで、その甘美な味わいは多くの人々に愛され続けています。
ストレートやロックといったシンプルな飲み方から、サングリアやジュース割りといったアレンジまで、幅広い楽しみ方があるのも魅力です。この記事を参考に、あなたも「赤玉スイートワイン」を手に取り、その歴史と多様な味わいを体験してみてはいかがでしょうか。
食前酒として、デザートワインとして、あるいはお菓子作りの材料として、さまざまなシーンで「赤玉」を楽しんでみてください。

古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。