【この記事でわかること】
- ボウモアの概要
- ボウモアの歴史と製法
- ボウモアの種類と定価
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ボウモア(BOWMORE)はどんなウイスキー?
ボウモア(BOWMORE)は全国各地の量販店に幅広く流通しているウイスキーですから、ラベルだけは見かけたことがあるという人も多いでしょう。
しかし実際はどんなお酒なのかまで知らない人もいるかと思います。まずはボウモアの概要について詳しく確認していきましょう。
正露丸の味?まずいと噂のボウモア(BOWMORE)の特徴
ボウモア(BOWMORE)の最大の特徴は、正露丸の味がするとまで言われるその独特の風味です。かなり大きなクセのある味わいですから、人によっては「まずい」と拒否反応を起こすこともあるでしょう。
しかしその風味は、ボウモアの蒸留所があるスコットランドアイラ島産のウイスキーに共通している特徴であり、近い場所を産地としている「ラフロイグ」や「アードベッグ」も同じような風味を持っています。
その正体は、ウイスキーの原料である大麦を乾かす際に燃やされる泥炭(ピート)が燻された香りです。よくよく味わってみると、スモーキーと称されるように煙の香りがするはずです。
味わえば味わうほど虜になる風味で、コアなウイスキーファンからは常に高く評価されています。
ボウモアの歴史
ボウモア(BOWMORE)蒸留所の創業は1779年と言われていて、これはアイラ島では最も古く、スコットランド全体で見ても2番目と、最古レベルの長い歴史を持つ蒸留所です。その後150年の間に経営者が幾度も変わってきており、1994年には日本のサントリーが子会社化しています。
第二次大戦を経て経営悪化が続いていましたが、サントリーが立て直しを実施。2014年にはスピリッツ事業を総括する「ビームサントリー」に移換されていますが、高く評価されている伝統的ウイスキー製法は固守し続けられています。
2023年3月現在、ボウモアの製品は価格の高騰も起きておらず、安定的に飲むことができています。しかし25年や18年など長期熟成商品の一部では休売となっていて、これが終売に至るかどうかの注目が集まっています。
ボウモアの製法
ボウモア(BOWMORE)の製法は伝統的なウイスキー造りの手法を継承しています。大麦の発芽には、発芽室の床一杯に大麦を広げて行うフロアモルティングを実施。
人の手で何度も掘り起こしをして、大麦を効率よく空気に触れさせる必要がある、非効率な作業ではあります。その代わり、自社の製法に適したモルトを生産できるメリットがあるのです。
ボウモアの最大の特徴である風味は、次の乾燥の工程で付けられます。乾燥室に運ばれた麦芽は、ピートを焚いた熱によって乾かされます。この時麦芽に付いた香りが、最後にできあがるウイスキーまで残ることとなります。
その後、糖化、発酵、蒸留を経て熟成へと入りますが、この時使用される第1貯蔵庫は海に面していて、高さも海面と同じ。潮の香りがウイスキーに正露丸とも称される特有の風味を与えることになるのです。
これだけ手間ひまかけて造り出されたウイスキーですから、世界中のウイスキーファンからの評価が高いです。終売の情報が出回ろうものなら、瞬く間に価格が上がるでしょう。
ボウモアの評価
ボウモア(BOWMORE)の評価ですが、一般的にはやはりクセのある味わいであることから、二分しているといったところでしょう。実際、ボウモア12年や15年を口にして正露丸のようでまずいと感じる人は一定数いるようです。
しかし世界中におけるウイスキーファンからの人気はとても高く、過去にはISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)においてボウモア18年が金賞を受賞しています。
ボウモアは「アイラモルトの女王」という異名も持っており、それ故か否か、1980年にはエリザベス女王が蒸留所を訪問。原酒の樽詰めを見学されたという逸話も残っています。
ボウモアの種類・定価
ボウモア(BOWMORE)の公式サイトにてラインアップされている商品は、休売中の物も含めて4種類あります。その他にも、限定的に発売されていた物なども含めると、その種類は更に多数存在します。
ボウモアのウイスキーにはどのようなウイスキーがあるのかを、定価や販売価格の相場も含めてご紹介します。
ボウモア(BOWMORE) 12年
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで最も手に入りやすい種類のウイスキーが「ボウモア 12年」です。日本国内においてはボウモアの定番商品となっていて、ECサイトや酒販店など幅広い場所での購入が可能です。
味わいはアイラモルトの伝統銘柄らしくスモーキーさと潮の香りが前面に出ます。それらの香りを正露丸のようだと感じるとまずいと思い込んでしまうでしょうが、奥底に潜むレモンの香りやコクのある甘みを感じられれば、ボウモアの持つ美味しさの虜になります。
