杜氏を廃止した唯一の酒蔵

獺祭を醸している蔵元、山口県にある旭酒造は『酔うため、売るための酒でなく、味わう酒を求めて』という信念に基づく酒造りをモットーに、他の蔵では無いような、思い切った造り方をしています。

例えば旭酒造では、杜氏(とうじ)を廃止し、社長と社員だけで酒造りをしている日本広しといえど、杜氏を廃止しているのは旭酒造だけ。もともと杜氏とは、酒の醸造工程を行う職人集団の、蔵人の監督者かつ酒蔵の最高製造責任者のことを指します。

どこの酒蔵も必ず1人在籍しており、杜氏の手腕によって酒の出来が変わる程、実力を備えた蔵の要、唯一無二の存在なわけですが、それをあえて廃止し、杜氏さんなしでお酒が造れるよう製造システムを構築し直し、お酒造りの過程をデータ分析して、他の社員にも作れるようノウハウ化しました。

極限まで米を磨く

旭酒造の精米歩合は、原料米を二割三分(23%)まで削りこんでいます。

米の外側には蛋白質・脂肪が多くあって、そのまま醸造すると雑味となるため、できるだけ外側を削って酒を造るわけですが、あんまり削ると米がつぶれてしまいます。

普通は50%削ることさえ大変な作業であり、それ以上削って醸造すると大吟醸と呼ばれる高級日本酒になります。

最高ランクである大吟醸の精米歩合50%以下と定められていることからも、わかるように精米歩合35%以下でも全国的にかなり珍しいレベルですが、これを23%まで削るという旭酒造は、本当に素晴らしい技術力をもって酒造りに励んでいるのです。

1台で家が買えるハイテクマシン

獺祭の製造過程では、最新の設備と人の手による丁寧な手入れ、どちらも加えられています。そして一部製品に使われていて有名なのが、家が1軒買えるという遠心分離機です。

このハイテクマシンは、日本酒の生産過程において上槽といわれる、もろみ(発酵してドロドロになったお米)から液体のお酒を搾り取る工程において使われており、 通常はもろみに圧力をかけて行われるのですが、この遠心分離機を使えば圧力をかけることなくお酒を絞れるので純米吟醸酒の本来の香りやふくらみが損なわれることなく、雫酒のような非常に純度の高いお酒が完成するのです。

輝かしい受賞歴

ヨーロッパでもっとも権威ある食品コンクールとされるモンド・セレクションにおいて、最高金賞を受賞しています。

またインターナショナルワイン&スピリッツコンペティションでも金賞受賞し、獺祭二割三分、三割九分、50がロサンゼルスで行われたインターナショナルワイン&スピリッツコンペティションで金賞を受賞する快挙をおさめています。

なかでも獺祭二割三分は出品された酒のトップに輝きました。

主な獺祭のラインナップ


(画像出典:http://blog.livedoor.jp/ayaka_1001/)
獺祭には様々な種類があり、大きく「獺祭 磨き その先へ」、「獺祭 遠心分離」、「獺祭 磨き」、「獺祭」、「獺祭 発泡スパークリング」に分けることが出来ますが、中でも人気のある銘酒は以下の通りです。

□獺祭 純米大吟醸 50 (精米歩合50%)

獺祭のスタンダードな一本であり、純米大吟醸にもかかわらずお手頃なお値段でコスパがとても良い日本酒です。

□獺祭 純米大吟醸 磨き三割九分 (精米歩合39%)

酒造好適米「山田錦」を39%まで削り落としたワンランク上の一本。日本酒は米を削って中心に近い部分を使ったほうが雑味なく美味しいと言われており、獺祭50に比べ、上品な甘みと透き通った味わいが特徴です。

□獺祭 純米大吟醸 磨き二割三分 (精米歩合23%)

獺祭の通常ラインナップの中で最高品質を誇るのがこの二割三分。米の中心部にこだわり、丁寧に磨き続けた結果その精米歩合はなんと23%という、旭酒造の技術が全て集結されているといっても過言ではない逸品です。

その味わいは繊細そのものであり、上品な香り立ちと旨味、飲後の余韻は一飲の価値があります。

□獺祭 磨き三割九分 遠心分離 (精米歩合39%)

もろみから酒を絞りだす作業に通常の槽や圧縮機ではなく、遠心分離器を使用したお酒が、この遠心分離シリーズです。

同じ獺祭でも絞り方1つでこんなに味わいが変わるのかと感動を覚えるはず!是非通常のシリーズと飲み比べてほしい一本です。

□獺祭 磨き二割三分 遠心分離 (精米歩合23%)

遠心分離シリーズ、かつ旭酒造が造りだす最高峰の日本酒です。味わいの深みや複雑さをしっかり感じてください。

安倍首相お気に入りのお酒


(画像出典:http://www.afpbb.com/articles/-/3046884)
獺祭は安倍首相によるトップセールスも度々話題になり、2013年10月にはロシアのプーチン大統領に、2014年4月にはオバマ大統領に、それぞれ獺祭がプレゼントされました。

というのも、安倍首相は山口県出身の衆議院議員であり、安倍首相は代々山口県の地盤を受け継いでいます。

そんな地元愛も合い重なってか、獺祭へ対する愛情も深いのではないでしょうか。

海外でも人気のある獺祭

パリの三ツ星料理店のワインリストで掲載され、「日本のロマネコンティ」と称されたほど、今やヨーロッパにおいても高い評価を得ており、ヨーロッパの某国のVIPが獺祭ファンを公言するなど、海外でも非常に高い人気を誇っています。

しかし日本酒はワインより価格が安いため、海外のワイン愛好家から「日本酒の価格をもっとあげるべきだ」という意見がでているという噂も耳にしたことがあります。

また海外に輸出する量が増えているため、日本国内において品薄状態が続いている事実であるので、海外人気もほどほどにして欲しいな~と思ってしまいますね。

新世紀エヴァンゲリオンでの登場!

獺祭人気の火付け役というべきでしょうか。皆さんもご存知の映画、「新劇場版ヱヴァンゲリヲン」シリーズの中で葛城ミサトさんの愛飲する銘柄の一つとして獺祭が登場してきます。

リビングの後ろにある棚にずらっと並ぶ、様々な種類の獺祭。この映画が放映されて以降、当分の間日本の酒屋から獺祭が消えた事実を筆者は忘れません。

しかも海外人気の火付け役にも一役買っているから、なおさらニクイですねっ!

エヴァンゲリヲンは、海外のアニメファンにも絶大な人気を誇っていることもあり、このアニメが海外で放映されたのがきっかけに、海外需要も広がっていったのです。

まだまだ模索を続ける旭酒造