[この記事でわかること]
- サントリーウイスキーの値上げはいつ?
- サントリーウイスキーの値上げの背景と理由
- サントリーウイスキーで値上げした種類一覧
- 角瓶やオールドの値上げについて
- サントリーウイスキーの値上げによる影響
- サントリーウイスキーの値上げに関するよくある質問
サントリーウイスキーの値上げはいつ?

それでは、サントリーウイスキーが値上げした時期について解説しましょう。
2024年4月1日出荷分から値上げ
サントリーウイスキーは2024年4月1日より価格改定(値上げ)を実施しました。
今回の値上げはすべての製品ではなく、響、山崎、白州、知多など人気の5銘柄19品目が対象となっています。
2022年など過去に数回の値上げがあった
サントリーウイスキーは過去にも数回値上げしています。
以下は、過去のサントリーの値上げ時期と内容をまとめた一覧です。
値上げ年月日 | 主な内容 |
2023年3月22日 | サントリー角瓶、オールド |
2023年11月21日 | 山崎12年をはじめとした19品目 |
2022年4月1日 | 山崎18年など31品目(マッカランなどを含む) |
2015年4月1日 | 山崎やマッカランなど39品目 |
サントリーウイスキーの値上げの背景と理由
サントリーウイスキーの値上げの背景にはいくつかの理由がありますが、やはり近年の世界的なジャパニーズウイスキー人気の高まりが最も大きな要因でしょう。
以下では、順を追ってサントリーウイスキーの値上げの背景を解説します。
1980年代以降のウイスキー需要の停滞
ウイスキー市場は1960年代以降の高度経済成長期に人気となり、国内でも1969年にはニッカウヰスキーの宮城峡蒸留所が開設されるなど、その人気は高まっていました。田中角栄氏が吉田茂氏の影響を受け、オールドパーを愛飲していた話は有名です。
しかし、1980年代以降“冬の時代”と呼ばれる低迷期に突入し、需要が大きく減少しました。この時期には、スコットランドのアードベッグ蒸留所や日本の軽井沢蒸留所など、多くの有名蒸留所も閉鎖を余儀なくされる事態となっています。
ジャパニーズウイスキー人気の高まり
しかし、2000年にフランスで「富士山麓」が爆発的なヒットを記録したことで状況が一変します。
これを機に、ジャパニーズウイスキーの繊細で奥深い味わいが世界で評価されはじめ、多くのジャパニーズウイスキーがインターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(ISC)などの世界的コンペティションで数多くの賞を受賞しました。
原酒不足の深刻化
これらの要因により、ジャパニーズウイスキー需要は急速に高まりました。しかし、一方で原酒の生産量は急増する需要に追いつかず、サントリーを含む国内の各メーカーは供給難に陥ります。
結果、山崎10年など、いくつもの人気銘柄が惜しまれつつも終売に追い込まれました。そして現在も、「出荷までに最低3年の熟成を要する」というウイスキーの特性もあり原酒不足は続いています。
近年の物価高騰
上記の要因に加え、近年の物価高騰も価格改定の一因となっています。
サントリーは品質向上を目指して日々の改善を続けていますが、昨今の物価高騰により原材料や輸送費が増加し、コストが大きく膨らみました。それでもサントリーブランドの高いクオリティを維持し、さらなる品質向上を実現するのは企業の使命でもあります。
こうした状況下で、供給の安定化と品質維持のため、今回の値上げが実施されたのです。
サントリーウイスキーで値上げした種類一覧

まずは、今回サントリーウイスキーが2024年4月に値上げした主な10銘柄、改定価格および旧価格を一覧表にまとめたのでぜひ目を通してください。
ブランド | 商品名 | 改定価格 | 旧価格 |
響 | サントリーウイスキー 響 30年 | 360,000円 | 160,000円 |
サントリーウイスキー 響 JAPANESE HARMONY | 7,500円 | 5,500円 | |
山崎 | サントリーシングルモルトウイスキー 山崎 25年 | 360,000円 | 160,000円 |
サントリーシングルモルトウイスキー 山崎 12年 | 15,000円 | 10,000円 | |
サントリーシングルモルトウイスキー 山崎 | 7,000円 | 4,500円 | |
白州 | サントリーシングルモルトウイスキー 白州 25年 | 360,000円 | 160,000円 |
サントリーシングルモルトウイスキー 白州 12年 | 15,000円 | 10,000円 | |
サントリーシングルモルトウイスキー 白州 | 7,000円 | 4,500円 | |
知多 | サントリーウイスキー 知多 | 6,000円 | 4,000円 |
碧Ao | SUNTORY WORLD WHISKY 碧Ao | 6,000円 | 5,000円 |
参照:SUNTORY
続いて、今回値上げしたサントリーウイスキーの一部を紹介します。
- 山崎
- 知多
- 白州
山崎
今回山崎で値上げしたのは、山崎25年、山崎12年、山崎18年、山崎(NV)です。値上げに際して価格改定率が最も高かったのは、山崎25年の125%で、続いて山崎18年の71.88%、山崎(NV)の56%、山崎12年の50%となっています。
山崎はサントリーを代表するシングルモルトウイスキーで、数多の受賞歴を誇るジャパニーズウイスキーの象徴的存在です。その人気の高さは衰えることなく、今回の価格改定を受けても入手困難な状態は続いています。
※価格改定率=価格上昇額(値上がり価格-元の価格)÷元の価格×100
知多
知多は、今回の値上げによる価格改定率は50%でした。
知多は、トウモロコシやライムギなどの穀物を主原料に作られるグレーンウイスキーで、山崎や白州のようなモルト100%のシングルモルトウイスキーではありません。
グレーンウイスキーは、一般的にブレンデッドウイスキーの原酒として使われており、シングルモルトウイスキーと比較して流通量が少ないお酒です。そういった特性上、知多では年代表記されたエイジングボトルがもともとリリースされておらず、今回も値上げは従来の一点のみとなっています。
白州
白州が今回値上げしたのは、白州25年、白州18年、白州12年、白州(NV)です。
価格改定率で値上げ幅を見てみると、最も高かったのが白州25年の125%、白州18年の71.88%、白州(NV)の56%、白州12年の50%で、上記でお伝えした山崎と同じラインナップが同価格で値上がりしています。
白州はピーティな香りが特徴的なシングルモルトウイスキーで、白州にはピートの香りを前面に出した「白州ピート」が存在するほどスモーキーな銘柄として知られています。なお、白州10年は2013年に終売して以降リリースされておらず、後継商品として誕生したのが今回値上げした一つである白州(NV)です。
角瓶やオールドの値上げについて

