1.ウイスキー「余市」について
余市というウイスキーは、日本のウイスキーブームの火付け役とも言われており、今も多くの人々に愛され続けられている名品であり続けている。しかし、そんな余市について、あまり知らないという人も少なくはないだろう。
まず最初に、ウイスキー「余市」についてを確認していこうと思う。
余市とはどんなウイスキーなのか?
余市は、ニッカウヰスキーが製造しているシングルモルトウイスキー。歴史のある余市蒸留所で造られており、「石炭直火蒸溜」が使用されているユニークなウイスキーとしてファンの支持を集めている。
数あるニッカウヰスキーの中でも、シングルモルトウイスキーとして高級ラインとなっている。
余市の歴史を知っておこう
余市を生み出すニッカウヰスキーが創業したのが、1934年。日本ウイスキーにおける父と呼ばれている「竹鶴政孝」により創業され、ブラックニッカなどのアイテムが先に世に送り出された。
1989年、当時のニッカの持てる技術を全て余すこと無く詰め込まれて誕生したのが、この「余市」だったのだ。
日本初!SMWSに認定される余市蒸留所
余市の魅力は、その蒸留所にもある。余市蒸留所は、「SMWS(ザ・スコッチ・モルト・ウイスキー・ソサエティ)」に日本で初めて認定された、素晴らしい蒸留所なのだ。
さらに、登録有形文化財、北海道遺産、近代化産業遺産など数多くの認定を受ける、日本を代表する観光地にもなっている。
シングルモルトウイスキー余市の味
シングルモルトウイスキー余市は、ほかには無い独特の風味を持つ。やや荒々しい香りを持ちながらも、その奥にはフルーティーを感じさせ、爽やかさすら楽しめる。
アタックも強めであり、重厚感のある旨味、ピートの風味も楽しめる。ウイスキー通が喜ぶ、最高峰の味わいを楽しめるだろう。
2.余市の買取相場を知っておく
さて実際に、余市は買取市場においてどの程度の買取相場で動いているのだろうか。次は、余市の買取相場についてを確認していこう。
余市の買取相場について
余市は、数多くの種類がある。12年、15年、20年から、年代が入ったものや蒸留所限定の原酒シリーズ、シングルカスクなどさまざまだ。
さらに、樽の使い方によっても種類分けなどがあり、なかなか素人では平均的な余市の買取価格相場を割り出すのは厳しいだろう。では、プロの目が鑑定した場合、余市はどの程度の買取価格になるのかを、確認してみよう。
【余市 買取相場】
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●余市 シングルモルト NV~3,500円前後
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●余市10年~50,000円前後
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●余市15年~200,000円前後
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●余市20年~400,000円前後
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●余市蒸留所限定 原酒シリーズ~150,000円前後
(※2022年6月現在)
余市の最高価格とは一体どのくらい?
余市は、幅がかなりあるウイスキーなので、流通量が多く手に入れやすいものはやや買取価格が下がる。しかし、逆にすでに生産終了していたり、ほかでは手に入らないなどの希少価値がつくと驚くべき査定価格にもなるのだ。
今のところ、余市で最も高額買取となるのが、「余市 1984」。オークションでも60万円以上で取引されており、今後も金額が上がってくる可能性がある注目銘柄だ。
3.余市の買取価格が高額になる理由
余市の買取価格相場を見てもらったが、お酒の中でも高価買取価格となっていることが分かっていただけたと思う。しかし、なぜ余市はここまで高価買取となるのだろうか。そこには、さまざまな理由が潜んでいる。
ここからは、余市が高価買取査定となる理由を紹介していこう。
原酒不足で終売も出てきている!?
後述するが、テレビドラマなどの影響をはじめ、近年にジャパニーズウイスキー人気の影響により、日本のウイスキーは原酒不足に悩まされている。
どんどん造れば良いだろうと思われるかもしれないが、樽で寝かせて使える原酒するまでは、数年、数十年もかかる。本物を追求する余市が、科学的に短縮して熟成させることなどあり得ない。
結果、人気となる銘柄は終売に追い込まれざるを得ず、需要と供給のバランスが崩れているのだ。
創業当時の製法を貫いている
余市は世界的にも歴史ある建造物と認められている「余市蒸留所」で造られている。
ある程度、最新の設備も整えてはいるのだが、「石炭直火蒸溜」を使用しているなど、昔ながらの製法、機材で今も尚ウイスキー造りを続けている希有な蒸留所なのだ。
品質第一という姿勢も変わっておらず、大量生産などをしない。当然、需要の高まりに全て応えることができない、ということなのだ。
NHKドラマの影響も大きい
さて、余市が爆発的に人気になったのは、NHK連続テレビ小説「マッサン」の影響だ。朝ドラという全国民が視聴しやすい時間帯、平日休日問わず放送されていたことなど、明らかに認知度が高まった。
そんな時、白羽の矢がたったのが、余市や宮城峡、竹鶴。あまりにも盛況過ぎて、原酒不足になり「余市・宮城峡」などが終売に。今では二代目余市が出ているが、こういった背景があるため今も生産量は少ない。
世界的な評価の高さもポイント
余市が人気となったのは、ただ希少価値が高いからマニアが無闇に買いあさっている、ということではない。そもそも、品質が世界クオリティなのだ。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)という、世界でも権威のあるコンクールで、金賞・銀賞などを獲得しているし、WWA(ワールド・ウイスキー・アワード)ワールド・ベスト・シングルモルト・ウイスキー受賞、Whisky Magazine 「BEST OF THE BEST 2001」では、最高得点賞を獲得している。
余市はまさに、世界が認める、日本が誇るべき1本なのだ。
4.余市の相場高騰中の年代は?