2023年3月現在、公式サイトでの定価は税別5060円とされています。AmazonなどのECサイトでも概ねその前後の価格帯で取引されています。また、ハーフボトルも販売されているので、ちょっと試してみたいという人にもおすすめです。
ボウモア(BOWMORE) 15年
現在メーカーから入手できるボウモア(BOWMORE)のラインアップで、終売・休売となっていない中で最も熟成年数が高い種類のウイスキーが「ボウモア 15年」です。
12年の間バーボン樽で熟成させていた原酒を、シェリー樽に移し替えて更に3年間熟成させました。バーボンの木の香りとシェリーの甘みが折り混ざり、他に類のない味わいを生み出します。それらの香りを正露丸のようだと感じるとまずいと思い込む可能性は、低いと思われます。
2023年3月現在での、公式サイトでの定価は税別9200円ですが、品薄気味のためか、AmazonなどのECサイトではやや高めの価格で販売されているようです。
ボウモア(BOWMORE) 18年
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、特に高い評価を得ている種類のウイスキーの1つが「ボウモア 18年」です。味わいはシェリー樽から移った香りが全体の味わいをまろやかに溶け合わせ、スモーキーな風味を掛け合わせることでバランスの良さが更に際立つ逸品となっています。
正露丸のようでまずいと感じる要素が大きく弱まっていて、苦手意識を持つような人にもおすすめできます。飲み方はストレートやトワイスアップなどにして、ウイスキーの味わいを存分に楽しみましょう。
2023年3月現在、公式サイトでの定価は税別1万2000円とされていますが、オフィシャルからの販売は休売中です。AmazonなどのECサイトでも購入は可能ですが、休売中の商品であることから、定価と比較すると2倍近くかそれ以上の値段にまで高騰しています。
ボウモア(BOWMORE) 18年 ディープ&コンプレックス
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、日本国内ではなかなか手に入らないウイスキーの1つが「ボウモア 18年 ディープ&コンプレックス」です。免税店向けの商品としてリリースされた商品で、2種類のシェリー樽で熟成した原酒をブレンドして仕上げられた特別なボトルです。
ボウモア18年と比較すると、シェリー由来のベリーやビター系統の味わいがより強まっているとのこと。飲み方はストレートやトワイスアップなどにして、ウイスキーの味わいを存分に楽しみましょう。正露丸のようでまずいと感じる要素が大きく弱まっていて、苦手意識を持つような人にもおすすめできます。
2023年3月現在、公式サイトでは案内されていない商品で、メーカーが定めた定価も不明です。AmazonなどのECサイトでは2万円前後での取引が目立つことから、ボウモア18年と同程度の価格が相場とみて良さそうです。
ボウモア(BOWMORE) 25年
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、定番商品の中でフラッグシップとも呼べる種類のウイスキーの1つが「ボウモア 25年」です。味わいはボウモアが本来持ち合わせる風味が年月と共に熟された香りや芳醇さを味わえます。
スモーキーさから尖った風味がなく、ライトに楽しめる逸品です。正露丸のようでまずいと感じる要素が大きく弱まっていて、苦手意識を持つような人にもおすすめできます。飲み方はストレートや濃いめのトワイスアップなどにして、ウイスキー本来の味わいを存分に楽しみましょう。
2023年3月現在、公式サイトでの定価は税別6万4800円とされていますが、オフィシャルからの販売は休売中です。AmazonなどのECサイトでも購入は可能ですが、休売中の商品であることから、10万円近い値段にまで高騰しています。
ボウモア(BOWMORE) スモールバッチ
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、ライトな味わいが楽しめるウイスキーの1つが「ボウモア スモールバッチ」です。スモールバッチとは少数限定生産の商品に付けられることが多い名前で、本来はバーボンウイスキーの用語でした。
ボウモアでは、ファーストフィル(一度だけシェリーかバーボンの熟成をさせた樽)とセカンドフィル(ファーストフィルでもう一度だけお酒を熟成させた樽)の2種類の樽で熟成した原酒をブレンドして仕上げられた特別なボトルです。
2023年3月現在では終売済みです。定価は3000円台で購入できたという情報がありますが、ECサイトでは1万円前後という価格で出品されてる1本のみを確認できます。少数限定生産の名に偽りはありません。
ボウモア(BOWMORE) ヴォルト
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、より海の香りを楽しめるウイスキーが「ボウモア ヴォルト」。上の項目で紹介した、ボウモア蒸留所にある海を目の前に望む第1貯蔵庫にて熟成された原酒を用いているボトルです。