今回の価格改定では、サントリーの角瓶とオールドは値上げ対象外でした。
これら2銘柄は、2023年7月に値上げされていたため、今回の値上げから外されています。
なお、2023年以前に値上げしたのは2016年で、この値上げは実に7年ぶりでした。今回(2024年4月)の値上げと比較して価格改定率が比較的低かったため、大きな話題にはなっていませんでした。
参考までに、2023年7月に改訂した現在の定価を以下にお伝えします。
- 角瓶:1,910円
- オールド:2,250円
2023年7月の値上げによる価格改定率は、角瓶が約20%、オールドが約19%となっています。
サントリーウイスキーの値上げによる影響
今回のサントリーウイスキーの値上げによる影響を受け、今後のウイスキー買取市場の動向はどのように変化していくのでしょうか?以下では、過去の買取価格の推移から今後の市場動向を予想してみます。
- さらに入手困難になることが予想される
- 流通価格がさらに上昇する
さらに入手困難になることが予想される
今回のサントリーウイスキー値上げを受け、今後の買取市場では、さらにジャパニーズウイスキー全体が入手困難になると予想されます。特に今回値上げされた山崎、響、白州などは、全て買取市場で人気が高い銘柄ばかりでした。
今回の値上げは、物価高騰、原酒不足といった背景から、サントリーが従来のブランドクオリティを維持するために決断したもので、値上げによってこれらの銘柄の流通量が増えるわけではありません。
今後は、これらの銘柄の流通量はますます減少すると予想され、定価の上昇に伴い、買取価格も高騰していくことが見込まれます。
流通価格がさらに上昇する
今回の値上げに伴い、サントリーウイスキーを中心に、流通価格のさらなる上昇が見込まれています。今回値上げの対象となった銘柄は、もともと流通価格が高騰しているものが目立ちました。
例えば、山崎25年や18年、12年といった銘柄は、現行ラインナップとして存在していますが、一般の量販店ではほとんど見かけることがなく、ネットオークションや取引サイトで高値取引されているケースが一般的です。
今回の値上げを受けて定価自体が底上げされたこともあり、これらの銘柄を中心としてさらに流通価格が高まるであろうと予想されています。
サントリーウイスキーの値上げに関するよくある質問
それでは最後に、サントリーウイスキーの値上げに関するよくある質問をご紹介します。
- サントリーウイスキーの値上げはいつから?
- 値上げするウイスキーは?
- サントリーウイスキーの値上げによる影響は?
サントリーウイスキーの値上げはいつから?
サントリーウイスキーの値上げは、2024年4月に実施されています。
なお、サントリーは、2024年11月に、2025年4月出荷分から再度値上げすることも発表しています。現在のところ、詳しい銘柄は公表されておりませんが、分かっているところではマッカランなどが挙げられています。
値上げするウイスキーは?
2024年4月に値上げ対象となったのは、サントリーの主要製品5銘柄、19品目です。
主な銘柄は、山崎や白州、知多、碧Aoなどで、サントリーの人気銘柄の角瓶やオールドは値上げ対象外でした。
今回の値上げ幅が大きかったのは、山崎25年、白州25年でした。熟成期間が長いエイジングボトルの高騰ぶりが非常に顕著であり、25年物は両者とも価格改定率が125%となっています。つまり、元の価格に1.25%分の料金を加算したのが今回の定価なので、元の価格の倍以上の値上がりとなっています。
サントリーウイスキーの値上げによる影響は?
サントリーウイスキーの値上げは、買取市場にも大きな影響をもたらすと考えられます。特に、今回値上げされた山崎や響といった人気銘柄は、元々流通量が少なく、プレミアムな製品として扱われてきました。
今回の値上げにより、これらの銘柄の希少性はますます高まり、買取価格も上昇の一途をたどると予想されます。定価の引き上げは、買取価格の底上げにもつながるため、今後も高値で取引されることが見込まれます。
まとめ
サントリーは2024年、山崎や響、白州などの人気銘柄を中心に、19品目のウイスキー価格を改定しました。
今回の値上げは、原材料の高騰や物流コストの上昇、そして近年続くジャパニーズウイスキーブームの高まりを背景に、サントリーブランドの品質維持とさらなるクオリティ向上を目指し、やむを得ず実施されたものです。
値上げ額は製品によって大きく異なっているため、サントリーウイスキーの購入を検討されている方は、ぜひ本記事で各製品の価格改定率を確認したうえで選択してみてください。

古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。