余市は、日本全国に流通しているため、比較的カジュアルなウイスキーだと思われがちだ。
しかし、NHK連続テレビ小説「マッサン」の影響からか、爆発的な人気となってしまい、原酒が激減。結果、生産終了となったものなどもあり、確実に価格が高騰している。
では、年代別にどの年代の余市が高騰しているんかを、確認していこう。
1位:ニッカの味をシンプルに味わう「余市シングルモルトNV」
ニッカの味わいが純粋に楽しめるのが、この「余市シングルモルトNV」。オーク樽の香り、そしてピート香、オレンジを思わせる果実香が特徴だ。
余市の荒々しさをオークの甘さ、まろやかさが包み込んでおり、丁度良いバランスにブレンドされてる。一度は飲んでおきたい、スタンダードの1本だ。
2位:こなれた味わい「余市10年」
しっかりとした甘さを感じさせる、「余市10年」。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)銀賞受賞という名誉を獲得しているのは、ヨードの香りなどもしっかりと感じさせる本格仕様だからだろう。通が唸る、複雑な風味を楽しめるこの1本こそ、余市の味わいを表現している。
3位:重厚感と甘さに酔う「余市15年」
潮の香り、なめらかな口当たり、そして重厚感のあるボディ。どれをとっても、全てが素晴らしいバランスでブレンドされている、ニッカウヰスキーの名品「余市15年」。
ISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)金賞受賞と、世界的にも評価が高く入手困難な1本であることは間違いなさそうだ。
4位:今では幻の逸品「余市20年」
長期熟成を感じさせる、非常にパンチのある香り。ドライフルーツやシェリーなどの香りが複雑かつ、部屋中に香り、強烈な香りの応酬を楽しめるのが、「余市20年」だ。
海の香りが特徴の余市だが、全てを甘さが包み込んだことで、より複雑性が増し、奇跡的な旨さを感じる逸品。生産終了となってしまっており、まさにレアなアイテムとなっている。
5位:レア中のレア「余市蒸留所限定 原酒シリーズ」
余市はさまざまな形態の店頭で手に入れられるのだが、実は余市蒸留所に行かないと手に入らない、「余市蒸留所限定 原酒シリーズ」がある。
ブレンデッド、シングルモルト、さらにシェリー、ウッディ、ピーティーなど樽による違いなど、各種揃っておりマニアなら全てを揃えたい。まさに、奇跡中の奇跡とも言える名品だ。
5.他にもある高く売れる余市の種類
余市と一言で言っても、その種類はさまざまあり、それぞれに個性が溢れている。12年、15年、20年、1990年、1987年、1986年など、余市の種類を全て知るのは大変かもしれないが、知っておいた方が良いものも数種類存在しているのだ。
ここでは、余市の知っておくべき種類を紹介していこう。
希少な“シングルカスク余市”とは一体?
余市には、シングルカスク余市という独特なアイテムがある。レトロ感のあるラベルデザインとなっており、今なかなか手に入らない希少価値の高い逸品として大人気だ。
シングルカスクの意味は、1本の樽で仕込んだウイスキーを、そのままボトリングしているものであり、まさに希少価値の高い原酒。原酒不足が叫ばれる今、その原酒だけはもちろん、一つの樽からボトリングするというのだから、贅沢過ぎる一本だろう。
今、手軽には手に入れることができない、奇跡的な存在となっている。
6.余市の買取方法を知っておく
余市を売る時に利用できるサービス
余市を売りたい、と思ったのであれば、買取の仕方を考えてみよう。まず、酒買取専門に頼むは当然として、どういったサービスを展開しているかを確認したい。
持ち込みはもちろん可能だが、破損や手間などのリスクもあるだろう。宅配買取、出張買取などの手軽で安全なサービスがあるのでれば、そういったものも利用しよう。さらに、SNSなどを使った買取サービスをしている店鋪もあるので、予め買取価格が分かる便利さもある。
大切な余市だからこそ、自分が納得できる買取サービスを使いたいものだ。
7.買取業者比較は売る前に
余市を売る前に、どの買取業者を利用すべきかというところも、確認しておくべきポイントだ。
買取サービスを利用したことがある・ないに関わらず、まずはプロの視点から買取業者をどう選ぶかのポイントをチェックしておくと心強いだろう。
まとめ
今回、ここではウイスキー余市について、買取価格相場などを紹介してきた。まだ、これからも希少価値は高くなり、勢いは止まりそうない銘柄だ。ぜひ、その動向を追い続けて行こう。
古物商許可証取得。酒類販売責任者。
株式会社ストックラボの鑑定責任者、真贋査定士、及び出張買取責任者。 複数の買取会社でウイスキー・ワイン・日本酒・焼酎・ブランデーなどの幅広いお酒の買取鑑定・査定を行ってきた鑑定士歴7年のエグゼクティブバイヤー。