数ある種類のボウモアの中で、特に潮の香りを感じさせるようで、ストレートからハイボールまで、多彩な飲み方にも対応できます。それでいて香りを損なわない力が、ヴォルトにはあります。
2023年3月現在では終売済みです。定価は1万2000円だったようですが、ECサイトでは1万6000円前後と、異常なまでの価格高騰には至っていないようです。
ボウモア(BOWMORE) No.1
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、定番商品以外で比較的手に入りやすいウイスキーが「ボウモア No.1(ナンバーワン)」です。こちらも第1貯蔵庫で熟成された原酒を用いているとのことですが、使用している樽はバーボン樽のみ。ファーストフィル100%で、熟成年数は比較的若いノンエイジ仕様としてリリースされています。
そのため購入価格についても、定番商品の「ボウモア12年」より安く購入できるケースもあるようです。このような仕様であることから、香りについてはボウモアを苦手とする人は正露丸を感じてまずいと思う可能性があるでしょう。
ハイボールなどで割って飲むのもおすすめです。定価は3500円。ECサイトで4000円台の価格で購入できます。
ボウモア(BOWMORE) ゴールド・リーフ
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、日本国内ではなかなか手に入らないウイスキーの1つが「ボウモア ゴールド・リーフ」です。先ほど紹介したディープ&コンプレックスと同様に、免税店向けの商品としてリリースされた商品です。
こちらの特徴は2種類の樽を用いて2段階の熟成をしていることです。その順番が、シェリー樽からバーボン樽への移り変わりというのは珍しく、バーボンが持つしっかりとしたコクと甘み、そしてボウモアのスモーキーフレーバーの組み合わせがバランス良く仕上がっています。正露丸っぽさは、感じる人は感じるかもしれません。
2023年3月現在においては、既に終売になっているようです。定価については不明ですが、およそ6000円での出品実績が確認できます。またECサイトでは、1万3000円からの出品が見られます。
ボウモア(BOWMORE) レジェンド
ボウモア(BOWMORE)のラインアップで、日本国内ではなかなか手に入らないウイスキーの1つが「ボウモア レジェンド」。こちらは免税店向けの商品というわけではあく、日本国内未発売となっている種類の商品です。
ナンバーワンと同様にノンエイジであり、味わいも若々しさが主に感じられるとのこと。ヨード香が強めというレビューも見られることから、正露丸の香りが苦手な人にはまずおすすめできません。
定価については並行輸入でしか購入できないので詳しくは不明ですが、12年より安い3000円台で購入できていたようです。2023年3月現在ではECサイトにて4000円台で購入できます。
ボウモア(BOWMORE)に関するよくある質問
最後にボウモア(BOWMORE)に関する良くある質問を集めました。ボウモアのウイスキーを購入する際の参考にしてみてください。
ボウモアの終売情報は?
2023年3月現在におけるボウモア(BOWMORE)の終売情報ですが、まず今回紹介した銘柄の中では、少数限定生産品については全て終売済みと考えて大丈夫です。
ただしナンバーワンなどの一部種類は、未だ酒屋の店頭に並んでいたり、ECサイトで高くない価格で購入できたりと、手に入りやすいようです。公式サイトにラインアップされている定番商品では、18年と25年が休売中です。
特に評価が高い18年が定価でなかなか手に入りにくくなっているのは残念ですが、終売では無く休売ですから、また復活する可能性が高いウイスキーであることを留意しておきましょう。
ボウモアの美味しい飲み方は?
ボウモア(BOWMORE)のおすすめの飲み方ですが、12年やレジェンドなどの若い味やヨード香が強めのウイスキーは、ハイボールにしても美味しく飲めます。
正露丸のような風味が苦手という方でも、割って飲めばまずいと感じる可能性は薄れるでしょう。18年などのように高い評価を得ている長期熟成の種類であれば、ぜひストレートやトワイスアップでお楽しみください。
まとめ
ボウモア(BOWMORE)は、スコッチウイスキーの中でも特にクセが強いアイラモルトを代表する伝統的なウイスキーです。その歴史の古さは、スコットランド全体で見てもかなりの長さ。エリザベス女王も愛したアイラモルトの女王です。
正露丸のような味がするという感じ方もできてしまいますが、一度その虜になると、アイラモルトの味わいから抜け出せなくなるでしょう。
スコッチウイスキーをもっと深く楽しむためにも、ボウモアの味わいを是非楽しんでみてはいかがでしょうか。
古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。